雪が降る。




 都会の汚れをかき消すかのように降り続ける。

 朝方から降り始めた雪はすでに道路を覆う程になり、時折通るチェーン着用の車が、黒い筋で純白の道を汚していった。

 いつもなら夕日が射してくる時間帯になると、人々の姿は見えなくなっていった。

 滑りやすい道路を、肩寄せ歩くカップルが一組。

 所持する傘は二本。

 しかし当然のように一本の傘の下を歩いていた。

 女が傘を持つ男の腕に自分の手を絡ませている。

 ゆっくりと歩く二人。

 一歩一歩踏み締めるように。

 二人が通り過ぎた後に残る足跡。

 その跡に早くも雪がうっすらと降り積もる。




 雪が降る。
























In the snow.

by zero















 

「寒くない?」

 女が男を見上げる。

 男が女に小さく耳打ちすると、女は顔を赤らめた。

 返事をせずに、より男にしがみつく。

 しばらく無言で歩みを進める二人。

 「シンジ」

 今度は男を見ずに話し掛ける。

 「何?」

 シンジと呼ばれた男が女を優しく見つめる。

 「アタシ寒い」

 シンジは笑みを広げて傘を持ち替えた。

 「これならどう?」

 空いた手で女の手を握り締める。

 互いの温もりが互いに伝わる。

 繋がった手から体の隅々まで浸透していくような錯覚を二人は覚えた。

 「寒く・・・ない」

 その時女が足を滑らせ軽い悲鳴を上げた。

 「大丈夫アスカ?」

 繋がれた手でしっかりとシンジは彼女を支えていた。

 「滑りやすいから気を付けないと、ってことよ」

 アスカと呼ばれた女が照れながら言った。

 彼女は支えてくれたシンジの力を思い、もはや彼が少年から男になりつつあるのを実感した。

 二人は繋ぐ力を強くして、再び歩き始めた。




 雪が降る。




 二人の家まであと5分くらいのところまで来た時、アスカが突如走り出した。

 「負けた方が今日の晩御飯作るのよ」

 出遅れたシンジは傘を閉じるとアスカを追いかけ始めた。

 銀世界が外灯に照らされ、神秘的な雰囲気が満ちていた。

 明るい夜。

 人気のない雪道を二人が走る。

 薄紅のコートを翻しながらアスカが走る。

 黒のコートに身を包んだシンジが、その美しさに一瞬目を奪われた。

 「あまり速く走ると」

 その言葉も終わらないうちにアスカが雪道を抱きしめた。




 「アスカ!?」

 シンジが駆け寄っていく。

 「大丈夫?」

 片膝をついて様子を伺う。

 その時シンジの視界が一転した。

 目の前が真っ白になり顔が冷やされる。

 押し殺した笑い声が耳元から流れ込んできた。

 「ククク、アタシだけってのも不公平なんじゃないかって思って。ククク」

 その時シンジは悟った。

 やられた。

 そのまま身動きせずにじっとしている。

 どうしたの、とアスカが覗き込む気配がした。

 シンジは身を起こしアスカの手を掴んで引き寄せ、思い切り抱きしめた。

 「お返し」

 そしてむさぼる様にアスカの唇を奪った。

 息もできないほどの口付け。

 初めは受け身だったアスカもしばらくして攻勢に出始めた。

 果てしない愛撫。

 道の脇まで移動して、ひたすら求め合った。




 雪が降る。




 手を繋いだ二人が雪道を歩く。

 口元から出てくる息は白い。

 二人の体からは湯気が立ち上っていたけれども。

 二人のマンションの前まで来るとアスカが立ち止まり、シンジがつられる。

 「シンジ」

 入り口を背にしてアスカが手を離した。

 入り口前の広場は、すでに雪が5cm程積もっていた。

 「目を閉じて、手を地面と平行に開いて」

 シンジが素直に応える。

 さっきの続きかな、と思ったのは甘かった。

 頭を強く押されそのまま後ろに倒れ込んだ。

 「十字架」

 シンジはまたもや悟った。

 「ククククク、たまには人を疑わなきゃだめよ。クククククク」

 崩さないように起き上がってね、と無理な注文を聞き、シンジが起き上がった。

 アスカはすでに入り口の中にいた。

 「アタシが最初についたから、今日の夕食はシンジが作るのよ」

 やれやれ、という表情を浮かべてシンジがアスカの元へ寄って行った。

 すき焼きすき焼き、という呪文を耳に受け止めながら。




 アスカといると、毎日が新鮮で、毎日恋をしてしまう。

 玄関で雪を払ってくれるアスカを見つめながら、シンジは思った。

 「好きだよアスカ」

 靴を脱いで上がり込んだアスカが振り返って言った。

 「知ってるよ、そんなこと」

 そしてシンジの前に戻る。

 そして二人は口調を合わせて言うのだった。

 「「愛してるから」」




 二人の上に雪が降り続ける。











 あとがき・・・のようなもの




 はじめましてZEROといいます。

 この度ドラえぽんさんのところに初めてお邪魔しました。

 いつもはめぞんEVAで細々投稿を続ける、さすらいのLAS人です。

 こちらに投稿させて頂きました”In the snow.”。

 2、3年後くらいの二人を描いています。

 もちろんLASです。

 それしか知りませんし。

 雪が降った時二人は・・・という妄想でした。

 拙い作品を受け入れて下さったドラえぽんさんに感謝を抱きつつ。

 今回はこの辺で。

 でわ。

 


 おまけ

 駅からずっと二人の後ろにいたミサト。

 一本の傘の下に二人。

 こっちは一人。

 互いに温め合う二人。

 ホカ○ンで温もりを取るミサト。

 道を転げまわっていちゃつく二人。

 自分を抱きしめることしかできないミサト。

 玄関前でのろける二人。

 さっさと中に入りたいのに入れないミサト。

 彼女の通り過ぎた雪道は、怒りのオーラで雪が全て解けていたそうな。




 除雪車いらずミサトさん。




 おわり


こ、ここでもやってしまった。(--;


うおおー!!!めぞんEVAJ01号室で大活躍中のZEROさんから投稿を貰ったぞー!!
ZEROさんありがとー!!\(●> _ <●)/ホントうれちー

雪の降った夕べ、二人の何気ないじゃれ合い。うーん、良い!!いやー、美しいッス。
こういうじゃれ合いって良いですよね。

アスカ様のいたずらに愛おしさがこみ上げてくるシンジ君。わかる、わかるぞーシンジ君!\( T - T )ぐおお
アスカ様にこんな可愛いことされちゃあたまんないよね。
毎日恋をしてって素敵じゃないですか。この二人にはきっと倦怠期なんてないんでしょうね。( ^ - ^ )

そ、それにしてもミサトさん...。アンタはそれで良いのか。(笑)

さあ、この素晴らしい作品への感動をさっそくZEROさんに伝えるのだー。感想を書こー。おー\( ^ 0 ^ )

 

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ここから是非感想を送るのだー。\(●> _ <●)おーっ

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