彼女は、笑顔と共に僕とケンスケに向かって軽い会釈をする。僕も彼女と同じように、笑顔を漏らしながら軽い会釈をした。そんな時、僕の隣に立っているケンスケが、僕を肘でつつき、
「・ ・ ・この綺麗な女性、知り合いなのか?シンジ。」
と、小声で僕に呟いた。僕はもうケンスケに隠し通せないと思い、苦笑を漏らし、
「・ ・ ・遅れた理由だよ。」
と静かに呟いた。だが、ケンスケはそんな僕の言葉に耳を傾ける様子もなく、すでにアスカの方を見つめていた。
「俺、相田ケンスケ、よろしく。」
ケンスケはそう呟き、アスカに右手にを出していた。アスカは、そのケンスケの右手に一枚の紙切れを手渡す。
”私の名前は、惣流・アスカ・ラングレー。惣流でいいわ。よろしくね相田君。“
ケンスケはそれを受け取ると、
「こちらこそよろしくね、惣流さん。」
と、静かに呟いた。その時僕は、ケンスケの言葉に少しの違和感を覚え、アスカに言葉をかけようとしたが、アスカは唇に人差し指を当てて、”黙っててね“と言うジェスチャーを僕に見せた。僕はそのアスカのジェスチャーに気づき、笑顔で了承した。
「さぁ、立ち話もなんだし、食堂にでも行きましょうか。」
と、洞木さんがその場をしめ、僕たちは食堂の中へと入った。
ff(フォルティッシモ)
第三楽章
〜彼女の扱い方〜
ガラス張りの自動ドアが、音をたてて横にスライドする。それと共に、外にはない、人の声が聞こえた。
そして、そのスライドしてでた音のため、数名の人たちがこちらの方を見た。その中にいた数名の男性が、アスカの姿に見惚れていた。
アスカは、その視線に気にするでもなく、洞木さんとゼスチャーと手話を混ぜた会話で、話が盛り上がっていた。
そして、僕もアスカに見惚れていた男性たちと同じように、彼女の笑顔に見惚れていた。
不意に、アスカが僕たちの方に振向く。その瞬間、僕はアスカと目があう。僕は、頬を薄っすらと染めてアスカから目線をそらす。
そんな僕のそぶりに気づいたのだろう、笑みを漏らして、洞木さんに手話で話しかけた。洞木さんも笑みを漏らし、後ろを振り返り、
「なに見惚れてるのよ、バカシンジ、ですって、碇君。」
と、僕に向かってそう言った。僕は、洞木さんからそう聞かされると、先よりも顔が真っ赤になった。
僕らは昼食を取り、日当たりの良い窓際の席に座った。四角い長方形のテーブルは、太陽の光が反射され、その上に僕らはそのまぶしさを防ぐ様に、昼食を乗せた色取り取りのお膳をおいた。
僕らはそれぞれ椅子に座り、ゆっくりと食べ始めた。
僕は、スパゲティを口に運びながら、目はアスカたちの方に言っていた。アスカと洞木さんは、先ほどと同じように、会話、というのだろうか、何かしらの話題で盛り上がっていた。
「なに話してるの?」
僕は少し不思議になってそう静かに呟くと、アスカは今朝と同じよにメモ帳を取りだした。
僕はそのメモ帳を受け取ると、”内緒“と言う風に書かれており、僕がそのメモ帳から顔を上げたとき、アスカの屈託のない笑顔がこちらを向いていた。その笑顔に僕はまた魅せられ、頬を薄っすらと染めた。そして、それをごまかす様にゆっくりと微笑んだ。
昼食も食べ終わり、僕らは食後に運ばれた紅茶を口にした。僕は、リンゴのほのかな匂いを漂わせるアップルティーを口に含む。リンゴの甘さと紅茶の苦さが程好く、僕は砂糖を使わずにそれをゆっくりと口に入れた。
ケンスケとアスカのほうからは、コーヒーの良い香りが匂ってきた。僕は、コーヒーの匂いは好きなのだが、どうもあの苦さが好きになれず、今まで数えるぐらいしか飲んでない。
そのコーヒーを二人とも美味しそうに飲む。それにつられるかのように僕もまた美味しそうにアップルティーを飲んだ。
僕は気持ちのよさそうに息をはき、ゆっくりとティーカップを受け皿におく。そんな時、微かにその受け皿が音をたてた。
そんな時だった、
「アスカって、今までどこにいたの。」
と、僕は定番の質問をする。今僕たちの目の前にいる、見知らぬ美しい女性に。アスカは、それと同時にこちらの方を向き、コーヒーを受け皿に置く。そして、先ほどと同じように、僕に一枚の紙切れを渡した。
「へぇーアメリカにいたんだ。」
僕は静かにそう呟く。
「アメリカねぇ。一度いってみたいな。」
ケンスケは、うらやましそうにアスカを見つめ、そう呟いた。僕たちに、自分が今までどこにいたのかと言う事が、行き届いたのを確認すると、アスカはまた一枚の紙切れを渡した。
僕はその紙切れを受け取り、素早く目を通した。そして、
「・ ・ ・わかったよ、アスカ。」
僕はそう優しく呟き、ケンスケは静かにうなずくと、そんな時、ありがとうの意味だろう、アスカは満面の笑みを僕たちに見せた。洞木さんも、会話の内容を予想していたのだろう、
「お願いね、二人とも。」
と、静かに、そして優しく呟いた。僕たち二人は無言で頷き、もう一度紙切れに目を通した。そこには、
”普通の人と同じように扱いなさいよ“
と、まるで彼女の意思が書きこまれた内容が目に飛び込んできた。僕はその紙切れをまたポケットの中に入れ、ティーカップの中で湯気をたてる紅茶を口にした。
何時間過ぎただろう。時計の針は二時を少し過ぎていた。それと同時に、講義開始の鐘がなる。
だが、僕とケンスケは午後の講義がないので、食堂を急いで後にする学生とは違い、アスカと洞木さんと共に、ゆっくりとお喋りをしていた。
「碇君、今何時かな?」
「え、今二時十五分だけど?」
「え、もうそんな時間。」
洞木さんはそう驚いた顔を見せ、席を立ちあがり、
「ごめんね、ちょっと用事が入ってるから、私先になるわね。」
と言うと、洞木さんはいそいで食堂から出ていった。僕はちょっとあっけに取られたが、すぐに我に返り、
「・ ・ ・トウジとデートかな?」
と、静かに呟いた。そして、
「トウジは僕たちの友達で、洞木さんの恋人だよ。」
と、付け足す様に僕はアスカに呟いた。アスカはそれを聞き、“なるほど”と言ったジェスチャー見せた。
洞木さんがでて、結構な時間がたっているが、一向に会話は途切れなかった。そんな時、
「惣流さんって、どこか行きたい居場所ある?」
と、ケンスケが目を輝かせながら呟いた。アスカは少し考え込むと、なにか思いついたのだろう、メモ帳に何かを書きはじめ、僕たちの目の前に提示した。僕たちは、それを覗きこむと、アスカの方を見て静かに頷いた。
続く
後書き
お待たせすいません・ ・
・がまたこれか(爆)
そして、十万ヒット突破おめでとうございます!!
ドラえぽんさん
4月14日
The RED HOT CHIRI PEPPERSのアルバム“one hot minute”から
”Shallow Be The Game“を聞きながら
ぐおお、またもオニ引き。(笑)(@_@;) というわけで、TODOさん110,000HIT記念、3曲目ありがとうございますー。\( ^ 0 ^ )おかえりー うーん、声が出なくてもアスカ様はアスカ様だねえ。毅然とした態度、そして小悪魔チックなしぐさ。\(●> _ <●)くうー、たまらん 声が出ないからと言って腫れ物を扱うようにされるとやはり傷つきますよね。この辺は病気の人などの介護や福祉の問題とも繋がるトコロですね。うーむ、考えさせられる話だなあ。 それにしても、アスカ様のご指名は一体何処なんだー!?\( > 0 < )/うがーきになる さあ、気になる人は早速TODOさんに感想&応援を書いてはやくすっきりさせて貰おー。(笑)\( ^ 0 ^ ) |
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