「…!?…ユイ!?…こ、この私にまだ生きろ…と言うのか…?…ユイ…」

「…キョウコ君なのか!?…こんな私を守ってくれるというのか…?」

急速に薄れ行く意識の中でゲンドウと冬月はつぶやいた。

彼らの意識はそこで途切れた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新世紀エヴァンゲリオンGK

ENDLESS WALTZ

第弐話 Both with you. Dance like you Want to Win.

 

 

 

 

 

ドッ!ズドドォォン!

使徒の自爆に巻き込まれボロ屑のように舞う初号機と弐号機。フィールド無展開の二体の巨人の体はあまりにももろい。烈しい衝撃を受けるゲンドウと冬月!狭いエントリープラグ内でなかば人間ピンボールと化す彼ら。

ガガガガガガガ!

激しいショックと振動をもろに受けつづけもはやうめくことしかできない!

「…!ぐ…ぅぅ…ぅう!…!!」

耐えるゲンドウと冬月。

エヴァの体は無残にも砕けていく。もはや衝撃を和らげるための緩衝材の役にも立ちはしない!

 

「…くっ!…わ、私は…!グ!…こ、ここ…ガッ!…までかっ!…ごふっ!」

フッ…まるで血だ…この血塗られた私には…これがちょうどいいのかもしれないな…私には…

自分の血で朱く染まっているLCLを深く吸い込む。血の匂いがした。

 

「…!む、むむ…ギ!、胸が…い、痛い…!かはっ!…くっ!…だ、だめ…か…」

あれから15年もたつのか…私も年をとりすぎた…か…目が霞む…すまんな…役にたてなかったようだ…

胸部の激しい痛みに襲われコックピットからずり落ちる冬月。

なおも激しい衝撃は続く…

 

ふと彼らは違和感を感じた。

「…!?…ユイ!?…こ、この私にまだ生きろ…と言うのか…?…ユイ…」

「…キョウコ君なのか!?…こんな私を守ってくれるというのか…?」

急速に薄れ行く意識の中でゲンドウと冬月はつぶやいた。

彼らの意識はそこで途切れた…。

 

爆風に舞い上げられてしまった初号機と弐号機は急速に落下する…。

気絶(絶命?)する2人を乗せたモノは地面に吸い込まれていく…。

 

 

─ミサトのマンション

舞い散るガラスの破片はあまりに無抵抗な彼らを襲う!

ガガガガカッッ、ガシガシャン!

アスカをかばうシンジ。光を乱反射させ光の中に飲み込むかのようにシンジを切り刻んでいく!

「…ぅ!…ぐぐうぅ…ぅう!」

シンジは歯をくいしばって耐えている!

 

…キンキンッ…カラン…

 

 

やがて静寂が支配する…。

背中を中心に全身に傷を負うシンジ。力なくアスカにもたれかかるかのように覆い被さる。

「…!?シ、シンジ!」

再び真っ赤になるアスカ。シンジに押し倒された格好になっている。

「ち、ちょっとシンジ!?ちょっとまってまだ心の準備が…って…ち、ちょっとどうしたのよ!?」

シンジがおかしいことに気づく。なんの心の準備なのだろうか?

周りに散らばるガラスの破片。ひしゃげた窓枠。歪んだ部屋。床に転がる家具。割れたテレビ。

起こそうとシンジの背中に手を回すアスカ。途端にヌルッとした感触が伝わる。

え?…ま、まさか…?…血…?

おそるおそる自分の手を見るそこにはシンジの血で真っ赤に染まったアスカの手があった。

…!?

アスカははっと気づく!

さっきの…ってま、まさかシンジはア、アタシをかばって…かばってくれたの?

とたんにアスカの中でさきほどの情景がフラッシュバックする!

 

 

「シ、シンジィ!死なないで!」

シンジの首に抱きついて泣くアスカ。

その前にシンジを介抱するとかいろいろやりようがあると思うんだが。動転してるアスカには考え付かないようだ。

「…だ、大丈夫だよ…アスカ…」

気がついたシンジはそう言うと力なく微笑み…また昏倒する。

「!シ、シンジ!?シンジ!シンジィ!」

 

 

 

 

背面から地表にコンタクトを試みるエヴァ!このままではエントリープラグにのる2人が…!!

…ズズゥン…

予想どうりエントリープラグからの壮絶な背面着地!

…ミシィ…

エントリープラグがひしゃげるイヤな音が…した。

誰もが…確信した。彼らは…死んだと。

死神に魅入られている2人。

 

 

 

─ネルフ発令所

…いったいどのくらい時間がたったのだろう。

呆然とモニターを凝視しつづけるネルフスタッフ。

 

 

「…せ、生存者の…き、救…出…急いで」

顔面をこわばらせてミサトはボソッとつぶやくようにいう。

「…生きてれば…の話ね」

リツコがつぶやく。

「…!」

 

 

「…初号機および弐号機パイロット確認!とりあえず2人ともまだ生きてますッ!」

いっきに緊張が解ける発令所。安堵の声がまわりから漏れる。

もう既に重い空気は残ってはいない。談笑する声も周りから聞こえる。

…しぶといわね。彼らはヒトなのかしら?常識を疑うわ。で、被害状況は?」

しゃあしゃあと言い放つミサト。さっきまでの緊張はどこへ行ったのか。おちゃらけモード全開。

「エヴァ初号機および弐号機、大破。原型をとどめてません!」

「今回の使徒は自爆ポイントが市街地に近かったですね」

「一歩間違えれば大惨事ってことかしらね」

「はい。シェルターも近かったですから。あの爆発ではシェルターごとエグれますよ。」

「あら?ミサトのマンションも結構近いんじゃない?大丈夫かしらね?」

心配というよりからかうような口調でミサトにふる。

「大丈夫よぉ。あのマンション高かったんだからぁ!使徒の自爆の1回や2回耐えるわよぉ」

そんなマンションあるのか?

でも確認してみようということで日向が気をまわしてモニターに映してくれる。

モニターには無残な瓦礫の山と化したミサトのマンションが映っていた。

「「「「…!」」」」

 

「…う、嘘…。…!…ぺンペンがい…」

震えるミサト。さっきまでのおちゃらけた雰囲気はうってかわってうろたえている。

「…シンジ君ッ!アスカッ!」

突然加持が叫ぶ。顔面は青ざめている。発令所をとびだそうとする加持。ミサトのマンションへ向かうのだろう。

…シンジ君…アスカ…くっ!…無事でいてくれ…!

 

「…!?」

ミサトは訳がわからない。

…ちょっと何をいってるの?シンジ君とアスカは…!?

「ちょっと待って…私も行くわ!」

無言で頷く加持。

「リツコッ!日向君ッ!あとよろしく!」

返事も聞かず加持のあとを追うミサト。

「よろしくって、ちょっとあなた…ミサトッ!?」

悲鳴に近い声をあげるリツコ。

「…ムダですよ…葛城さんには…ハァ…」

いつものことなのだろう…日向君?

 

 

駐車場につく2人。

加持の車にすべりこむように乗り込む加持とミサト。当然ハンドルを握るのはミサトだ。

RVタイプの四輪駆動車だ。

エンジンをかけると同時にギアをバックにいれアクセル全開でべた踏む。瞬間的に車がノックしながらタイヤがから回る!

ミサトはさらにこの車のパワーバンド6000rpmまでアクセルを踏み込むと今度は一気にギアを3に叩き込む!

ギギュルッ!ギギッギッ!

ミッションが悲鳴を上げる。ギアをかむ音がする。ギアが削れる!

…くるっ!…あと…あともうすこし!…!!きた!イケるわっ!

ブレーキを少し踏んだあとタイミングを計るようにサイドブレーキを乱暴に解除する。タイミングは女の勘か!

ガキャ!ギギギッ!

その直後に解き放たれた弓矢のように時速120km/h超で吹っ飛ぶようにスタートをきる加持のRV。凄まじいロケットスタート!成功だ!

さらにミサトはリズムをきるように4、5と叩き込んでいく。

…ギャギャギャ…ギキーー!

悲鳴を上げるタイヤ。焼けていく。コーナーを超高速で駆け抜けていく。カウンターを当てるたびにシャシーが歪む。

…加持のRVは確実に廃車の道をたどっている。

 

虚ろな目をおよがす加持。

…新車が…新車が…シンシャガ…

「シンジ君とアスカ…あそこにいるの?」

抑揚が無い声で加持に詰問するミサト。

「え?ああ…。シンジ君とアスカは君の家にいる」

思考の海に沈む加持がサルベージされた。

そ、そうだ…シンジ君とアスカだ!…シンジ君…アスカ…生きていてくれ!…く、車なんて…ま、また買えばいい…?

「…!」

ミサトの予想していた答えどうりだったが加持の口から改めて聞くとやはり動揺する。

「じゃあなんでロストしたなんて…?」

当然の疑問だろう。

「…わかった。葛城にはすべて話す。他言無用だ。約束してほしい」

「…」

憮然としているミサト。

「司令の命令だ」

「…!?い、碇司令の!?」

驚くミサト。当然だろう。

「そうだ。エヴァに関わるものは不幸になる。だから彼らを登録抹消し普通の生活に戻そうとした」

淡々と語る加持。

「…なぜ!?なにをいまさら!?」

「…」

「…」

「フォースチルドレン以降の選出権の放棄、マルドゥック機関の廃止。司令は本気だ。もしそうでなければ命をかけてエヴァには乗りはしないだろう。司令自ら乗る理由などどこにも無いからだ」

「…」

「司令は言っていた…自分の蒔いた種は自分で刈り取る…と。自らエヴァに乗ってケリをつけるつもりなのだろう。…委員会と」

「…委員会?」

「ゼーレのことだ」

「し、司令はゼーレになにを…」

真実の片鱗に触れ狼狽しつつも次々と疑問が沸く。

「…」

…ガギャキャキキュゥウウーーーーーッ…ガンッ!

2人はミサトのマンションにたどり着く。

「…葛城!行くぞ!」

ミサトの最後の問いに加持は答えなかった。マンションについてしまったからか、言いたくないものだったのかはわからない。

 

マンション(だったもの?)を見上げる二人。廃墟と化したそこは何人を寄せ付けぬ有無を言わさぬ迫力がある。

 

…いくぞっ!

…ええ。

目で会話する2人。無言で伝わる。駆け出す2人。

 

もちろんエレベータは使えるはずも無い。非常用階段を駆け上がる加持とミサト。

…シンジ君…アスカ…生きていてくれ!

ペンペンはどうでもいいのか?加持君?

 

葛城の家…あった!

ドアを銃で撃ち吹き飛ばしながら転がるように滑り込む。

「シンジ君!アスカ!いるか!いるなら返…!」

叫ぶ加持。状況を確認する。かなりひどい状況だ!状況レッドというところか。

「か、加持さん!?」

うわずったような…すがるようなアスカの声がする…いや、した。

「アスカッ無事かっ!?シンジ君はっ!?」

「シ、シンジが…ま、窓が…ひっく…ち、血がでて…っだ、だ…大丈夫だって…ひっく…うぅぅ…」

既に何を言ってるかわからない。ただシンジに何かがあったことは伝わった。

シンジ君に何かあったのか?窓が血が大丈夫って?どういうことだ?ま、まさか!もしかしてシンジ君は爆風のショックで窓から吹き飛んで階下に落ちて潰れたスイカって違う!?いや違うと思いたい!いや違うと思うんだが!

さらに奥に飛び込んでいく加持。アスカがいた。血だらけのアスカが目に入る。

「…!アスカッ!その血は…!どこを怪我した!?」

「ち、違うの…!シ、シンジがアタシをかばって…!」

「シンジ君が!?」

アスカの言葉を最後まで聞かずにアスカの出てきたリビングへ走りこむ。

そのときミサトが遅れて入ってくる。

「…アスカ!?…シンジ君っ!?…無事!?…はあはあ」

ビールの飲みすぎ…運動しましょう。アンタもペンペンのことすでに忘れてるみたいだね…?

 

シンジがいた。タオルケットの上に寝かされている。所々応急処置のようなものがなされている。アスカがやったのだろう。

だが動脈が切れている…かなり重症だ。失血し続けている。このままだと失血死するだろう。まちがいなく。

加持はシンジの怪我を確認するとすぐにシンジの応急処置をする。

…まずい。血が止まらない…?これはやばいな…。一刻もはやくNERVへ運ばなければ!

タオルケットごと抱き上げる。

 

「…シ、シンジ君!?」

加持に抱き上げられているシンジを見たミサト。血まみれのシンジが目に焼き付く。呆然と立ち尽くしている。

「葛城ッ!何してる!シンジ君をNERVに運ぶ!手伝ってくれ!」

「…!、わ、わかったわ!車のほうに先行ってるわっ!アスカッ!いくわよっ!」

弾かれるように反応するミサト。シンジの血で血だらけのアスカの手を引っ張って走り出す。

「…シ、シンジは…!」

「シンちゃんなら大丈夫よ!とりあえずNERVへむかうわよっ!」

気休めでシンジは大丈夫というミサト。非常階段をアスカの手を引っ張りながら駆け下りる。

…大丈夫なわけ…ないわ…!…ちょっちやばいわよぉ…?くっ!家に残したのが裏目に出たようね…!

少し遅れてシンジを抱きかかえてとびだす加持。片手にはペンペンを掴んでいる。

ペンペン良かったね…忘れられてなくて…ね?

車に乗りこむ四人と一匹。

ミサトは車をかっとばす!ものすごいスピードでまわりの景色が色とりどりの絵の具のように溶けていく。

 

アスカは祈るようにシンジの手を握っている。

…シンジ、シンジ、死なないで…お願い…

シンジは自律呼吸が浅くなってきている。

…やばいぞっ!シンジ君の容体はさらに悪化してるッ!…刻一刻を争う状況だ。これは。

加持はそう直感的に判断した。加持の目は険しい。ルームミラー越しにミサトにむける。

…やばいのね…?

ミサトの目も険しくなる。

無言で加持が頷く。

NERVが見える。

「…つっこむわよ」

誰に聞かせるわけとなく自分に言い聞かせるようにミサトはつぶやく。

ガッシャン!ガガギキーーーッ!キュキュキキー!

シャッターを突き破る加持の車。フロントもベコベコ。ウィンドシールドは砕けとび、タイヤは削れまくっている。

弾丸のように突っきっていく…目指すは…NERV内救急施設。

 

 

 

 

回収班、救護班が到着した。

回収班の隊員が手動で初号機のエントリープラグを排出させようとする。ハンドルを引く。

…ガシュ…

動かない!動かないのだ。慌てて繰り返し何回も同じ操作をする回収班隊員!

…ガシュ…ガシュ…ガシュ…

「だ、だめだ…!排出機構部がイッてるみたいだ!」

当然だ!エントリープラグを狙うようにぶち当てる鮮やかな背面着地だったのだ。

無事なほうがおかしい!

 

いまも刻一刻とゲンドウと冬月は私達の知らない世界へ1歩1歩近づいている(笑)

…おはなばたけ。

 

「くそっ!…レーザカッターで強制…

「弐号機パイロットの救出!急げっ!」

こちらも手動でエントリープラグを排出させようとする。ハンドルを引く。

…ガシュ!…ッシュィーーン…ブシューッ!

こちらは無事だったようだ。エントリープラグが射出される。そして赤く染まったLCLが緊急排水される。

ハッチを開くためエントリープラグのハンドルをまわす。

バクン!

「…いないぞッ!?」

そこには誰もいないように見えた。朱く染まったエントリープラグ内部。血のついたコックピットとインダクションレバー。

「いたッ!まずいッ早く運ばないと!!」

足元に死体のように浮く冬月を見つける。既にどざえもんと化している。

もう脈も瞳孔反応もなくなったようだ。

迅速に救出され救急車に乗せられる冬月。

きついプラグスーツを切り取る救護班隊員。軽いチェックを行った後、人工蘇生が行われた。

バシュ!

ビクッ!

「…くは!…がかぁ…くっ!」

…こ、ここは?…三途の川に浮いていたような気がするンだが…?ま、また戻ってきたというのか…?…ぐっ!?

一瞬気がついたが強烈なめまいに襲われベッドに沈む。

冬月は蘇生に成功した。しかし蘇生に成功したといっても内臓破裂と体中の筋肉組織の裂傷、頭部強打による脳障害…。数え上げればキリがない。すぐさま集中治療室に運ばれていく。

 

 

初号機のエントリープラグが排出されないため、上蓋の部分をレーザカッターで切り取る。

…ザシューーーッ…

そのとたん真っ赤に染まったLCLがあふれ出る。

それを浴び血に染まる回収班隊員。ひどい血の匂いがする。

暗闇のエントリープラグ内に光が射す。

…た、丹○哲郎…が…

彼のにこやかな微笑みがゲンドウの心に焼きついた。なぜ?

救助班隊員がコックピットに突っ伏している真紅に染まったゲンドウを見つける。

「…がぼっ!」

赤黒い血を吐く。コックピットからしなだれ落ちるゲンドウ。

目は焦点が合っていない。ゲンドウは指ひとつ動かすことができなかった。

救助にきた救急班隊員を掴み立とうとする。やはり体が動かない。かかしのように倒れた。

ひきつけを起こしたかのように痙攣するゲンドウ。

ゲンドウを担架に乗せる救急班隊員。

…ユ…イ…

救護班隊員はゲンドウを集中治療室に運ぶため救急車にのせる。…そしてはしりだす…NERVへむかって。

 

 

 

 

─NERV内集中治療室

ゲンドウは手術台の上にいた。もうろうとした現実とも夢ともわからない意識の中やりとりをきいていた。

…こち…もひどいな…えぇ内臓…なりやられて…す…ピッピッ…意識が…どった…す!…昇圧剤を…ピーーーーッ…停止…まずい!…

バシュ!

…ぐっ!…こ、ここは?

…蘇生成功…心…パルス…α波…ですが!…β波…正常では…

 

私はまだ…いきて…いるのか…?…ユ…イ…

 

ふと横に同様に手術台に寝かされている冬月がおぼろげながら目にはいる。

…血圧40/25…このままでは…失血性ショックを…ます!…昇圧…緊急…輸血!

冬月…?お前もいるのか…?

…胸部骨折…況は?…胸骨…粉砕骨…肋骨は11…単…折。…6本…肺臓に刺…ています…拍数が!…強心…を!

…臓の方は…てる?…脾臓…い臓…裂して…ます…脳は?…外シ…クによ…出血が…脳…圧迫さ…いるた…意識…どりません!

…ふ、ふゆづ…き…

…彼の意識はまたとだえた。

 

 

─ネルフ本部内救急病棟

血まみれのタオルケットに包まれたシンジを抱えて加持が診察室へ走りこむ。アスカもついてきている。

「シ、シンジが…」

アスカが泣きながら訴えようとする。

「…どうし…!!」

事務的な会話をはじめようとした医者が息を飲む。あたりまえだ。血にまみれた少年を抱える血だらけの中年(?)と血に染まった少女が切羽詰った形相をしてたっているのだ。

「君!こっちへ!ここへ彼を!」

加持は無言で頷きシンジを救急用の寝台へそっと乗せる。

「誰か!誰かきてくれ!」

看護婦が数人やってくる。

「彼を手術室へ!早く!」

意識不明のシンジを乗せた寝台が手際良く手術室に運び込まれていく。医療ミスはまだおきて無いようだ(笑)

ついていこうとするアスカを制止する看護婦。さらに拒絶するかののようにドアがしまる。パッと手術中のランプがつく。

「シ、シンジィー!」

「彼なら大丈夫よ…きっと大丈夫…」

なだめる看護婦に抱かれて泣くアスカ。

 

「彼に何があったんです?」

「ええ、実は…」

 

 

「シンジ…」

うなだれるアスカがポツリともらす。

「アスカ…あなたに話があるの…」

ミサトがアスカに話す。

「いいにくいことなんだけど…あなたのエヴァのパイロット資格は…登録は…抹消されたわ」

「…え?」

「表向きは作戦規律に違反したということでだけど」

「…ど、どういう…こと…」

アスカの顔がさらに絶望の色に染まる。

「いい?アスカ。落ち着いて聞きなさい」

「…」

「あなたとシンジ君は今日付けでエヴァ専属パイロットをおろされたの」

「…な、なんで…!」

愕然としているアスカ。震えている。

「まだ話は終わってはいないわ。エヴァ初号機と弐号機のパイロットは碇司令と冬月副司令にチェンジされたわ」

「し、司令と…ふ、副司令が…?」

「そうよ。司令と副司令は使徒を撃破したわ。でも代償も大きかったわ。彼らは今、死に瀕しているの。命をかけた戦いのせいでね。エヴァ初号機と弐号機は大破して原型をとどめていないし、市街地が近かったせいで私達のマンションみたいに被害が出たところも少なく無いわ」

淡々とアスカに告げる。

「…そ、そんなに…強かったの…?あれは…?」

「いえ。あなた達なら1分もかからずに倒せた敵よ。そのためのユニゾンの訓練だったから」

「…じゃ、じゃあ…な、なんで…!」

 

「エヴァにかかわると不幸になるわ。私達も含めてね。…だから前途あるあなた達から未来を奪いたくなかったの。司令はあなた達を普通の生活に戻そうとしたのよ」

「ア、アタシは…!そんなこと望んでな…」

アスカッ!これは命令です。従いなさい」

本来なら泣き叫んでも抵抗したかもしれないが現在、精神状態は普通ではない。

今のアスカは本来のもろく弱い14歳という年相応の成熟しきっていない精神が露呈している。

 

また…あそこに帰らなきゃ…いけないのね…?ア、アタシは…?もうエヴァに乗れない。

あったりまえよね…。エヴァに乗れないアタシなんて…必要なくなっちゃったのね…ココにいれる理由なんて無いもの…。

シンジ…足手まといなのはアタシのほうだったのかも…しれないね…ゴメンね…

 

…シンジ…もうあえないのか…な…

 

暗く沈むアスカの心。

「あなた達のことだけど…今までどうり私と住んでもらうわ。これは命令よ。拒否は認めません」

「…え!?」

すこし表情が明るくなる。

「それに…ココ…ネルフ本部へのパスコードとかはそのままにしてあるわ」

「ただし、使徒襲来などの有事の際の戦闘配置にはあなた達の居場所は無いわ。シェルター等に非難してもらうことになるわ。いいわね?」

「…うん。わかった」

 

 

「おお?どこへいったんだ葛城とアスカは」

医者と話していた加持がでてくる。

「…?…あっ…いた。あそこか」

「シンジ君の容体は安定したそうだ」

ちょっと離れているが彼女達に話し掛ける。いつものだらけた雰囲気にもどっている加持。どことなく楽しげだ。

「とりあえず手術は成功したし…意識が戻るのを待つだけだからな…後もう少ししたら面会させてもらえるだろう」

アスカとミサトは加持のところに駆け寄っていく。

「よかったわね。アスカ。じゃシンジ君に会う前にシャワーでも浴びてきなさい。替えの服はあとからもっていくわ」

「う、うん」

そう言い残すとアスカはその場をはしりさっていった。

 

 

「で、アスカのほうは…どうだった?」

「…ええ。納得はしていないけど受け入れてくれたわ。ひとまず安心ってトコロかしら?」

「…へぇ?あのアスカがか?エヴァからおろされたことを受け入れた…と?」

「妙に素直でねぇか〜わいかったわぁ」

「アスカの心の中でシンジ君の占める割合が大きくなったということ…か。エヴァに乗ることよりも。」

加持が自分に納得させるかのように言葉をつむぐ。

「これはおもしろくなってきたわねぇ」

ニヤニヤと笑みをうかべている。

 

 

 

 

─2時間後…シンジの病室

包帯だらけのシンジがベッドに眠っている。

シンジの寝顔を見つめるアスカ。シンジの髪をなでている。

「…シンジ…」

アスカはちらちらと周りを見回し始めた。

やがて誰もいないことを確認するとシンジの頬に顔を近づけていく…。

…チュッ…

 

「…シンジ…ありがと…」

そしてシンジの手を自分の胸で包み込むように抱きしめるアスカ。

 

 

─モニター室

そんな2人を見つめる30コンビ。

…わ、私はまだ20代よっ!2…と40ヶ月なんだから…!

「あのアスカがねぇー?」

ミサトはニヤついている。

「やっぱり俺の見込んだとうりだったな。」

こちらもニヤついている加持。

「ドイツにいたときはあんなアスカ想像できなかったわ」

「…俺もだ。…やるなシンジ君。あのアスカにここまで心を開かせるとは」

 

 

 

 

PM20:00

ミサトはペンペンを連れてアスカと車に乗っていた。今回は安全運転だ。

「…」

「…」

…2人とも言葉がない。

「ねぇアスカぁ?」

下卑じみた笑みを浮かべながらアスカに話し掛けるミサト。

「…え、な、なによ」

引いてしまうアスカ。

「シンちゃんと…」

ニヤニヤしながら意味ありげにシンジの名前を出すミサト。

「な、なにいってんのよ!な、なんでシンジがでてくんのよ!?キスだってほっぺたにしか…って!!な、なんでもないわよ!」

シンジの事が出てうろたえるアスカ。余計なことまでしゃべってしまったようだ。

「ふぅーん…キスしたのぉ?シンちゃんのほっぺに?もしかしてアスカ」

「ミ、ミサトーッ!そ、そんなんじゃ…」

「あーらそうなのぉ…?おねえさんはかなしいわぁ」

いつものアスカに戻っているようだ。それを見てミサトは一安心した。

 

 

そんなこんなで廃墟と化したマンションにつく2人。

少しずつ住人が戻ってきているようだ。ところどころ明かりがついている。

ミサトの家につく。

…想像以上だった。

ドアは銃で撃たれ吹き飛ばされてむなしく玄関に転がっている。

ガラスは割れて散乱している。

家具はところ狭しと転がっているようだ。

水が止めどなく吹き出ているような音が…さらにところどころでバチバチッ!とスパークしている音がする。

さらには家が傾いている(?)ような気がする。

 

あのときはそれどころではなかったのであまり気にならなかったのだが。

…こんなところで寝れるの?というか人間の生活空間なの?ここは…!?どうしようこれ…!保険が!そうよ保険よ!こんなときのために…ってあれ…あー!あんときケチらずに保険にはいっときゃよかったわ…!なんてついてないのかしら…!!

30まであと少しがんばれ葛城ミサト29歳。

ミサトがあまりにも変わり果てた自分の家をみて開いた口がふさがらないようだ…。

 

…まるでミサトの部屋みたいね…?こんなところで生活できるのかしら?

ペンペンを胸に抱きながらアスカは冷静だった。

 

 

 

そのとき加持はネルフの駐車場で悪戦苦闘していた。

「くそっ!動かない!なんだこれは!?って葛城の運転のせいだとわかっているが…よかったっ…動いたぞ…」

…高かったのになぁ…新車…1週間もたなかったな…せっかくこっちついてから買ったのに…

既にフロントはベコベコ。ウィンドシールドはバリバリに割れている。

シャシーは歪んでいるようだ。さらにタイヤの取り付け角がずれている。キュリキュリ音がする。

エンジンも回転数がぜんぜん上がらない。いくらアクセルをふみこんでも加速しない。べた踏みで25km/hだ。

ガコガコ変な音がする。ミッションもイったらしい。

…廃車だろうな…修理なんてしたら修理代で…新車買えちゃうよ…

こんな車で自宅への道をひた走る加持。通行人の注目の的だ。すましているが…少し恥ずかしいらしい。耳が赤い。

…まあいいか…それでシンジ君が助かったんだしな…

タバコを取り出し火をつける。そしておもむろに口に含む。

…ふぅ…

しばらく吐いた煙を見つめる。

…アスカはみつけたか…シンジ君を…

「葛城…」

 

 

 

アスカとミサトはコンビニエンスストアでかった弁当を食べると少し家の片付けをしていた。

 

アスカはシンジの血をふいている。

…シンジ…

アスカは泣いているようだった。

ミサトはかける言葉が見当たらなかった。

 

…まあいいわ。そっとしておいてあげましょ。それより問題はココね。…ローンがまだまだ残ってるってのに!

ミサトは被害状況をチェックしていく。さすがNERV作戦部長だけある。

リビング…すごいの一言に尽きるわね。よくこれでシンジ君とアスカ助かったものね…?

電信柱、看板、木の枝、etc…さらにどこからきたのか、ケン○ッキーフライドチキンのオヤジまで侵入を果たしている。

 

アスカの部屋…息を呑むミサト。…こ、ここにいたら即死したわね絶対…?あっ!星がきれいね…?

…天井が落ちていた…

 

シンちゃんの部屋…ここはシンちゃんのたんすとチェロが転がっただけね…。

いそいそと元に戻すミサト。…これでよしっと。つぎは…

 

私の部屋ね?…ガラッ!

凄まじい惨劇が繰り広げられていた。この家のなかで最も被害が大きいようにみえる。

…なにもおかしなとこはないわね…?

見回すミサト。もとからこうだったのか…恐るべし花の独身葛城ミサト。

…あら机の上にあったパソコンは…?

ふとんの上にパソコンが落ちて砕けている…。冷や汗がたれるミサト。

…こ、ここで寝てたら即死かしら?いえ運が良くて内臓破裂ってとこね?よかったわここにいなくて…って…はっ!…地震がもしきたら…?ま、まずいわ…別なところにおきましょ…!

パソコンを投げ捨てるミサト。…これでいいわ、元通りね。つぎは…

 

台所…だめね!総員退避…台所を破棄します!ってところかしら?

水を噴出す破裂した蛇口。火花を放つ電子レンジ。倒壊している冷蔵庫。

砕けた食卓。散乱する食器棚と食器類。床がぬれてるし入ると電子レンジと冷蔵庫の漏電で死ぬわね。

どれをとっても一級の被害がでている。もはや使い物にならない。

どこから持ってきたのかネルフマーク入りの立ち入り禁止柵を持ってきてすえつけ始めたミサト。

…よしこれで台所ユニットを物理的に隔離完了ね。ばっちりだわ!

 

お風呂場…あちゃー!既にだめね…これは。底が抜けている。

…下の住人と目が合う。たあいもない会話をする。

こりゃお風呂は当分だめね…どうしようかしら…ネルフのお風呂?そうね…どうせアスカはシンちゃんのお見舞い毎日行くだろうし…まさに一石二鳥ね。

 

トイレ…ここは…大丈夫のようね?水は…?でるのかしら?流してみる。

…ジャー

おおぉ!流れるわっ!!よし!合格よ。

なにが合格なのかわからないのだが。

 

まあ生活には支障がないわね…。でもドアがないのがちょっちいたいわね。

ホントに生活に支障はないの?ガスもきてないんですが。水も満足に使える状態ではないような気が…?いいんですか?ミサトさん?

そんなことはミサトは気にならないらしい。ひたすらドアの代替品を考えるミサト。

そうだ…アスカの引越しの時に使ったダンボールがあるわね…いけるわ!

 

…これでよしっと。

ミサトはとても満足げに微笑む。

ミサトが去ったあとには…ダンボールがドアだった場所に立てかけられていた。

もしかしてこ、これがドア!?こ、これでいいのか?さらには打ち捨てられたミサトのパソコン…がころがっている。

これではまるでホーム○スのダンボールハウス…

 

…あら、アスカ?どこにいったのかしら?アスカがいないわね?

アスカがいない。

 

…もしかしたら…ここかもね?

シンジの部屋をそっとのぞく。

アスカがいた。シンジのベッドで寝ていた。くるまるように寝ている。涙のあとがある。

「…アスカ…」

いとおしい妹を見るようなまなざしで見つめるミサト。

「…おやすみなさい。いい夢を」

 

 

 

AM10:00

アスカは目がさめた。昨日はうなされずに寝れたようだ。

ムクッと起きあがる。今日は寝起きがいいようだ。…ふとまわりを見まわす。あまり見覚えのない場所のようだ。

…?ココはどこ?…シ、シンジの部屋…?

こじんまりとした部屋。ベッドと机とたんすと何か大きなモノが置いてある。

アスカは少し赤くなっている。

…シンジ…大丈夫だよね…?

 

ベッドのにおいをかんでみる。

…シンジのにおいがする…

シンジの枕を抱きながら幸せな恍惚感に浸るアスカ。

…って!こんなことをしてる場合じゃないわ!?シンジのとこに行かなきゃ!

既にシンジの面会時間が始まる10:00を時計はさしている。

 

アスカはシンジの部屋を飛び出す。そして…自分の部屋へ…。

な、なによこれーーーーーっ!?

彼女の悲鳴にもにた声が轟く。

 

天井が…落ちている。

クローゼットなども根こそぎ被害を受けている。

…チュンチュン…小鳥のさえずりが聞こえる。

…今日も空がきれいだわ…って…ち、違うわ!服どうしよう!?着替えがないわ!

「ミ、ミサトーッ!」

バタバタ走るアスカ。ミサトの部屋に飛び込む。

「ど、どうしよ…へ、部屋が…!」

「ア、アスカぁ?どうしたのよ?部屋?ふぁ〜ぁ」

大きなあくびをしながらバリバリ体をかくミサト。すでにオヤジモード突入済みである。

「へ…部屋がつぶれちゃたよぉ!ふ、服が…着替えがないのぉ」

「着替え?そんなの私の貸してあげるわよぉ」

むくっとけだるそうに立ち上がりたんすをあさるミサト。

片方の足でもう片方の足のふくらはぎあたりをかいている。すでに色気など微塵も感じさせない。

結局下着1セットとワンピース一着を貸してもらったアスカ。

アスカはバスルームへと走っていく。

 

な、なんなのよこれーーーーっ!?

再度彼女の悲痛な悲鳴ともとれる嬌声が轟く。

そこには底の抜けたバスルームがあった。

 

結局アスカはシンジの部屋で着替えることにした。

いそいそと着替えている。

…な、なんか…こう…ものすごく…はずかしいわね…

なぜか真っ赤になりながら着替えるアスカ。どうやらシンジの部屋で着替えをするのが恥ずかしいらしい。

 

な、な、なんなのよこれはーーっ!?

ブラはどう考えてもミサトのはむりだったのでスリップを貸してもらったのだがそれでも…ダメだった。

下着の胸の部分の布が遊んでいる。たるみきっている。

…ミ、ミサト…くっ!…み、見てなさい…!…そのうちアンタなんかアンタなんか…!

こぶしを握り締めるアスカ。

さらにワンピースを貸してもらったのだがこれもまた…こう…なんというかウエストが太い。さながら土管のようだ。

なによこれは!?まるで…ど、土管じゃないの!?こんなウエスト太くないとミサトは着れないの!?…ニヤリ…勝ったわ…!

なぜか喜んでいるアスカ。ニヤニヤしている…小気味が悪い。しかし自分のおかれている状況を理解した。

…こ、こんなんじゃ…は、恥ずかしくて歩けないわよ!…ど、どうしよう!?

しょうがないのでベルトを締めることにした。

ミサトからベルトを借りる。

な、なによ、なによこれーっ!?

ベルトの穴が…ない。

…なんなのよ…このベルトわっ!べ、ベルトホールがないわっ!

端のほうに…あった。

…なによこのベルト…?ウエスト…80超えてるんじゃ…?ミサトのよね…これって…こんなの締めてるのって…

ふとアスカはバックルの裏を見る。

裏にはミサト専用と悪戯書きがされている。リツコの字だ。

唖然とした。言葉が出ない。

気を取り直してとりあえず近くにあったシンジのはさみで穴をあける。

…これでよし。

ベルトを締める。

…ばっちりね!それにしてもミサト…

哀れむような目で遠くを見ているアスカ。

既に時計は12:00をまわっている。

「えーっ!もうお昼!?ま、まずいわ」

持つものも持たず財布だけ手に取ると駆け出す。

「ミサトーッ!行ってきまーす!」

 

 

 

─NERV内救急施設

手続きを済ませシンジの病室に入るアスカ。

シンジは病院のベッドで静かに眠っている。失血性ショックを起こしたため意識をうしなったまま戻らない状態が続いているのだ。

「シンジ…」

アスカはシンジのベッドの横に備え付けのいすに座る。

シンジの手を握る。

やさしく話し掛けるアスカ…

 

そして時は流れる…

 

面会時間終了をつげるアナウンスが流れる。

「あ、もうそんな時間なんだ…じゃまたあしたくるね…またね…シンジ」

頬にキスをする。

…チュッ…

 

 

 

 

─1週間後

アスカとミサトはまだ寝ている。

 

トウジとケンスケがミサトのマンションの前にやってくる。

「な、なんやこれは!?」

トウジが驚くのもわからなくはない。既に内戦地帯の市街地のようだ。これを見て目が爛々と輝く少年が一人。

…ココって20世紀後半のボ○ニア・ヘ○ツェゴビナ…いやコソ○紛争地域か?わくわくしてきたぜ…!…ココでサバイバルゲームがしたい…!

「で、でもトウジ。ミサトさんはいるみたいだぜ?あそこに車が。…ほらあそこ」

むこうを指さすケンスケ。なるほどミサトの車が止まっている。

「そ、そうやな」

まだ本当にこんなところに人がすんでいるのか信じられないトウジ。

「ほら、はやくいってみようぜ」

せかすケンスケ。メガネが光っている。はやく侵入したいらしい。

「鈴原?」

ヒカリがいた。

「なんや委員長か…?どないしたんや?」

「アスカちっとも学校こないからどうしたのかなと思って」

「多分ネルフで特訓でもしてるんじゃないの?ユニゾンのときみたいにさ。ま、でもいくだけいってみようぜ」

ケンスケが提案する。どうしてもこの廃屋に入りたいらしい。

彼らはエレベータが使えないのを見て悟ると非常用階段で上っていく。

 

…ミサトの家

「なんやこれ?」

「さあ…?」

ドアだった場所の前に立てかけられているダンボールを見てトウジとケンスケがつぶやく。

かべのネームプレートは葛城となっている。

「ここやったよな?」

「だとおもうけど」

呼び鈴を押す

 

…シーン

こわれている。

さらに押す!押す!押しまくる!

 

…シーン

「…なあトウジ…ムダだよ…はいってみようぜ」

「ああ、そうやな…」

「ちょ、ちょっと2人とも!?や、やめましょうよ!?」

ダンボールをめくってはいる2人。そこは凄まじいほど荒れていた。

「…」

2人は絶句した。

「お、おじゃましまーす…どなたかいませんかー?碇ー?」

「シ、シンジーおらんのかー?」

「ア、アスカ?いるの?おじゃまします」

なんだかんだいってもやっぱり入ってきているヒカリ。

「いないみたいだ…碇の部屋いってみようぜ」

「ああ…」

「勝手に入るのはよくないわ!?かえりましょ」

シンちゃんの部屋とかかれたプレートが吊り下がっている。

「入るでー」

ガラッ!

まだ寝ているようだ。

「なんや…まだ寝とんのか…おーいシンジィ起きろ」

布団を引き剥がそうとするトウジ。

「す、鈴原!?や、やめなさいってば!」

ヒカリがトウジを制する。

「はなしを聞くだけや。とって食うわけじゃなんやし、いいやろが!」

なかば強引に布団を引き剥がすトウジ。

 

…!!

絶句するトウジとケンスケとヒカリ。顔が赤い。

 

バサッ

トウジの手から布団が落ちる。

 

…そこには…アスカがいた。アスカの白い肌があらわになる。

白いだぼだぼの大きなTシャツをきているがかなり乱れている。

いつものタンクトップとジョギパンはあの一件で血まみれになったのでコインランドリー?血液よごれは落ちるのか?それとも落ちなかったから捨てたのかな?

「…うーん」

悩ましいくぐもった声をだすアスカ。むくっと起きる。寝ぼけているようだ。枕を抱いている。

眠気に勝てなかったのか、ボスッとベッドに沈む。手探りで布団を探しているようだ。…ない。

あきらめたのか仕方なくシーツをつかみ、体をよじってシーツにくるまる。

…か、かなり…かわいい…

 

一瞬みとれる3人。

「…あ、ああ、、、な、な、、なんでここに惣流がおるんやケンスケ…!?」

「…し、しるかよ!?お、俺に聞くなよ」

「ア、アスカ?」

 

「だめよぉ…シンジぃ…」

ど、どんな夢を見ているのか?それはアスカにしかわからない。

 

凍りつく3人

…その瞬間泣きながら走り去るトウジとケンスケ。

シンジィ…う、うらぎりもぉぉおおん

イヤーンなかんじぃいい

泣きながら学校へ爆走する2人。

フ、フケツよーーーーーーーっ!

ココには不潔を連呼するヒカリが残されている。

 

あまりの事に夢の世界にいっていた(逝っていた?)アスカが引き戻される。

「…!?ヒ、ヒカリ!?なんでヒカリがここにいるの!?」

不潔…不潔よアスカ!碇君とそんなそんな…イヤー!不潔よ不潔よ!フケツよーーっ!

彼女は叫んでいるセリフとは裏腹に内心ある決意を固めていた。

…私もいつか鈴原と…鈴原と…鈴原と!…鈴原と!!…鈴原と!!!

「ちょ、ちょっとヒカリ?ヒカリってば!?」

既にイッちゃってるヒカリにはアスカの声は届いていない…。

 

…アスカとシンジの噂(?)はあっという間に学校中に広まってしまった。

その影にはメガネの少年と関西弁のジャージ少年が暗躍していたことはいうまでもない。

 

 

 

 

─夢は現実の続き。現実は夢の終わり。

─NERV内救急施設

 

「…シンジ…入るわよ」

「…碇君?」

ドアの向こうからアスカとヒカリが入ってくる。アスカは機嫌が良いようだ。

アスカはベッドに視線を向ける。そこにいるはずの彼に。

…!?

そこには…そこにいたのは…白い布を顔にかぶせられているピクリとも動かない彼がいた。

「…!?…ま、まさか…」

…も、もうあとは意識が…か、回復するの…ま…待つだけだっ…て…う、嘘…

「そ、そんな…い、いや…」

その場に崩れそうになるアスカ。

…ゴメンね…シ、シンジ…ア、アタシ…

「ア、アスカ!?もしかして…い、碇君が…」

その先の言葉をヒカリは口に出せなかった。

 

 

 

…シンジ…

…碇君…

アスカとヒカリはベッドのすぐ横に中腰の状態でたつ。顔を近づける2人。

そして…意を決して白い布を取った…

…ぱさっ

「「…!!」」

そこには…そこには目を見開ききり絶叫するかのように口をあけ何か呪詛を呟いているのではないかと錯覚させる断末魔の表情を浮かべるまるで呪われ悶死しているかのようなヒゲオヤジが…いた。

彼にかけられていた白い布はゲンドウの顔を放置しておくのはあまりに危険すぎると判断されたため彼の顔を隠すための病院側の粋な計らい(?)だったのだ。

 

超至近距離でゲンドウを肉眼で確認してしまったアスカとヒカリ!彼女達の中のなにかがひずむ。

「…い、いか、碇」

顔をこわばらせ目を見開き視点が定まらないアスカは震える声で無意識に名前をつむいでいく!

現実が…歪んでいく。

「げ、ゲ、ゲンドウ?」

名前に反応するゲンドウ。それと同時に向こう側に安置されていた何かも反応する。…冬月だった。

…ズリズリッ

彼らはこの世界へとまた舞い戻ってきた。アスカの呼びかけによって。しかしからだは満足に動こうはずもない。

それらは自動人形のように首だけ回転しアスカとヒカリの方へ向く!

「「!!」」

彼女達の精神のリミットゲージは上昇し続けていく。崩壊に向けて。

…ビシリ…ココロの奥底で鈍い音がする…イタイ…精神汚染に彼女達の14歳の繊細でただでさえ傷つきやすい精神はもうもたない!

…シ、シンジ!…た…たすけ…て…シ…ンジィ…

…す、鈴原!…いや…イヤ…

「「い、いやっ…だ、だめ…」」

ゲンドウと冬月の虚ろな白目を剥いた4つの眼が彼女達に向けて彼女らに心配をかけまいと精一杯の意思表示をしようとする。

「「…ニヤリ」」

あやしく口元を歪めるのが今の彼らには精一杯だった。というよりそれしかできなかった。

!!!!!!!!!!!!!!!

彼女達の精神は耐えられなかった。ついに崩壊するアスカとヒカリ!引きつりながら狂気の笑みを浮かべるアスカとヒカリ。彼女達のココロは悲鳴をあげつつ圧壊するかのように…潰れた。

「「い…いやぁぁぁぁっいやぁぁぁぁあああああああああああ…っ!!!!!」」

「「もうイヤ。もうイヤ!イヤーーッ!!」」

崩れこむ2人!自我崩壊する!倒れこみ昏倒するアスカとヒカリ!

 

…!…こんなに…こんなにまで彼女達は私を心配してくれているのか!?…冬月…やはり…私はこの計画を…立ち上げたことを…少しも後悔などしていない…!

!…こんな老いぼれを…こんな私を心配してくれているというのか…!…碇…!…やっぱりお前は間違ってなどいなかったようだ…今なら…ユイ君がお前を選んだことがわかるような気がするよ…

 

自分達を見て絶叫して倒れた少女二人。

どこをどうとると彼女達が自分達を心配していると取れるのだろう!?不思議な思考パターンをもつヒゲとジジイ。

 

ゲンドウと冬月は初めてゲンドウが冬月にこの計画を持ちかけたときのことを思い返していた。

…冬月…これを…

…ん?…これは…!?…

…現在の計画の修正案だ…

…碇…いいのか?…今まで以上に苦労することになるぞ?ゼーレにはどうい…

…後悔しないかといえば嘘にはなる。だが…

…何も知らない子供達がこれ以上傷つくよりはいい…か?…わかっているつもりだよ碇。

…すまんな…冬月…

…碇…

 

 

「司令と副司令の意識が戻りました!」

「なに!?わかったすぐに行く!」

とたんにあわただしくなる救急病棟。

 

 

─ 一般病棟

シンジはからだの傷は癒えたため一般病棟に移されていた。だがしかし彼の意識はまだ戻っていなかった。

 

…シ、シンジ…た…たすけ…て…シ…ンジィ…

…アスカ!?…アスカッ!?

彼は目を見開くと同時に跳ね起きる。からだ中を拘束するチューブやテープを引き剥がしながら。ひた走るシンジ。アスカがどこにいるのか分かっているかのように。駆け抜ける一陣の風のように走る。

 

アスカ…!

エレベータを待つ時間も惜しい!わきの階段を駆けあがっていくシンジ!

 

…アスカがいた。

昏倒しながら小刻みに震えている。顔面蒼白で歯の根が合っていない。さらに目はこわばって焦点が合わない。

アスカ!?

おもむろに抱きしめるシンジ。

…ビクッ

アスカは一瞬驚愕の表情を浮かべ震えが止まった。

支えを求めるように貪欲にシンジに抱きつくアスカ。

体をかさねて抱きしめられていないと得体の知れない何かに飲み込まれてしまいそうだったからだ。

シンジはアスカの意図を理解しやさしく抱きしめる。

アスカの表情が次第に穏やかになっていく。

…シンジ…きてくれたんだ…

彼女の瞳から涙が零れ落ちる。

…アスカ…

抱きしめ合う二人。

ただ時間だけが刻をきざむ。

 

 

いまだ無残にころがっているヒカリ。すでに精神汚染度MAX。だれも助けないのか(笑)

 

…シンジ…強くなったな…? そうだ。おまえはおまえのできる範囲でいい…精一杯やってみろ…!

…シンジ君にアスカ君か…ユイ君、キョウコ君の忘れ形見か…できれば彼らの幸せを守ってやりたいのものだな…

ゲンドウと冬月はベッドに深く沈みこむ。

ふと冬月を見るゲンドウ。

彼も凛とした目をゲンドウにむける。

 

無言で頷く冬月。

彼らは戦い抜くことを決意した。たとえこの先どんな苦難が待ち受けていようと。力の及ぶかぎり運命に抗うと。

…彼らはまた深い眠りに落ちていく。

 

 

 

 

戦う決意を新たにしたゲンドウと冬月。使徒を捕獲という大胆な作戦に出るミサト。灼熱の溶岩に身を投じる冬月の駆る弐号機は!?ゲンドウは友人の危機を救えるのか?そのとき物語は意外な顛末を迎える。

新世紀エヴァンゲリオンGK ENDLESS WALTZ次回、マグマダイバー。…次回もサービスしなくてはならないのかね?…やれやれ…碇め(怒)

 

 

 

 


どうもこんにちは。TRIDeNTです。

今回はぜんぜん笑えるところがないです。病院ですし、特に何もないんですよね。みんな病状深刻過ぎるし…。

笑いを期待してた方すいませーん!

しかも高速で書いて仕上げてるんで文体めちゃくちゃ支離滅裂モードに拍車かかってます。

 

ですのでストーリーを大筋をつけ話しどうしをつなぐつなぎのような役割です。

しかし、これである程度ストーリーの大筋はたったはずです。

とりあえず基本理念はシリアス路線です。

 

つぎからアスカ攻めXシンジ受けモードに突入します。日常生活編突入です。

彼らはエヴァのパイロットやめたんであたりまえですが通常人。

第参話、第四話とヒートアップしていきます。テンションあがっていきます。

 

次回はアスカとシンジは修学旅行のお買い物。ゲンドウと冬月は火山の火口へだいぶします!

 

戦い抜く決意をするゲンドウと冬月。

これからどんどん戦況が悪化する中どこまで戦い抜けるかがポイントです。

(第三話へ)


うひゃひゃひゃ。シリアスだけど笑える...。( T - T )くっくっく

というわけで、TRIDeNTさん早くも連載2発目ありがとうございますー。\( ^ 0 ^ )/きたね(ニヤリ)

うーむ、シンジ君が大変な事になってますなー。オヤジ×2の方がもっと大変だけど。(笑)
うろたえるアスカ様も...。(●^_^●)ぽっ<ヲイ

し、しかしオヤジは不死身ですな...。( ^_^;)ミサトもリツコもひでえ(笑)


>…新車が…新車が…シンシャガ…

まあ、そんなこともあるよね。(爆)


ペンペンも忘れられて無かったか...。くくっ

どざえもん...。これで、何で生きてるんだろう。丹波見てるし、ぐはは、ハライテエ...。(ナミダメ)

うう、それにしてもパイロット抹消の所はうまいですなー。うるうるしちゃいますよ。
でも、シンジ君と一緒で良かったねえアスカ様。

ちゅって良いですねえちゅってー!!うう、アスカ様可愛いッス。(●^_^●)

土管ミサトのお家一人談義も面白いッス。ほ、ホームレス...。ぷっ


>「だめよぉ…シンジぃ…」

ぐっはあ。(●>_<●)(●> ̄<●)(●>_<●)(●> ̄<●)(●>_<●)(●> ̄<●)ごろごろごろごろごろざくっ


ラストのラブラブも良いですねえ。その前のが怖かったけど。(爆)

さあ、シリアスと言いつつしっかり笑わせてくれたTRIDeNTさんに感想を出して、転げよー\( ^ 0 ^ )おー

TRIDeNTさんへの感想はここです。

または簡単感想用掲示板へどうぞ。

感想用フォームです。2,3行の感想でも作者さんは嬉しかったりするのだ。

ここから是非感想を送るのだー。\(●> _ <●)おーっ

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