天使の涙                                    作.ドラえぽん

 

 

 

 

「か、かわいい。」

僕は彼女の無防備な寝顔を見て思わず息を飲んだ。

僕は天使を実際にこの目で見た事はない。しかし、天使は実際に存在しているんじゃないかと錯覚してしまいそうになる。
その天使のような寝顔のあまりの可憐さと儚さに、僕は今まで経験したことのない気持ちがわき上がってくるのを感じていた。

この気持ちは何なのだろう?心が沸き立つようでそれでいて少し締め付けられるような。
僕が僕でない感じがする。

この感覚がなんなのかを確かめたくて、僕は何かに操られるように彼女の頬に手を伸ばした。
それで彼女が気がついたら、なんて思う思考は僕の中に存在しなかった。

そっと彼女の頬に触れてみる。
それは柔らかい感触、それでいて滑らかな触感。僕はいつの間にか安らかな気持ちになって彼女の頬をいたわるように撫で続けていた。

「ん、ママ・・・・・・」

彼女は、ふとこう呟くと閉ざされたままのマリンブルーの瞳から透明な涙をこぼした。

ママ。母親。母さん。
お母さんが恋しいのだろうか。それとも何か悲しいことを思い出しているのだろうか。

いつも勝ち気なこの少女。13歳で大学を卒業した頭脳と例え女神でも適わないであろうその可憐な美貌を持つ「特別な存在」。そうみんなはやし立てている。

しかし本当にそうだろうか。少なくとも、僕も最近まではそう思っていた。しかし本当の彼女は、母を恋しく思うか弱いただの少女なのではないだろうか。

守ってあげたい。護ってあげたい。涙を止めてあげたい。

心の奥底から沸き立つ感情を僕は止めることが出来なかった。

「護ってあげる。僕が護ってあげる。」

無意識に気障な台詞が口をつく。
気がつくと僕は彼女をそっと抱きしめて、そのきれいな金色の髪を指で梳くように撫でていた。

「護りたい。」

そう、僕が護りたいんだ。

その時気持ち良さげな表情をして彼女がうっすらと目を開けた。

「シンジ?」

「君を護りたいんだ。アスカ。」

彼女は、信じられないという表情で僕をみた。

「本気で言ってるの?」

僕は今まで生きた人生の中で一番真剣だったであろう顔でうなずいた。

「うれしい。」

そこには言葉では言い表せないほど澄み渡った笑顔のアスカがいた。

ああ、これが彼女の本当の笑顔なんだ。僕の心を捕らえて離さないその微笑みを見たとき、彼女に対する想いを確信した。

「本気で誓える?本気で誓えるなら、キスして。」

彼女は頬をほんのりと染めて目を閉じた。

「一生君を護るって誓うよ。」

僕は彼女の桜色の唇にそっと口づけた。

彼女はいのまにか僕の首に腕をまわし、僕の胸に顔をうずめてホッとしたように眠りにおちていた。
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ハッ。私ったらなんて恥ずかしい夢を・・・・・・・。
だいたいあのバカシンジがあんな気の利いたことを言えるわけないわよね。

それにしても、あのシンジかっこよかったな。
ってまさか、アタシシンジのこと・・・・・・。いや、私は加持さんのことが好きな、はず。

でも、昨日の夢の中でのシンジには信じられないくらいときめいていた。
あんな気持ち加持さんにも感じたことはない。

それに、私を護ってくれるといってくれた。そんなことを真剣に言ってくれた人は今まで一人もいない。加持さんだって半分、いや半分以上は仕事として私を相手にしているのだろう。
そんなことはとっくに気がついている。

私を純粋に心配してくれる人は一人もいない。

昨日の夢が本当だったらよかったのに。
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「ってシンジ!?」

何でシンジがアタシと同じ布団に寝てるのよ。しかも、私は腕をシンジの首にまわしている。そして、シンジの腕は私の体を抱きかかえる様に背中と頭にまわされている。

これは俗に言う抱き合ってるというやつでは・・・・・・・・。

私はそこまで考えると全身がカーッと赤くなるのを感じた。

待って、冷静に考えるのよアスカ。この状態から考えると・・・・・・・・・・。

まさか。

まさか?

まさか!

まさかーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?!?!

昨日のことは本当に起こった出来事なのでは?

そ、惣流アスカラングレー一生の不覚。アタシったら、アタシったら、バカシンジにキスしてとか言っちゃってたわーー!

しかも、ファーストキスをバカシンジとしちゃうなんて。



でも、素敵なキスだったわよねえ・・・・・・・・・・。アタシ今ほっぺた真っ赤っかじゃないかしら。

それにしてもコイツ、急にあんな事いうなんてどういうつもりかしら?

アタシはほんの鼻先5センチほどのシンジのほっぺをふにふにしながら考える。


「.....................」


え?なんていったのかしら、シンジ。

「アスカァ........好きだよ...」

「............................................................................。」

ウレシイ?ウレシイ。ウレシイ!ウレシイ!!!!何でこんなにうれしいんだろう。何でこんなに心が躍るんだろう。シンジに好き、っていわれただけなのに。

え?そうなの?そうなんだ................

そうか。アタシコイツのことが好きなんだ。大好きなんだ。なぜ?理由なんてわからない。理屈じゃなくコイツのことが好きなんだ。

何でこんな簡単な事に気づかなかったんだろう。こんなに幸せなことなのに。

ああ、コイツのことがこんなにも愛しいなんて。他人のことがこんなに愛しいなんて信じられない。

「シンジ。好き。好き!大好き!もう離さない。」

アタシはシンジを力いっぱい抱きしめた。

「アスカ?」

シンジは少し苦しかったのか、目を覚ました。

「どうしたの?アスカ。」

アタシはほんの少し残っていた昨日のあれは本当なのか、という不安をぶつけたくなった。

「ホントに、ホントにアタシのこと護ってくれるの?」

シンジはほんの一瞬だけ私に口づけると、男とは思えない様な綺麗な笑顔で、言ってくれた。

「必ず護るって誓います。」

暖かかった。心が。世界が。

「シンジィ、愛してる。」

「アスカ、僕も愛してるよ。」


アタシ、もうこれからどんな辛いことがあっても耐えられる様な気がする。
シンジと一緒ならきっとこんな世界でも幸せになれるよね。

ねえ、シンジ。キスをしよう。この希望に満ちあふれた世界が終わらないように。

そして私たちは深い口づけを交わした。自分の半身を決して離すことのないように。

(終わり)

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 (後書き)
 これはドラえぽんが初めて書いたSSですね。こっぱずかしいです。
これは某有名LASサイトの投稿掲示板に書いたものなんですけど、改訂したのでせっかくだからこのHPにのっけました。
 背景としてはユニゾンの分岐ですね。会って速攻で二人を補完しちゃおうというご都合主義SSでございます。(笑)
初めて書いたにしては気に入ってます。午前3時ぐらいのトランス状態の時に書いたのでシンジ君がドラえぽんの妄想どうりに動いてます。気障っちシンジ君ですな。(ニヤリ)まあ、こんなのもアリかな?
題名は金城武の映画の題名からもらっちゃいました。

感想・換装・わたし最近乾燥肌なのよ、奥さん。などはこちらにどんどん送りつけてみよう!