| ぼうねんかい |
−6−
ポチャン
静寂に包まれた世界の中に響くのは水の音。
あたたかい湯気が辺りを優しく包み込む。柱に使われている使い込まれた檜の良い香りが鼻腔を心地よく刺激する。
空を見上げると、満点の星空が暖かく見守っているようだ。
ここは二階にある露天風呂。そこに佇むのは二つの人影だけ。
そう、ここには彼ら二人しか居ない。彼女がいつの間にか予約を入れていたようで、露天風呂は彼らの貸し切りになっていた。
綺麗だなあ・・・
彼の横には桜色に肌を上気させてお湯につかる彼女の姿。
うっとりとした視線を遠い星へ向けて彼へ寄りかかっている。
そして艶やかな黒髪。
髪と目の色が違うだけなのに、いつもと雰囲気がまるで違って見える。
彼は、まるで初めて彼女と関係を持った時のようにドキドキしていた。
「ねえ。」
「ん、何?」
心なしか艶のある声で話しかけてくる彼女。
やわらかい胸をぴったりと彼の体に押しつけてくる。
「アンタ、アタシの黒髪に結構ぐっと来てるでしょ?」
うっ、と言葉に詰まる。
見抜かれている。彼女には隠し事を出来た試しがない。
恥ずかしそうに彼は答える。
「だって、いつもと雰囲気違うんだもの・・・
なんていうか、アスカの綺麗な顔立ちで黒目に黒髪って、すごくエキゾチックだよね。」
もうっ、と彼女は恥ずかしそうに彼の肩に顔を埋めると、照れ隠しなのか噛みついてきた。
「痛っ。」
少し顔をしかめると、今度はいたずらっ子のような表情で噛んだ所を舌でなぞってくる。
「ん、あ、アスカぁ。ちょ、ちょっと・・・」
「んふ。・・・シンジったらエッチねえ。変な声上げちゃって。」
などと言う彼女の顔も上気しているのだから、説得力は無い。
「さてと、じゃあ黒髪の可愛いアスカちゃんが、エッチなご主人様のお背中お流ししましょうか。」
妖艶な顔でにやっと笑う彼女。頭がクラクラする。
彼女に言われるまま立ち上がって洗い場のほうへ歩いていく。
途中、彼女の何も身につけていない桜色に染まったつややかな肢体が目に飛び込んでくる。
照明に照らされる彼女の身体は、脳が何処かへ飛んで行ってしまいそうな程鮮烈な美しさだ。
稀代の芸術家が黄金律を寸分の狂いもなく計算に入れて造形したかのようなその肢体。
実は意外にも恥ずかしがり屋の彼女は、明るい所ではその美しい肢体をじっくりと見せてくれることは少ない。
此処じゃ駄目だ、此処じゃ駄目だ、此処じゃ駄目だ・・・・
彼は、こんな所で今にも襲いかかってしまいそうな自分の心をなんとか抑えながら、彼女に背を向けてイスへ座った。
「ご主人様、お背中お流し致しますわ。」
また何か妙なドラマでも見たのだろうか。
おどけるような口調でそう言うと、手桶で彼の背中を濡らしていく。
そして、しばらくごしごしと背中を洗っていた彼女が口を開いた。
「ねえ、浅間山の時を思い出すわよね。」
まだ、彼らが悲しい戦いに明け暮れていた頃、その中での数少ない彼女との楽しい思い出の一つ。
彼もまた遠い目をして答える。
「そうだね。僕はあのころから君の事が気になっていたのかなあ・・・」
彼女の可愛い声に膨張してしまった自分を思いだして少し可笑しくなる。
「アタシはきっと、あの時にアンタの事が好きになっちゃったのかもね・・・」
自分の命が消えかかった時に差し出された彼の暖かい手。ふと自分の手を見て微笑む。
「色々な事があったけど、アンタと一緒になれて本当に良かった・・・」
そういうと彼女は目の前の背中に抱きついた。
「うん。僕も・・・」
そっと彼女の腕に手を添える。
しばらく二人でうっとりとしていた後、体勢が少しきつかったのか彼女が身じろぎした。
「ん・・・」
「何よ、シンジったら気持ちよさそうな声上げちゃって。」
彼女がちょっと呆れたような表情をする。
「だって、しょうがないじゃないか。背中が柔らかくて気持ち良いんだもん・・・」
心なしか腰を曲げながら赤い顔で言葉を返す。
「ホント?・・・じゃあ、もっと気持ち良くしてあげよっか。」
むにゅっ
石鹸で滑らかになった彼女の身体が彼の背中を上下する。
あまりの気持ち良さに思わず彼は声を上げてしまう。
「うわあっ、な、何コレ?」
「これがアワオドリよ、シンジ。」
妖艶な声で答える彼女に、シンジは何でそんなマニアックなこと知ってるんだよ、とかすれた声で呟く。
その声が聞こえたのか、
「アンタの為に覚えたのよ。」
脳が溶けそうだ。
「さ、次は前よね。」
「ま、前もやるの!?」
これ以上やられたらどうにかなってしまいそうだ。
だが身体は素直に彼女に従ってしまう。
僕は永遠にアスカには逆らえないんだなあ
などと思いながら、洗い場に敷いたバスタオルの上へと仰向けに寝かされる。
そこへ石鹸を身体中に泡立てた彼女が覆い被さってくる。
むにゅう
意識が飛びそうなその感触。正面には溶けた表情の彼女の顔。
どうやら、彼女はこの雰囲気に酔ってしまっているようだ。
普段の彼女なら、照れてしまってこんな事は出来ないだろう。
ゆっくりと彼女が身体を動かし始める。
にゅるっ
彼女が下のほうへ動くたびに、既に満天の星空を指さしている彼の中心が柔らかいお尻の肉に当たる。
突然彼女が彼の中心を太ももに挟み込む。
「んああっ。」
思わず喘ぎ声を出してしまう。
「んふっ、シンジって可愛い・・・」
妖艶な黒い瞳で見つめながらそう囁くと、彼女はそのまま身体をこすりつけるように上下する。
にゅる むにゅっ しゅぽっ
全身に感じられる彼女の全て。
身体と一緒に心も溶けていく。
彼女の胸の先端が彼のそれと重なった瞬間彼の意識は目映い閃光に包まれる。
「お客さ〜ん、予約時間終わりましたよ〜。」
「「 うわああああああああっ!!!!!!! 」」
そう、予約時間はとっくに過ぎていた。
感じた閃光は呼びに来たおばちゃんが扉を開けた脱衣所の光。
・・・・そして彼らの温泉地での熱い夜は更けていくのであった。
その後、アスカが黒目黒髪になる事が二人の何かの合図になっているようだが、それは二人だけの秘密である。
(終わり)
アスカ様: アホかーー!!!
ずとばきっ!!
ドラ: ぐおおおっ!いきなりですかい。
アスカ様: いきなりですかい、じゃないわよ!アンタ、またやったわね!何なのよ、コレは!?
ドラ: ・・・・愛ですよ、愛(ニヤリ
アスカ様: ・・・・愛(ぽっ
ドラ: というわけで、アスカ様が遠いところへイっちゃってる間に解説をば。
今回のは忘年会に行ったときに思いついたのですが、そのネタを元に色々と趣向を凝らしてみようと頑張ってみました。
一応、それぞれのパートを独立した短編として読めるように作ってみたつもりなんですが・・・・あんまりうまくいかなかったかな。
激甘、シリアス、夫婦漫才、コメディ、エロw、とそれぞれのパートにちりばめてみたのですが、なかなかどうして難しいですね。
シリアスシーンは、あんな事があったからこそ尚、という甘々夫婦漫才をより引き立てる為に必要でした。多分
ちなみに、宴会場のシーンがやたらとリアルですが、つい最近の実話を元に書いた訳ではありません(笑
帰ってきたアスカ様: って、のんびりと解説してんじゃないわよ!こ〜の中途半端エロ作家が!!
ぐしゃごりずとごきっ!!
ドラ: ・・・・ピクピク・・・・お約束・・・・
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