ゆっくりと、彼女は椅子を引く。白いドレスのせいか、それともそれとは対照的な
髪の色のせいか、彼女はまるで天使のように見える。不意に、彼女はその金色の髪を
なびかせ、観客の方を向く。その時、不意に彼女が観客に、いや、僕に対して微笑んだ
ような気がした。

(・ ・ ・まさかな。)
僕はそう笑みを漏らしながら、心の中で呟いた。



 白い彼女のドレス、胸元が見えそうなドレスが、ゆっくりと動き出す。そして、遠目
でもわかるぐらいの、スカートの裾についている白いレースが揺れる。

 彼女は楽譜を開き、ゆっくりと目を閉じる仕草をする。そして、手を前に出し、
ゆっくりとそのピアノに触れた。












 ff(フォルティッシモ)

第一楽章

〜出逢い〜




 僕が、その部屋の側を通りかかったとき、音が静かにその部屋から響いてきた。

(なんだろう。)
僕はそう不思議に思いながら、ゆっくりとその部屋に近づき、ドアを開けた。そして、
先以上に、音は大きく聞こえた。そこには、一人の少女がピアノの前に座り、音を確かめる様に、
ぎこちない人差し指で、ピアノの白い鍵盤を打つ。

そのたびに、彼女が微笑んでいる様に見えた。

 その時、僕はその彼女の姿に見惚れていた。腰までありそうな、光を反射させる長い
金色の髪。そして、それをより美しく見せるように着ている白いカーディガン。
だが、それ以上に僕は彼女の顔、そして、ピアノの音を一つ一つ奏でるたびに見せる、
子どもが無邪気に喜ぶような瞳に、僕は魅せられていた。

 不意に、魅せられていたせいか、僕は手に持っているペンを地面に落とす。
 ペンが床に弾かれる音が響く。そして、その音に驚き、彼女は僕の方に振向く。僕は、
慌てて床からペンを拾い上げ、彼女の方を見た。

 彼女の顔は、驚いたために、蒼い瞳の目を見開いて僕の方を見ていた。

「ご、ごめん。邪魔しちゃったかね。」
僕は両手をあわせてすぐに謝る。彼女は、ゆっくりと首を横に振るそして、またピアノ
の方を向いた。そして、ピアノの前に両手を差し出し、ゆっくりと弾き始めた。





 先まで、単調な音しか出していなかったピアノが、彼女の両手により、豊かな表現を
表していった。時には、ゆっくりと嬉しそうに。時には、激しく飛び跳ねる様に。
時には、哀しそうに。色々と。彼女もまた、そのピアノと同じように、顔の表現を変える。
喜そうに、悲しそうに、辛そうに、幸せそうに。そして僕は、彼女が奏でだす、彼女の
心の音に酔いしれていた。そんな時、ふと音が外れ、曲が止まった。僕は、ゆっくりと
彼女の方を見ると、恥ずかしそうに笑っている彼女の姿を見た。僕も、そんな彼女の
笑顔に誘われる様に笑った。

「・ ・ ・ねぇ、先の曲、君が作ったの?」
僕は、今まで聴いたことの無い先の曲に、そう彼女に聞く。彼女は、ゆっくりと首を
横に振る。

「じゃ、誰が?」
僕がそう聞いたとき、彼女は黙ったまま、僕の方を見つめる。そして、いきなり両手を
使って、なにやら伝えようとしていた。

「・ ・ ・もしかして・ ・ ・」
僕は、彼女のその両手の動きに、ある事に気づく。その僕の言葉に気づいたのだろう。
少し笑みを漏らしたまま、彼女はゆっくりと頷いた。

「ごめん。気づかなくて。」
僕はそう謝ると、首をゆっくりと振る。多分、そんな事ない、と言ってるのだろう。
そして、彼女は、左手を前に出す。

「・ ・ ・ちょっと待って、って言う事?」
僕が少し首をかしげながら彼女に聞く。彼女は、二度早く頷き、ピアノの上に置いてある、
茶色のバックを取ると、中からメモ帳を取り出した。そしてそのメモ帳に、なにやら
書き始め、その部分を切りとって僕に手渡した。僕は、彼女の細い指からその紙切れを
受け取る。そしてその紙切れには、
”私の曲じゃないのよ、ママがいつも引いていた曲なの。“
と、書かれていた。

 僕はその紙切れから顔をあげ、
「そうなんだ。」
と、微笑んだ顔を彼女に見せた。そして、彼女はまた一枚の紙切れを僕に渡す。

”・ ・ ・でも、最後の部分がわからないのよ。小さい頃に聞いた曲だから。“

「そうなんだ。」
僕がそう言うと、彼女は少し恥ずかしそうに笑った。

「でも、凄いな。小さい頃のに聞いた曲を覚えているなんて。」
と、関した顔でそう彼女に呟いた。彼女は、僕のその言葉を聞くなり、腕を組み、
それほどでも、といったゼスチャーをした。僕はそれを見るなり、笑い出した。
その笑い声に彼女は気づき、僕の方を見る。

「え、なに?」
僕は、まだ笑っている顔を戻せないまま、彼女にそう聞く。

”わらうことはないでしょ!!”

「ごめん、ごめん。でもさ、先と感じが違うから。」
僕は、紙切れをポケットのなかにおさめて、そう彼女に呟いた。その時、彼女が
不思議そうに僕の方を見つめていた。

「ああ、どうして先といまでは感じが違うと言う事?」
僕がそう聞くと、彼女は元気よく頷く。

「・ ・ ・それはさ、先まで静かにピアノを引いていたから、静かな人かなと思っていた
んだけれど、先のポーズで、活発な子なんだと思って。そのギャップのせい。」
僕のその言葉を聞いた瞬間、彼女は頬を薄く染めて笑った。そして、僕もまた笑い出した。



 一通り談笑し、僕は次の講義がある事を思いだし、
「そうだ、次講義があるの、すっかり忘れてた。」
僕はそう呟き、 「じゃ、僕は次、講義があるから、これで。」
と、付け足していってその場を離れようとしたとき、彼女がまた僕に一枚の紙切れを
手渡した。それには、
“私の名前は、惣流・アスカ・ラングレー。あなたの名前は?”
僕はそれを受け取り、彼女の方を見て、
「僕の名前はシンジ、碇シンジ。よろしくね・ ・ ・。」

“アスカでいいわよ。よろしくね、シンジ“

「こちらこそよろしく、アスカ。」
僕は微笑みながら、二枚の紙切れをポケットにおさめながらそう言うと、
「じゃ、僕はこれで、また今度聞かせてね、アスカ。」
と言いながら、その部屋を後にした。
そんな僕を、彼女は笑顔で見つめながら見送ってくれた。

続く

 


後書き

 ドラえぽんさん、5ヶ月記念おめでとうございます_(._.)_
 うーん。後少しで半年&折り返しですね!!
 おり返し地点に来ても、頑張ってくださいね、ドラえぽんさん

3月17日

今日は料理人!!

(第二楽章へ)


おおお、アスカ様が天使のようだ。\(●> _ <●)うほう

というわけで、TODOさん5ヶ月目突入記念ありがとうございますー。\( ^ 0 ^ )

それにしても、お口が聞けないアスカ様は珍しいですねー。
.....いつもはやかましいの
バコッ(@0@;)はおっ マサカリ?

うーん、でもアスカ様は口がきけなくてもアスカ様なんですねえ。気の強さは変わりません。シンジ君あっさり騙されてましたね。(笑)

こういう出会いってうらやましいですねー。素敵な出会いをした二人はこれからどうなっていくんでしょうね。楽しみですねー。

さあ、意外な設定の連載を始めてくれたTODOさんに感想を出して続きを書いてもらおー。\( > 0 < )書くッス

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ここから是非感想を送るのだー。\(●> _ <●)おーっ

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