春。

 Spring is coming!

 春が来た。

 寒い冬もようやく姿を潜め、生命が芽吹く春が来た。

 良い気持ち。

 ベランダに出て日向ぼっこしてると、また眠りについてしまいそうになる。

 寝不足だけじゃない。

 春眠暁を覚えずっていうけど、なんとなく理解できる。

 瞼が重い。

 せっかくの春休みなのに。

 こんなだらだらしてて良いのかしら。

 アイツがさっさと寝かせてくれないからいけないのよ。

 昨夜の痴態を思い頬が熱くなるのを感じる。

 ・・・ん、シンジ。

 振り替えると部屋の中で、ぼーっと雑誌をめくっている後ろ姿があった。

 アンタも柔らかい気分なのね。

 もう一回伸びをすると、アタシは部屋の中に戻った。




 そっと忍び寄り後ろから抱き付く。

 あら、驚かないのね。

 じゃあこれは。

 顔をこっちに向けて鼻先に口付ける。

 効いた。

 アタシもだけど。

 その時頭の中で閃いた。

 あれって、そろそろよね。

 考え始めると矢も立てず行きたくなる。

 よし。

 アイツを誘って表に出た。

 どこへ行くのかって?

 アンタは黙ってついてくれば良いのよ。

 柔らかい陽射しを浴びながら、喧騒の少ない午前の町をそぞろ歩き。




 手を繋ぎながらぶらぶらと歩く。

 いつもは引っ張ってもらうけど、今日はアタシが先導よ。

 歩く。

 歩く。

 歩く。

 右足。

 左足。

 右足。

 左足。

 1、2、1、2。

 リズム良く。

 テンポ良く。

 澄み切った空を見上げながら。

 自分の赤い靴を見下ろしながら。

 歩く。

 歩く。

 そうしていると、雲の上を歩いているような、フワフワ浮かんでいるような気持ちになっていく。

 歩くのが楽しい。

 左手にはシンジの右手。

 右手には手提げ。

 ふと振り替えると、シンジと目が合う。

 口元を少し吊り上げた優しい笑顔。

 微笑み返す。




 なんか良いわ。

 傍らに好きな男。

 良いお天気。

 うるさくもなく静かでもない街並み。

 春、なのね。
























Spring is coming!

















街並みを抜けると、川にぶつかる。

 上流へ向かって川沿いを歩み進んだ。

 散歩、にしたら長い距離。

 身体が温まり、上着を脱いでシャツ一枚になる。

 アンタが持つのよ。

 やれやれという表情を浮かべて、それでも持ってくれる。

 んふふ〜ん、思い通り。

 顔のほころびが滲み出る。

 歩みまでスキップ調になる。




 ほら。

 あれよ。

 見える?

 もうわかったでしょ。

 今日の散歩の目的。

 あ・れ。




 さくら。




 桜。




 サクラ。




 八分咲きってところね。

 春になったら花見。

 それが日本人の心意気ってものなんでしょ。

 本物見るの初めてなのよ。

 ミサトにしちゃ良い所知ってるわよね。

 キレイ。




 いつしか歩みを止め、アタシ達は花びら舞う桜の木々に見とれた。

 風が吹き、花びらが舞い踊る、

 幻想的な世界。

 魅惑の世界。

 時を忘れる。

 世界にアタシとシンジだけ。

 そんな気分になる。

 持参したレジャーシートを広げ二人で寝転がった。

 良い気持ち。

 シンジの腕を枕にして、アタシは桜の踊りを見続けた。




 ハッと気がつくと、空が赤らんでいた。

 いつのまに。

 何で起こさないの、と言おうとしたらシンジも落ちていた。

 身体中に花びらがくっついている。

 顔にも幾枚か。

 ククク。

 茶目っ気を起こしたアタシは、息を吹きかけて花びらを落としていく。

 感じてるみたい。

 くすぐったそうな顔をしているわ。

 すると、いきなりシンジが目を開けた。

 そしてアタシの腕を掴んで強引に抱き寄せる。

 顔と顔が近づき、そして。

 桜色に染まった頬でアタシに口付けた。




 また寝たふりだったのね。

 引っ掛かるアタシもアタシか。

 くやしいからやり返す。




 ゆっくり口を離すと、銀色の糸が二人の間にできて、切れる。

 本気になっちゃった。

 アタシが立ち上がり、髪の毛を掻き揚げると、挟まっていた花びらが舞った。

 シンジが口を開けて見ている。

 キレイ?

 アタシが?

 桜が?

 それとも両方?

 シンジが立ち上がってアタシの腰を両手で引き寄せた。

 耳元でそっとささやいてくる。

 アタシの頬が桜色なのは、きっと夕日の所為。

 シンジの言葉の所為じゃないわよ。

 きっと。




 レジャーシートを畳んで帰り支度をする。

 また来ようね。

 二人一緒に。

 来年も。

 再来年も。

 ずっとずっとずっと。

 一緒に来ようね。




 アタシ達は再び手を握って、花びら舞う桜道を家に向かって歩き始めた。

 名残惜しげにゆっくりと。

 二人の家に向かって帰って行った。




 帰りに桜餅買おうよ。

 団子も良いかもね。

 アンタのおごりで。

 ククク。

 早く帰ろう。

 夕御飯はアタシが作るから。

 今日のことを話しながら御飯食べるのよ。

 焼き付けた景色を忘れないように。

 来年のこの時まで忘れないように。

 艶やかな桜の舞踏を。







 あとがき・・・のようなもの




 久々投稿させて頂きました”Spring is coming!”。

 春が来ました。

 季節が変わってもLASですけど。

 キャンディーズの”春一番”(古い)を意識して作りました。

 ”だんご三兄弟”も混ざっています。(--;

 花見の二人は・・・という妄想でした。

 またしばらくしたらお目にかかると思いますが、今回はこの辺で。

 でわ。




 おまけ

 「四月は花見で酒がのめるぞぉ。酒が飲める飲めるぞ、酒が飲めるぞ」

 花見客に混ざって歌うミサト。

 「よぉよぉよぉ、姉ちゃんええぞ!」

 大騒ぎ。

 「ひとつでったほいのよっさほいのほぉい、ひとりむすめっと××ときは」

 ・・・不潔。

 ドンチャン騒ぎ。

 歌いながら桜の木に登り始める。

 掴まっていた枝が根元から折れる。

 お構いなく。

 また登る。

 折れる。

 登る。

 繰り返し。

 酔っ払い。

 そこへ通りかかるお巡りさん。

 「お姉さんちょっといいかな」

 ミサト一晩お泊り。







 「何の電話だったの」

 「よくわかんないけど、ミサト今日も帰ってこれないらしいわよ」

 「じゃあ今日も二人っきりだね」

 「シンジ」

 「アスカ」

 一つに重なる二人の姿。

 そして灯りが消されて闇に包まれる。

 「・・・あ」

 

 

 

 

 

 

 それでいいのかミサト?




 おわり




 ま、またもや。(--;





さくらの花びらの舞い踊る中、戯れる二人.....。ふがー、良いッス!良すぎるッス!!\(●> _ <●)がおー

と言うわけで、めぞんEVAJ01号室で大活躍中のZEROさんから投稿2発目を貰ったぞー!!
ZEROさんありがとー。\( ^ 0 ^ )

春の心地よい日差しの中、好きな人と二人でほんわかって良いですよねえ。(●^▽^●)ほえほえほー

アスカ様の何気ないわがままが可愛いし、それが二人にとって自然だっていうのが伝わってきて、何かすごくうらやましいなあ。(笑)
アスカ様幸せなんだね。( ^ - ^ )よかったよかった

シンジ君にとって一番綺麗なものは桜の花びら?それとも、アスカ様? .....決まってるよねえ。(●^_^●)へへへ

それにしても、ミサトは一体こんな歳までナニをやってるんだろう...。オヤジと同化してるしね。(笑)

さあ、春の匂いがただよう素敵な作品を書いてくれたZEROさんに、早速感想&応援を書いてまた心を暖かくして貰うのだー!!\( > 0 < )ほのぼの〜ん

 

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