未来への扉(後編)
「未来へ・・・・・」
「どう言うこと? あの声は確かにママよね?」
訳も解らぬままアスカは人の気配のするリビングとおぼしき部屋へと足を運んでいた。 するとそこには死んだはずの母であるキョウコと自分を裏切って他の女と再婚したはずのクラウスが食卓に着いていた。
「アスカちゃん、早くしないと学校に遅れるわよ。」
「マ、ママどうしてここに?」
「何寝惚けたこと言ってるの? 早くご飯を食べて頂戴。」
何が何だかわからないがアスカは自分の席に座って食事を始めた
「そうだアスカちゃん、今日からお隣のシンジくんが転入するから学校に誘ってあげてね。」
「シンジって誰?」
「呆れた子ねシンジ君はシンジ君でしょ幼馴染の、今日は変よあなた・・・・」
キョウコは呆れたようにアスカの方を見ている。 そのうち食事も終わり登校の時間になった
「いってきまーす。」
「はい、いってらっしゃい。」
家を出たアスカは隣の家のチャイムを鳴らし人の出てくるのを待った。 ちなみに標識は碇となっている。 一分程して姿を現したのは漆黒の髪に同じ色をした目を持つ中性的な顔立ちの少年だった
「あっ、きっ君がアスカさん?」
「えっ ええ私が惣流・アスカ・ラングレーよ」
可笑しな事にキョウコからは幼馴染と聞いていたのに相手の男の子も自分を知らないみたいだった。 そこでアスカは正直に自分に起った事を話した
「・・・・と言う事なのよ。」
「えっ、君もそうなの? 僕も似たような事が起っているんだ。」
話を聞いてみると彼も学校で虐められ逃げ出してある教室に逃げ込んだところ気を失い気が付くとこの世界に居たらしかった
「じゃあ私達は似た者どうしって訳ね。 これから宜しくね。 これから私のことはアスカで良いわ、貴方のことはシンジって呼ばせてもらうから・・・。 そうしないとママ達から変に思われるしね。」
「う、うん分った。 でもさっきの話じゃ学校の場所って分らないんじゃない?」
「それがね、なぜか学校の場所とかクラスの友達とか”識ってる”のよ”知ってる”訳じゃないんだけど。 まあこのさい細かいことは後回しにして早く行きましょう。 遅れちゃうわ。」
そう言うとアスカはシンジの手を曳いて学校へと急いだ
学校に着くとシンジは手続きの為に職員室へ、そしてアスカは教室へと向かった
「アスカおはよう。」
教室へ入ると一人の女の子がアスカに向って挨拶をしてきた
「お、おはよう。」
「どうしたのアスカ、変な顔をして? どこか調子が悪いの?」
「そ、そんな事は無いわ。 ちょっと考え事をしていただけ・・・・」
「そう、それならいいけど。 もう先生が来るわよ早く席に就いたら?」
「そうね・・・・」
「ほんとどうしたのアスカ?」
「ほんとに何でもないのよ・・・」
彼女の名前は洞木ヒカリ、この世界での親友である・・・・らしい
彼女が心配してくれるのは有難いがどうしていいのか分らずただうろたえるしかなかった。 そのうちにチャイムが鳴りクラスにシンジを連れた教師が現れた
『えー今日から転入する事になった碇シンジくんだ。 みんなよろしく頼むぞ。 それでは自己紹介を・・・』
「今日からお世話になります碇シンジです宜しく。」
『じゃあ碇の席は惣流の隣だ。』
席に就いたシンジはアスカに話し掛けた
「席も隣だねよろしくね。」
「こちらこそ宜しく。 クラスまで同じとは思わなかったわ。」
「ハハハ、僕だってそう思ったさ。」
そんな話をしている間に教師は文化祭について話し出した
『えー文化祭の出し物は喫茶店に決まった訳だがこれから役割分担を決めようと思う。 洞木、前に出て頼む。』
「はい。」
ヒカリが役割を決めていく過程でシンジが調理、アスカがウェイトレスになっていた そしてその日は文化祭の準備もあって授業は午前中のみで終わり2人は早々に家へと向っていた
「アタシは料理なんて出来ないけどあんたはできるのね。」
「ハハハ、前の世界じゃ母さんが死んで親戚に預けられたから自分でしなくちゃいけなかったからそれでだよ。」
「そうなの、アタシのママも死んじゃったけどアタシは出来ないわ。」
「アスカだってやろうと思えばすぐに覚えられるよ。」
「そうかしら?」
「そうだよ。」
そんなこんなで元の世界では考えもしなかったクラスメイトとの楽しいおしゃべりやシンジとの語らい、そして文化祭の準備など瞬く間に時間は過ぎていった。 そうして文化祭の前の晩、アスカはシンジを家の近くの公園へ連れ出した。
「明日はいよいよ本番ね、あんた大丈夫なの?」
「ハハハ、ぼくは裏方だからのんびりやるよ。」
「はいはい、いいわねあんたはアタシなんかウェイトレスだからずっと人前に居なくちゃいけないんだから大変よ。」
「ご愁傷様。」
「もう、人事だと思って。」
「ごめんごめん・・・・、でも一週間なんてあっという間だったね。」
「そうね、でもなんだか不思議ね。 もうずっと長いこと一緒だった気がする。」
「そうだね・・・・・。」
「ねえシンジ、この世界がこのまま続くと思う?」
「僕には分らないよ。 でも僕はアスカと出会うことが出来たこの世界がずっと続いてほしいと思っている。」
「シンジ・・・・・。」
「アスカ、僕は思うんだ。 この世界は続いてほしいけどもうすぐ元の世界に戻らなきゃいけないような気がする。だから精一杯明日の文化祭は一緒に楽しもう!」
「そうね、私もそう思う。 アタシ、元の世界では良いことなかった、ママも死んで一人ぼっちでこんな世界いらない無くなっちゃえば良いんだなんて思ってた。 でもこの世界でシンジに逢う事が出来て本当に良かったって思うの。」
「アスカ・・・・・。 君が居なくなるんだったら僕も一緒だよ。 まだ逢って少ししか経っていないけど僕は君と離れたくない、いやもう離さない!」
「ウッウワーン・・・・。」
アスカは涙をこらえきれずシンジの胸に飛び込んで泣きじゃくった。 そんなアスカをシンジは優しく抱きしめた。 そして夜は深けて行く・・・・・・
文化祭当日
『こっちアイスティーとスパゲティー2つずつね!』
「はーい。」
「お待たせ致しました。 ホットコーヒーです!」
シンジが調理してアスカが運ぶ忙しいながらも楽しい時間が過ぎていく。 そしてこの世界での時間も・・・・
「碇くん、アスカ休憩の時間よー。」
「分ったわヒカリ、シンジ行くわよ。」
「わかったよ、じゃ行こうか。」
2人は人気のない屋で休憩を取ることにした、なぜなら人には聞かせたくない話をする為。
「ねえシンジ、私もうすぐの様な気がする。」
「アスカもそうなのかい? なんだか僕ももう時間が無いような気がするんだ。」
「アタシは嫌よそんなの・・・・」
「僕だってそうさアスカを離したくない! でももう時間が無いみたいだ。」
「アタシ達きっとまた合えるよね、そうよね?」
「絶対逢えるさ、いや逢えなくてもぼくは君を探し出して見せる!」
「惣流・アスカ・ラングレーは碇シンジを愛しています。」
「僕も、いや碇シンジも惣流・アスカ・ラングレーを愛しています。」
2人はお互いの感触を確かめるように抱き合いながらその姿を消していった。 誰にも気付かれること無くひっそりと・・・・・
気が付くとそこは見慣れた天井だった・・・・・
『気が付いたかい? 君は一週間も行方不明になっていたんだ、でも今日になって旧棟で見つかったんだ。 可笑しな事に見つかった部屋は一週間前に探したはずなんだが何か覚えているかい?」
「いいえアタシは何も・・・・(あれは夢だったのかな? いや夢とは思いたくない!)」
それから数年アタシは変る事無い訓練の日々を送った。 今までと変らない日常、でも今までとはどこか違った日常を
そして2015年、空母オーバーザレインボーの甲板でアタシは・・・・・・・
「サードチルドレン、碇シンジです。」
「やっと逢えたねシンジ・・・・・・」
〈終わり〉
| まだ平和だった時代、世界が歪みきる前に出会った二人。 戦いの中じゃなくて、もっと前に二人出会って心が通っていればこんな素直な恋心を抱く二人が見れたかもしれませんねぇ。きっとこれは奇跡が彼らにくれたプレゼントだと思います。 心を通わせたこの二人ならきっとあの戦いも乗り越えてくれると信じています。 そしてそんな二人を見てみたいですね(^ ^ さあ、二人の素敵な可能性を見せてくれたよこよこさんに是非あなたのご感想を! よこよこさんへのご感想はこちらへお願いします。 または感想掲示板へもお気軽にどうぞ。 |
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