これは、ドラえぽん様主催『ドラLASツヴァイ』投稿掲示板にて、私、ガラガラ猿が書かせていただいたものを、加筆・訂正してまとめたものです。
 では、どうぞ。


ガラガラ猿のSS劇場 其の壱

この一瞬を、切り取ろう

 『家族、そのあり方は』
 『いわゆる一つの、さえたやり方』
 『君はこの世界に、何を思う』
 『物語は、世界を越えて』


     LAS『家族、そのあり方は』


 コンフォート17。ミサトはエレベーターに乗って、部屋に戻ろうとしていた。
 脳裏をよぎる、あの頃の思い出。
「お邪魔します」
「待って、シンジ君」
「は?」
「今日からここはあなたの家、私の家族よ。ただいま、でしょ?」
「……ただいま」
 一年ちょっと前のことだったはずだ。あれは。なのに、どうしてか、とてもとても、懐かしい話の様な気がする。
(あの頃は……良かったな)
 胸のうちで呟いて、切なくなる。
 こんな思いを抱くようになった原因が、自分にあるのはよくわかってる。悪いのは、全て自分。周囲の人間は誰も気付いていないが、だからこそ、許せない。
 己のことばかりを考えていた報いが、このような形で返ってくるとは……
 罪と罰。天網恢恢疎にして漏らさず。
 考えているうちに、自分の部屋の前に立っていた。
 はぁ。
 一つ、大きくため息をつく。
 寂しい。一人の辛さが、身に染みてくる。
 この広い第三新東京市で、唯一くつろげるはずの自分の部屋に戻ってきたのに、こんな気持ちになってしまう……どうしようもないことなのだが。
 ミサトはゆっくりと、扉を開けた。

「シーンジ♪次はこれ食べさせて♪」
「いいよ、アスカ♪はい、あーん♪」
「あーん♪」
 すぐに視野に飛び込んでくる、二人の姿。膝の上にアスカを乗せて、シンジが箸を運んで食べさせてやっている。
「ああ、ミサトさん。お久しぶりです」
「ミサト、来たの?何かあった?」
「…………お邪魔します」
(てめえらなんて家族じゃねぇっ!!!!)



   <後書き>

 ごめんなさい。



   <ドラえぽん様から頂いたコメント>

 ミサトの「お邪魔します」がせつないッスね(´Д⊂
 ・・・・でもナイスですw

(初出:2003/12/11)


     LAS『いわゆる一つの、さえたやり方』


 日本では、クリスマスとは恋人たちのイベント。
 だけど、アタシ、惣流=アスカ=ラングレーの故郷、ドイツでは違う。クリスマスは、家族で過ごすイベント。別にアタシは教会に行ってミサをするほど熱心ではないんだけれどね。
 ともかく、両親の中では、クリスマスを別々に過ごすことなんて考えられないみたい。
『クリスマスぐらい家族で過ごしたい』
 とNERVにごり押ししてきたのよ。ウチの親ときたら、たまに怖い物知らずなところがあるのよね。
 で、しょうがなく、アタシは毎年、クリスマスをドイツで過ごしてる。まあ、一年に一度の親孝行だと思ってるんだけれどね。
 ただ、やっぱり普段、日本で過ごしてるせいか、アタシも随分日本の文化に慣れちゃったのよね。で、クリスマスを、シンジと二人で過ごしてみたい、とも思うわけ。
 この気持ち、バカシンジはわかってるのかな?毎回、いつものにこやかな笑顔で見送ってくれるけれど。
 シンジがドイツに来る、って言う案は不許可。チルドレンが二人して日本を離れたら大変でしょうが。
 それに、実際、色々あったアタシを引き取ってくれた両親に対して、負い目を感じてるわけで。嘘をついてまで、日本には残りたくないのよ。
 そんな悩みを抱きながらも、また日々は過ぎて、2019年も終わりに近づいてる。

 そして、クリスマスイブ。
「乾杯っ、シ〜ンジッ」
「乾杯、アスカ」
「それにしても、バカシンジにしては冴えたやり方だったじゃない?」
「ありがと。でも僕も、やっぱりクリスマスはアスカと一緒に過ごしたかったし」
 あ〜幸せ。ちゃんと気持ち、わかってくれてたんだぁ。
 やっぱり、このアタシが愛した男だけあるわね。


 え?どうして二人が一緒にいるのかって?
 そうね〜じゃ、考えてみてよ。
 ヒントは、
1:ここはドイツじゃなくて、日本
 わかる?

 まだ?
 じゃあ、次のヒント。
2:さっきも書いたとおり、今は2019年
 これでわかるでしょ?


 ま〜だわかんないの?
 アンタねぇ、それじゃバカシンジ以下よ?
 最後のヒントよっ!
3:最初の両親の言葉が鍵
 ここまで優しくすれば、いくら何でも気付くでしょ?



(解答編へ)


     LAS『君はこの世界に、何を思う』


 最後に見た、少女の顔。
 それが頭から離れない。
 
 彼は、一人たたずんでいた。
 もうどれほど、そうしていただろう。
 目の前に広がる光景は、彼の心を少しも癒しはしない。
 この海の中に、彼が時を同じうして過ごした友たちがいる。
「みんな、どうしてるだろうな」
 伸びた長い髪を、風が揺らしていく。
「どうして」
 自分だけ一人、ここにいるのか。そう言葉に出しかけて、彼はとどまる。
 口にしてしまえば、なおさら、寂しさが増すばかりだから。誰も、聞いてくれはしないのだから。
 ゆっくりと、彼は立ち上がって、砂浜を歩く。
 彼の後ろに続く足跡を、紅い波がさらっていく。まぶしいばかりの夕日が、沈んでいこうとしていた。
 不意に彼は、振り向いた。呼ぶ声を聞いた気がして。
「……空耳か」
 力ない笑み。わかっていたはずじゃないか。
 自分はもう、孤独なのだ、と。
「行こう」
 どこへかはわからない。ただ彼は、足の向くままに歩き続ける。

 もうどれほど歩いただろう。彼は、自分が何者なのかさえも、わからなくなりそうだった。アイデンティティ。彼にとってのそれは、他者がいて初めて成り立つものだったから。
 そして彼は今、自分の名前を何度も繰り返し口にしている。己の存在を守るために。

「俺は青葉シゲル、俺は青葉シゲル、俺は青葉シゲル……」


 これもまた、LAS。
 Lonely Aoba Shigeru。



   <後書き>

 既出かも。無知は無謀、ということでお見逃しを。ミスディレクションという言葉が好き。ギャグにするつもりが物悲しくなってしまった。失敗。でも投稿してみる。


   <ドラえぽん様からいただいたコメント>

 青葉だけ一人、何てものがなすぃ・・・ っ∀・)
 しかしマジな話、なんで青葉だけレイだったんでしょうかねえ。出尽くした疑問かもしれませんが、答えは出ませんよね。
 やっぱり彼の心には誰も住んでいなかったので、レイだったんでしょうか。
 そう考えると、彼は作中で一番救われないキャラだったのかもしれませんね・・・

 こういうのも色々考えさせられて良いッスね。

(2003/12/14)


     LAS『物語は、世界を越えて』


 常夏の国、日本。
 年がら年中、セミが鳴くわ、日差しはきついわ、の夏真っ盛り。
 いい加減慣れろ、という話もあるが、やっぱり暑いものは暑いわけで。
 こうして、アスカとシンジは、たまの休みだが、クーラーのきいた家にこもっているわけである。
 アスカは古いビデオを見、シンジはS-DATで音楽を聴いている。普段ならそろそろ、どこかに連れて行け、とアスカが言い出すところだが、よほどビデオに集中しているらしく、そんな気配がない。シンジにとっては、ありがたいことだが。

「シンジ」
 見終わったのか、テレビを消して、アスカが振り向いて言った。
「何だい?アスカ」
 ヘッドホンを外すシンジ。やっぱりどこかに行くのか、どこがいいかな、ウィンドウショッピングでも行くか。そんなことを考えていたシンジだったが。

「今日からアタシを赤い彗星と呼びなさいっ!!」
「……は?」

「何、見てたんだよ……って、機動戦士ガンダム?懐かしいのを見てるね」
「知ってるんだ、これ。ならわかるでしょう?アタシこそ、赤い彗星の二つ名を持つにふさわしいわ!!」
「どうして?」
「何よりも機体のカラーリングよっ!赤で揃ってるし。それに、イニシャルも一緒だしっ!」
「イニシャル?」
「そう!!惣流=アスカはS.A。シャア=アズナブルもS.Aじゃない。ここまで一緒だと、神の導きを感じるわねっ!アタシは赤い彗星の生まれ変わりだったのよっ!」
「惣流=アスカならA.Sじゃないのかとか、シャア=アズナブルってC.Aじゃなかったっけとか、シャアは男だとか、そもそもシャアはアニメのキャラだとか、ともかく突っ込みどころ満載の発言だね」
「それにっ!!ライバルも存在しているわっ!!」
「もしかして、綾波のこと?」
「そうよっ!機体のカラーリングは違うけれど、向こうはアタシ以上に近いものがあるわっ!」
「名前のことが言いたいの?」
「正にそれよっ!二人ともレイで繋がっているわ。そしてイニシャルもっ!綾波レイは、A.R。アムロ=レイもA.R!!」
「だから綾波レイはR.Aだろ。本当にドイツ人なの?あ、アメリカ人だったっけ」
「うっさいわねっ!それにね、レイはファーストと呼ばれていたのよ。アムロ=レイの乗るガンダムも、ファースト・ガンダムと呼ばれているわっ!」
「それはファンの間での話じゃなかったっけ」
「まだあるわよっ!ガンダムは白い奴と呼ばれるけれど、ファーストは肌が白いし!」
「何だかこじつけになってない?」
「ともかくっ!!アタシとファーストは、前世からのライバルだったのよっ!!道理でそりが合わないと思ってたわっ!!」
「……まあいいけど。それじゃあ、僕は誰なのかな?」
「そうねぇ。役柄から言うと、ララァ=スンかしら」
「女じゃないか。イニシャルとかの共通点もないし」
「役柄から、って言ったでしょ?似たようなもんじゃない。二人の異性の間で揺れる心の持ち主だし」
「さりげにひどいこと、言ってない?」
「何言ってんの。ぴったりじゃない。ああ、何でもっと早く、このことに気がつかなかったのかしら!?」
「……でも、さ」
「さあ、アタシのことを、赤い彗星と……って、何よ!?文句あんの?」
「もし僕がララァの役柄だったら、綾波と心を通い合わせるんだよね?アスカ以外の女の子と」
「………………」
「それに、最後は赤い彗星をかばって、先に死んじゃうんだよ?好きな人を残して」
「………………」
「………………」
「やっぱりアタシ、惣流=アスカのままでいい」
「僕も、それがいいと思うよ」

 ミーン ミンミン ミーン
 遠くでセミが鳴いている。
 うだるように暑い午後の、とある一コマの話。



   <後書き>

 ガンダム、うろ覚え。使い古されたネタかな。甘くも辛くもしょっぱくもない話。へたれ。
 ちなみに投稿掲示板に投稿したものから、だいぶ訂正入ってます。間違いだらけだったさ。まだまだ坊やということか。


   <ドラえぽん様からいただいたコメント>

 >惣流=アスカはS.A。シャア=アズナブルもS.A
 超笑ったッス。この後のシンジ君のツッコミも腹痛え・・
 たしかにこじつけなんだけど、言われてみると確かに妙に重なる部分がありますね(笑
 しかし良くこういうの気付きますよね〜。すごいなあ

 >「やっぱりアタシ、惣流=アスカのままでいい」
 はうう〜(・´д`・
 このセリフ超好きッス。ラブ

 今日も楽しませていただきました(^ ^
 いつも投稿本当にありがとうございます!

(2003/12/15)



まだまだ投稿掲示板にて、書いていたりします。読んで頂けると嬉しいです。


                                   ガラガラ猿 拝


ガラガラ猿さん、いつも投稿ありがとうございますっ (^ ^
いやあ、スゴイです。こんなに多種多様な作品を書けるとは。
しかもまだまだ投稿掲示板に頂いております。こちらも要チェックです。

さあ、質の高い短編を次々と生み出してくれるガラガラ猿さんに是非ともご感想を!
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