「夢」

by zeus






















リビングの中に差し込まれるキツネ色の光は
僕らを包み込み、穏やかな雰囲気を醸し出している。
僕は自分の身体を覆っているタオルケットに気が付いた。
それは僕が居眠りをしてしまう前にはなかったものだった。
横に顔を向けてみると、アスカがうつ伏せで雑誌を読んでいた。
僕は心の中でありがとう、と呟いて身体を起こした。

「あっ起きたんだ」

アスカは自分の後ろで音がするのに気づいたらしく、こちらに振り向いた。

「・・・」

「ん?シンジ、どうしたの?」

「・・・夢を見たんだ。とても、不思議な夢を」

「ふーん、どんな夢?」

「その夢はね、こことは違う、別の世界の僕らの話なんだ。
 その世界はセカンドインパクトが起きていなくて、エヴァも使徒も存在してなくて、
 そんな、平和な世界に僕とアスカと綾波とミサトさんとか、みんなが笑って幸せそうに
 暮らしているんだ」

「へえ、エヴァも使徒もいない世界かぁー。ホント夢みたいな世界ね」

寝転がっていたアスカは話に興味を持ったらしく、身体を起こした。

「うん、でも共通しているところもあるんだ。
 例えば、その僕たちが住んでいる街が同じ第三新東京市で
 通っている学校も同じ第一中学校なんだよ」

「僕とアスカにはちゃんと両親がいて、家が隣同士で幼馴染みだった」

「ええ?シンジとわたしが幼馴染みぃー?・・・ふーん、シンジってそう思ってるんだぁ」

アスカは目を細め、含みの入った微笑をした。

「え?・・・あ、いや、その、何というか、ははは」

僕はただ苦笑いするしかなかった。
そして何とか話を戻した。

「そ、それで僕には妹がいて、綾波だったんだ」

「ファーストが?まぁシンジとファーストの顔って似てるから、そうなるかもしれないわね」

「でもね、綾波の性格が今みたいに大人しい性格じゃなくて、とても明るい活発な性格なんだ」

「・・・何か全然想像がつかないわね。ファーストが笑ってスキップする姿なんて」

首を傾げ、腕組みながら顎を支えるアスカのその姿はとても可愛らしいものだった。

「あはは、確かに。でもさ、そういう世界、可能性があってもいいと思うんだ。
 この世界と違って未知の敵に恐れずに、みんなが思い思いに平和に暮らせていけたらな、って」

「そうね、使徒はあといくつ来るかなんてわからないし、こんな戦い終わってほしいと思うわよね」

「うん」

「・・・」

「・・・」

「ねぇシンジ」

「何、アスカ?」

何故か、顔をこちらに向けずに窓の先をみていた。

「・・・付き合って、みよっか?」

「・・・はい?」

「さっきのってさ、勘違いかもしれないけど・・・・・・それはシンジが
         わたしに好意を持ってくれてるってことなのかな?」

胸が高鳴り、身体中に熱が駆け巡るのを感じた。
アスカは顔を逸らしながらでも、頬を赤く染め、不安そうにしているのが一目でわかった。
一瞬頭の中で様々な事が通り過ぎた。そして僕は一深呼吸してアスカを見つめる。

「・・・そうかもしれない、アスカと一緒にいると楽しいし、側にいてもらえると凄く、うれしいよ」

「じゃあ・・・これからもずっと一緒にいられるように、わたし達、恋人になろう?」

「・・・うん!」

アスカが立ち上がって、僕の胸に飛び込んできた。

「うわっ!」

二人は僕が先ほどまで寝ていたソファに倒れこんだ。
僕がちょっとだけ恨めしそうに睨むと、アスカは頬を膨らまして何よ、と睨み返してきた。
だから僕は何でもないですよお姫様、とおどけてみせた。
そして僕らはプッとふきだし、笑った。

こんな世界でも、いいことはたくさんあるんだ。たとえ使徒の存在に脅かされようとも
精一杯生きて、この世界にしかない幸せをみつけるが大切なんだと、このとき僕は思った。
そしてそれはもあまりにも早くみつかった、アスカという最高の幸せを。






後書き
皆さん初めまして、zeusと申します。
これが掲載されたということは、このような短さでありながら
掲載してくださったドラえぽんさん、ありがとうございます。
作家見習いになって半年になりますが、書いた本数は極少なく、
そして未だに文章力が上達しておりません(笑)。
これからものんびり(カナリ と書いていこうと思っています。  zeus


zeusさん初投稿ありがとうございます!
というわけで、こんばんは。僕ドラえぽんです(^ ^
考えてみると、彼らはいつ死んでもおかしくない戦いに身を置いている訳です。
だからこそ、側に居る人がどんなに大事なものかを本編でも早く気付いて欲しかったですね。
zeusさんの作品もひとつの可能性。こんな風に気持ちが通じ合っていたら、きっと世界も変わっていたハズ。こんな素敵な世界もアリですよね(・´д`・)

さあ、素敵な作品を書いてくれたzeusさんに是非ともご感想を!
zeusさんへのご感想はこちらへお願いします。
または感想掲示板へもお気軽にどうぞ。

zeusさんのサイト「無の極地」へも行ってみよ〜(^ ^

トップページへ 頂き物のお部屋へ