祝ってくれる人がいなくとも
 その日
 愛しい人がそばにいるだけでいい

 

 

 

 

 

 

 

 

それはたわいのない口ゲンカだった。
「なんで、忘れたのよ!!」
「怒らなくっていいだろ、忘れてたくらいで!!」

そのあとに響いたのは、
渇いた音。

そして、彼女の涙だった。

彼女は
その涙をふりきるように、走り出す。
そして、
頬に赤い紅葉をつけた彼は、
それをただ呆然と見つめていた。



土手に一人の少女が座っている。
その青い目は、
涙で真赤にはれあがっていた。

(帰りたくない。今、アイツと顔をあわしたくない)

彼女はそう思い、側にある小石を、池の中へと投げ込んだ。

一人の少年は、はれた頬をさすりながら、家路についていた。

(どうして忘れただけで、あんなに怒るんだよ。)

少年は、幼なじみの自分勝手さに腹を立てながら、家路を急いだ。
そんな時だった。

「碇君。」
明るく高い声が、後から聞こえる。碇と呼ばれ、少年は後ろを振り向く。
そこには、水色の髪と赤い瞳を持つ、印象深い少女が、微笑みながら立っていた。


「・ ・ ・綾波さん。」
「さんはいいわよ、碇君。」

綾波と呼ばれる少女は、そう微笑みながら碇の側に並んだ。


「どうしたの、その頬。・ ・ ・また、アスカと夫婦ゲンカ。」
「・ ・ ・そうだよ。」

綾波は、碇のその言葉に驚いた。いつもだったら、顔を赤くして否定するのに、
今日この時だけは、冷たいまなざしでそう答えた。

「・ ・ ・なにかあったの、碇君。」
「あったもなにも、アスカの奴ひどいんだよ。ただ“アスカの誕生日”を忘れたぐらいで。」
碇がそう怒りながら言う。だが綾波は、その言葉を聞くと、ため息一つつき、この鈍い少 年を睨んだ。


「・ ・ ・な、なんだよ、綾波。」
「ほんと、鈍いわね碇君。」
そう言い、また一つため息をつく。

「もう、なにが鈍いんだよ。」
碇は怒った口調でそういう。すると、綾波は碇の胸を叩き、
「自分の心に聞いてみれば、バカシンジ。それじゃあね!!」
と、最後の口調をアスカの真似をしてシンジに告げると、坂道を一気に上っていった。

「自分の心に聞いてみろって?」
シンジはそう呟くと、一人その場に立ち尽くした。



夜が降りてくる。
そして、冷えた風が土手に吹き抜ける。
少女は身を縮込ませ、寒さに耐えていた。
寒さに身体は震えているが、目は虚ろを保ち、川の一点を見つめていた。
「・ ・ ・帰りたくない。」








「アスカ、どうしたんだろう。」
シンジは、食台の上に料理をおきながらそう考える。

「アスカちゃん、遅いわね。」
シンジに似た、いや、シンジが彼女に似たのだろう。そのシンジが似た顔の女性は静かに 呟いた。

「シンちゃん、アスカちゃんとなにかあったの?」
おっとりした優しい声が、そう言葉を出すと、シンジは今日、放課後にあったことを話した。


 そして話し終えた後、その女性は綾波と同じため息をつき、
「シンちゃん、本当に女心がわからないのね。」
「・ ・ ・どうして、母さん。」
「まったく。」
ユイは、もう一度ため息をつき、シンジのほうを見た。

「シンジ、アスカちゃんのこと、どう思ってるの?」
と、真剣なまなざしでそうシンジにそう聞く。シンジは、顔を赤くしながら、
「・ ・ ・そんな、どう思っているかなんて。」
と、落ち着かない様子で答える。
「はっきり言いなさい、シンジ。“好き”なの“嫌い”なの?」
答えを要求する強い口調が、シンジの耳の中に入った。
「・ ・ ・す、・ ・ ・好きだよ。」
「そう。」
「でも、アスカが僕のとことどう思っているか・ ・ ・。」
「・ ・ ・シンジ。アスカちゃんも、あなたのことがきっと好きなはずよ。」
「どうしてそんなことが言えるのさ、母さん。」
「・ ・ ・だって、好きな人には自分の誕生日、覚えてもらいたいもの。」
ユイはそう言い、優しく微笑んだ。そして、

「だからよ、アスカちゃんが怒ったのは。シンジが誕生日のことを忘れてたからよ。」
ユイは優しくそう言う。

「・ ・ ・か、母さん。僕、アスカを探してくる。」
「そう、気を付けてね、シンジ。」
家を出る息子を、ユイは優しく見送った。

「ほんとに鈍感なんだから。」
笑顔で、ユイはそう独白した。




(・ ・ ・なんであんなに怒ったんだろう。)

(好きだからだよね、シンジのことが。)

(でも、あんなに怒らなくてよかったんじゃない。)

(あいつが、私の事好き、ていう保証ないもの。)

(・ ・ ・ほんと、バッカみたい。)

そして、止まっていたはずの涙が、また流れ落ちた。





(どこにいるんだよ、アスカ)
少年は走りながら考える。

(バカシンジ!!)
少年は走りながら思い出す。

彼女の声

彼女の笑顔

彼女の容姿

彼女を彩る全てのものを

(嫌われてもいい。だから、言わなきゃ。)
(・ ・ ・でも、嫌われたくない。)



坂を登る。
急な坂を。
少年は息を切らせ、
学校近くの土手につく。
そして
彼女を見つけた

「ア、アスカ。」
少女の耳に、少年の声が入る。だが、体を起こそうとしない。それどころか、この場から 逃げだそうと、身体を動かす。

「待ってよ、アスカ。」
少年は追う。
その少女の背中を。
そして、その少女の右手をつかむ。

「離してよ!!、バカシンジ。」
「いやだ。」
シンジはそうはっきりと言うと、振り放そうとするアスカの手を強く握り締める。そして、
「僕は、アスカに謝らないといけない。」
その言葉を聞くと、アスカの身体がピクン、と震えた。
「誕生日、忘れててごめん。」
優しい口調が、アスカの耳に入る。

「も、もういいわよ。」

「本当にごめん。」

「いいってば。私もやりすぎたわ。」

「だから、アスカの言うこと、何でも聞くよ。アスカは、僕にとって・ ・ ・一番大切な 人だから。」
シンジのその言葉で、アスカはようやく顔を上げた。泣き腫らした目が、痛々しかった。

「アスカが、僕のこと嫌いでもかまわない。でも、僕にとって、アスカは・ ・ ・大切な 人だ・ ・ ・」
シンジの口を、暖かいものがふさぐ。そして、それはゆっくりと離れた。

「・ ・ ・これが、私の答え。」
顔を赤くしながら、アスカはそう答える。

「・ ・ ・本当に、僕なんかでいいの、アスカ。」

「あんた意外に、いい男、いないもの。いえ、あなた以外考えられないもの」
恥ずかしさを含む静かな口調が、シンジの耳に入りこむ。そして、
「・ ・ ・ありがとう。」
と、シンジは優しく呟いた。

 

 

 

 

星が輝く夜空の下

聞こえるのは虫の音と

川のせせらぎ

そして

自動車のエンジン音

その中を

手を握りながら

家路につく

少女と少年

少女の誕生日の日

傍らにいる人は

神様が贈った

最高のプレゼント

祝ってくれる人がいなくとも

その日

愛しい人がそばにいるだけでいい

その少女の願いがかなった日

そして、また口付けをかわす

きれいな星空の下で





〜I LOVE YOU〜



fin

 

 

 

 

 

 

 

たわごと
うぎゃー。アスカ様の誕生日記念、忘れたばか者は、
この私のことです。
すいませんでした。
しかも、
ドラえぽんさんの六千ヒット記念に便乗して、
アスカ様の誕生日記念を贈ったのは、
この私です。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。





 

 

 

 

 

オマケ
家路につく前の土手にて
「ねえシンジ、何でも言うこと聞くって行ったわよね。」
「・ ・ ・う、うん。」
「それじゃあ、私を抱きしめながら家に帰りなさい。」
「ど、どうして。」
「寒いから身体が冷えちゃって。」
「そ、そんな。」
「拒否はできないからね!!」

ちゃんちゃん!!

 


こんばんわ、ぼくドラえぽんです。

TODOさん、すてきな作品をありがとー!!\( ^0^ )/いえーい

この作品は、アスカ様誕生日SSを書かなかったTODOさんをおどして書いて貰ったものです。(爆)

ドラえぽんのワガママで書いてもらえてすごく嬉しいです。
言ってみるものですね。(笑)

この作品はしっとりとしてすごく綺麗ですねえ。

二人の心の動きがまた良いです!うまいなー、ドラえぽんも修行せねば。

そして、ラブラブ。たまんないっすねー。

さあ、すてきな作品を書いてくださったTODOさんに感想をおくろー!

 

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ここから是非感想を送るのだー。\(●> _ <●)おーっ

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