ここは日曜日の葛城家。

「シンジぃ〜、シンジってばぁ〜。」

言わずと知れた声の主は我らが惣流・アスカ・ラングレーその人。ただいま想い人のシンジを捜索中(笑)。

「お〜い、シンジ〜?シンちゃんや〜い。」

のんびりしたその口調とは裏腹に、彼女は忙しく家中のあらゆる場所−ミサトのクローゼットに始まって、果てはパソコンのFDケースの中まで−を探し回っている。

「だって、あのマッドサイエンティストに小っちゃくされちゃったのかもって思ったんだもん。」

とは後のアスカの弁。そうこうしていると、玄関のドアが開く音に続いて、アスカの待ち望んでいた声が…。

「ただいま〜。」

「シンジ!!」

アスカは玄関に猛ダッシュ。シンジが驚くのにも構わず、シンジの首にしがみつく。

「シンジぃ〜おかえり〜♪」

一方のシンジも慣れたもの、優しくアスカの髪を撫でながら応える。

「ただいま、アスカ。」

「ねぇシンジ、こんな時間に出かけるなんて珍しいわね?しかも午前のうちに帰ってくるなんて。どこに行ってたの?」

そう尋ねるアスカの眼に非難の色は全く無い。シンジを信頼しきっているからであろう。

「うん、実はね…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

LASなライセンス 作:ゆにゃゆにゃ

 

 

「自動車学校?」

「そう。中学校の裏側にあったでしょ?」

「あぁ、あそこに行ってるんだぁ。そっかぁ、シンジはもぅ免許が取れる歳だもんね。」

頷きながらお茶を飲むシンジ。アスカは言葉を続けた。

「ねぇ、シンジ。免許が取れたらドライブ…連れていってくれる?」

「もちろんだよ!真っ先にアスカと行くって決めてるからね。」

「ね、ね、シンジ。車どうするの?ミサトの借りるの?」

「え?車?どうしようかな…。」

その時シンジの口端が僅かに上がったのには気付かないアスカだった。

それから数週間が過ぎて…。葛城家のリビングでは、問題集を眺めるシンジと、そのシンジを眺めるアスカの姿が有った。シンジはストレートで実技試験もパスし、後は法規の試験さえクリアすれば、運転免許を手にできる。

しばらくして、シンジが問題集から目を上げて、首を2,3回左右に動かして言った。

「う〜ん、これくらいやっとけば大丈夫かな?」

「きっと大丈夫よ。だって自動車学校の模擬試験だっていつも満点だったんでしょ?」

「え?なんでそれを?」

「ん〜、アタシもそろそろ行こうかな〜?って思って学校に行ったついでに聞いてみたのよ。教官がシンジの事、すごく誉めてたわよ。初心者とは思えないほど安定してる、ですって。」

「へぇ、アスカも行くの?アスカもきっと大丈夫だよ。アスカは僕よりもずっと運動神経だっていいしね。」

「あったりまえよ、アタシができないことなんて無いわ。」

両手を腰にあてて、胸をはるアスカをシンジは微笑みながら見つめていた。

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その翌日。アスカはリビングでシンジの帰りを待っていた。はじめから待つと分かっているのに、それでも落ち着かないアスカ。座ったかと思えば、立ち上がってベランダから外を眺める。かと思えばTVをつけてチャンネルを一巡させはじめた。

「はぁ〜、全く。つまんない番組ばっかり!」

そう言ってTVを消し、テーブルの上に有る新聞を手に取る。そんなアスカをじっと見詰めていたミサトが言った。

「アスカ、シンちゃんの試験が気になるんでしょ?」

…うん。だってもしかしたら、シンジ緊張してて模擬試験みたいに行かないかも知れないし。」

不安げな表情でそう話すアスカを見てミサトは優しく微笑んで言った。

「大丈夫よ。シンちゃんはやる時はやる子だもの。シンちゃんの事、アスカが信じてあげなくてどうすんのよ?」

「そう、そうよね。シンジだもんね。」

(そう。シンジはそういうヤツ。でなきゃ、アタシがこんなにシンジの事好きになったりはしなかったもの…)

心の中で呟くアスカ。

「そうだっ、ミサト!シンジが免許取って帰って来たらミサトのアルピーヌ貸してよね?」

「え?あ、う、うん、良いわよ。」

「さぁ〜シンジ。車の準備はできたわよ〜。早く帰ってらっしゃい〜。」

あさっての方向に向かってガッツポーズを取るアスカ。

「ア、アスカ…。あんた背中から炎が出てるわよ(笑)。」

と、その時玄関の開く音に続いて…

「ただいま〜。」

「シンジ!!」

アスカはどたばたと玄関に駆けていき、一人リビングに残ったミサトは愛車のキーを指で弄びながら二人が戻ってくるのを待っていた。

「ミサトさん、ただいま。」

「シンちゃん、おかえり。」

ミサトにはシンジの表情で、試験の結果がどうだったかを窺い知ることができた。

「シンちゃん、免許証見せてよ。」

「よく分かりましたね、合格したって。」

シンジはそう答えながら、ミサトにまっさらの免許証を手渡した。

「アハハハ!!」

シンジの免許証を見たミサトは大声を上げて笑い始め、シンジは頭をかいた。アスカ一人が訳が分からずぼーっとしている。それを察したシンジは…

「どうして免許証とかの写真って、こんな悪人顔になっちゃうんでしょうね?」

とさり気なくアスカに分かる様にフォローを入れた。

「ミ、ミサト!シンジのばかり見て笑ってるなんて失礼よ!!アンタのも見せなさいよ!」

「あぁゴメンゴメン。……はい、どうぞ。」

ミサトが差し出した免許証を覗き込む二人。写真に視点が定まると同時に、吹き出してしまう。

「ミサトさんも僕の事笑えませんよ〜、アハ、アハハハ…。」

「そうよ、ミサト。しかもこれ、二日酔いの時の写真でしょ?」

「げ。なんでそこまで分かるのよ!」

「だって、ねぇ〜、シンジ♪」

アスカ、ミサトにシンジが笑われた分、ミサトを笑った事で上機嫌。

「ま、まぁとにかく。」

自分の免許証をバッグに戻しながら話を始めるミサト。

「初めての免許って嬉しいものよねぇ〜。私なんて、免許取ったその日に加持の車でドライブに行ったもの。流れる景色が助手席から見るのとは、全然違ってて、見慣れた風景が全部新鮮に見えたもんよ。」

「でも、帰りは電車だったのよね〜?ミ・サ・ト?」

ミサトの顔が引きつって『ぎぎいっ』とアスカを振り返った。

「ど、どうしてその事を?」

「加持さんから聞いちゃったもんね〜♪」

鬼の首を取ったと言わんばかりのアスカ。今度はシンジが訳が分からない。ミサトは大きくため息をついてシンジに説明した。

「実は、その最初のドライブでぇ…加持の車潰しちゃったのよね〜、はは、ははは…はぁ。」

乾いた笑いに続いて、再びため息。説明を聞いたシンジは苦笑い。

「でもね、それがきっかけで加持と付合うことになっちゃったのよ。」

アスカもそこまでは知らなかったらしく「へ?」となっている。

ミサトはその頃の思い出をとうとうと語り始めた。

「さてと、それじゃあ約束どおり、ドライブに連れて行ってくれるわよね?」

アスカはシンジに甘えた声でそう言うと、次はミサトに大声で言った。

「ちょっとミサト!帰ってきなさいよ!」

「でね、加持ったらね〜…あ?アスカ、何?」

「ま〜ったく『何?』じゃないわよ。シンジとドライブ行くからさ、車貸してほしいのよ。」

「ふーん。私は構わないけど、シンちゃん、どうするの?」

「いや、今日はいいですよ。」

「ちょ、ちょっとシンジ。まさか行かない、なんて言うの?」

そう言うアスカの瞳は、もう潤んでいる。その潤んだ瞳を見たシンジは慌てて話し始めた。

「ち、違うんだよ。アスカ。」

「え?」

「実はね〜、シンちゃん、もう自分の車買ってるのよ。」

「えぇっ?」

「ゴメンね、アスカ。今まで黙ってて。」

「じゃ、じゃあ何でミサトはその事知ってるの?」

「実は僕が買ったのもミサトさんのと同じ時代の車なんで、店を紹介してもらったりしてたんだ。アスカの事、驚かそうと思って。」

「それがねぇ、シンちゃんがま〜たとんでもない車がほしいなんて言い出したもんだから、お店の人、あちこち探し回って、やっと見つけてきて、それをあたしのアルピーヌと同じようにハイブリッドに改造したりしてたもんだから、時間掛かっちゃってね〜。危うく今日に間に合わないところだったのよ。」

「そういう訳で今日まで黙ってたんだ、ゴメン!アスカ。」

「シンジぃ〜、アタシに隠し事したわね〜。」

「ちょっと、アスカ。シンちゃんだって悪気が有って…。」

「ミサトはいいの!」

……はい。

「元はと言えば、僕が隠してたのが悪いんだ。だからアスカの言う事なんでも聞くから怒らないでよ〜。」

哀願するシンジ。そして、最後の一言に反応するアスカ。

「言ったわね〜、シンジ。」

ニヤリとするアスカ。

「それじゃあ言う事聞いてもらおうじゃないの。」

固まるシンジ。

「いい?シンジ!シンジが買った車の助手席にはアタシ以外の誰も乗せない事!これが許す条件よ!」

自分で言っおきながら、顔を少し赤らめるアスカ。

「なぁんだ、そんな事。」

ほっとして胸をなで下ろすシンジに、どうやらケンカになりそうもないと察したミサトも安心してリビングを離れる。

「もちろん、はじめからその積もりだよ、アスカ。」

「え?」

ぼっ!という擬音が聞こえそうなほど顔を真っ赤にするアスカ。そして次の瞬間には…

「だからシンジって大好き!!」

シンジに抱き着くアスカだった。

「じゃあ、行こうか?」

「うん!!」

力いっぱい頷くアスカ。

「それじゃ、ミサトさん。行ってきます!」

「行ってくるわね、ミサト!」

キッチンの方からミサトの返事と、ビールの缶を開ける音が返ってきた。

「気をつけてね〜。」

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マンションの駐車場にシンジと、シンジの腕に絡み付くようにしたアスカがやって来た。

「ねぇねぇ、シンジぃ。シンジの車ってどれ?」

「ミサトさんの隣の白いのだよ。」

「ミサトの隣、ミサトの隣っと…。」

背伸びして、辺りを見回すアスカの視界に1台の白い平凡なセダンが目に入った。

「え?こ、これ??」

「そうだよ。」

得意満面といった感じのシンジ。

「わざわざ探してもらったなんて言ってたから、何だか凄いの想像してたけど…。」

アスカの顔に『なんでこんな普通のなのよ!それも旧いみたいだしさぁ。』という不満を読み取ったシンジは、ますます得意げな顔をして、アスカに語り掛ける。

「ねぇ、アスカ。後ろに回ってみてよ。」

「後ろ?」

アスカがシンジの車の後ろに回り込む。

「何よ?どうしたの?」

シンジは微笑みながら言った。

「アスカ、後ろにこの車の名前、書いてない?」

「ん〜?名前がどうしたのよ?……あぁ、これね?えーっと?え??えぇっ???」

シンジの顔を見詰めるアスカ。

「うん。」

少し顔を赤くしたシンジ。しばらく黙ったままの二人。

「い、行こうか?」

ぎこちなくも提案したシンジと、それに同調したアスカは車に乗り込みドライブへと出発した。

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ここは第3新東京市を一望できる山の頂上の駐車場。山の稜線に沈む寸前の夕日が辺りを照らしている。二人は車から降りて、黙ったまま、眼下の市内の景色を見ている。

「ねぇシンジ。」

「どうしてあの車、選んだの?」

「実はミサトさんに相談したんだ。そしたら『シンちゃんはあまり詳しくなさそうだから、これでも見て勉強しなさい。』って本を貸してくれたんだよね。その中にこの車があって、決めたんだ。」

「ミサトが…?さては、分かっててやったわね…。」

「でもいいじゃない、アスカ。僕はこの車だったら、きっと大事にいつまでも乗っていられると思うんだ。新しい物も良いんだけど、何か一つの事をずっと大事にするのも良いんじゃないかなって思うよ。」

「シンジ…。」

アスカの瞳が潤み、すぐに一筋の雫が頬を伝って落ちた。

「アスカ…。」

シンジがアスカの目尻に触れ、優しく頬を拭った。

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「さ、暗くなってきちゃったし、帰ろっ!シンジ。ミサトもお腹空かせて待ってるわよ、きっと。」

助手席のドアを開け、車に乗り込みながらそう言うアスカに運転席に座ったシンジが応える。

「そうだね。今夜は何が食べたい?」

「う〜ん、今日はシンジにここまで連れてきてもらったから、シンジの食べたい物でいいわ♪」

「え?何だよ、それ。」

「いいのよ、たまには。」

いつもと変わらない様な会話でも、シンジの車の中でするそれがとても新鮮に感じてしまうアスカだった。

(頼りなくて弱っちくて優柔不断で、でも誰よりもアタシの事分かってくれて、アタシの事だけ見てくれてて、そしてアタシと同じ名前の車なんて探し出してきて…。シンジ、やっぱりシンジって最高だわ!)

「ん?アスカ、何か言った?」

信号待ちで停車した時、シンジはアスカの方を向いて尋ねた。

「うぅん、何でもない。」

アスカはシンジに最高の微笑みで応えると、運転席に手を伸ばし、ステアリングを撫でて言った。

「これから、よろしくね。それとシンジの事、頼むわよ!アスカ!!」

 

LASなライセンス 〜完〜

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あとがきらしきもの。。。byゆにゃゆにゃ

ど〜も。性懲りも無く書いてしまったゆにゃゆにゃです。前作「LASな115」に感想を寄せてくださった皆様、ありがとうございましたm(_ _)mあとがきの前にちょっと今回の「LASなライセンス」の設定(という程大袈裟なモノでは無い)を紹介しましょう。

前作「LASな115」とは何の関係もないことを踏まえて。この時代、すでに自動運転が広まり始めていることもあって、免許取得可能年齢が引き下げられています。つまりシンジ君は15,6歳ってところでしょうか?まぁその辺りの年齢です。で、二人はすでに公認の仲。もちろんミサトも二人の仲を応援する良きお姉さんです。3人で相変わらずマンションに住んでいるところを見ると、ミサトはまだ結婚してないようですね〜。

そして、今回のもう一つの主役。シンジがミサトのアドバイスで探し出してきた愛車について。シンジが選んできた車は、実はイスズのアスカという車です。もちろん、選んだ理由はただ一つ。アスカと名前が同じだから!!それ以外に理由は要りません!これだけの説明で「あぁ!あの車か!」と浮かんだアナタ。相当なマニアですね(笑)「おおっ!自分と同じ車か!」というアナタ。参りました(^^;蛇足ですが、シンジのは1988年式のアスカ・イルムシャーターボ(5MT・白)、この時代に合わせるためにミサトのアルピーヌと同じくハイブリッドに改造されている、という設定です。

という訳で私のSS第2弾「LASなライセンス」が出来上がってしまいました。シンジが車に乗るお話は結構見かけるんですが、イスズ・アスカに乗るというSSはまだ見たことが無いので書いてみました。(そりゃそうでしょう。イスズ・アスカを知っている人がどれだけいることやら…)さぁ、アスカの下僕を自認するアナタ!明日から中古車屋さんを駆け回りましょう!と、いう訳で感想お待ちしていま〜す!ゆにゃゆにゃでした。

P.S.私の免許証の写真もやっぱり悪人面してます(^^;



アスカ様のダッシュあんど首タックル。まるで、新婚さんじゃないですかー!\(●^▽^●)うへへへへ

というわけでゆにゃゆにゃさん、らぶりーアスカ様2人目ありがとうございますー。\( ^ 0 ^ )

ちなみに、この作品は残念ながら閉鎖してしまったドラえぽんのオアシス『アスカとシンジの愛の城』からの移転2作品目です。

シンちゃんおしゃれなコトしますねえ。クルマの名前が『Asuka』...。男のロマンですな。(笑)
しかも、シンジ君に取ってはそれ以上に価値のある名前ですよね。( ^ - ^ )

ワガママ言ってきりかえされるテレテレアスカ様もカワイイですなあ。\(●> _ <●)うひょう
しかし、シンジ君成長したねえ。無意識にアスカ様の喜ぶツボを知ってますな。←なんかエロイな(爆)

さあ、こんな二人のラブラブマイカー話を書いてくれたゆにゃゆにゃさんに、イカスっすと感想&応援を書いて次ぎもラブラブだー。\( ^ 0 ^ )おー

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ここから是非感想を送るのだー。\(●> _ <●)おーっ

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