DUAL MIND 第1話
「ユイ!」
「だ、駄目です!シンクロ率上昇止まりません!」
ここはとある研究施設。
けたたましく警報音が鳴っている。
「こ、こんな事が起こるはずないわ!準備は完璧だったはずなのに」
次の瞬間二つの絶叫がこだました。
「ユイー!」「姉さん!」
「サルベージだ」
「えっ?」
「ユイのサルベージを行う」
「し、しかしそれは!」
サルベージは不可能ではない。
この研究施設と人材なら可能であろう。しかしそれは・・・。
「問題無い。生け贄にはシンジを差し出す。」
それまで男の言葉を黙って聞いていた青年が決心したかのような声で発言する。
スラリとした長身。
しかし鍛え抜かれているであろう肉体。
やや目つきは悪いが姉と同じ血を引いている事を示すかの様な美しい顔立ち。
「俺が生け贄になる。それなら奴も文句は言うまい。それに自分の息子を生け贄にしたとなれば姉さんは義兄さんを許さないんじゃないか?」
青年の鋭い眼光が男を射抜く。
魂をも貫くかのような眼光。
そしてそのままぐるりと周囲にいた人たちを見回す。
皆その眼光に恐怖した。
気の弱い者は「殺される!」とまで思った。
「しかしリュウヤ。おまえの能力はまだ必要だ。」
「それは俺の殺しの技のことか?それとも頭脳か?そんなモノは俺にはどうでも良いし愛する姉さんと甥の命には代えられない。俺は二人のためなら命を捨ててもかまわない。少なくともその覚悟はある。」
その言葉を聞いてしばらく考え込んでいた男は静かに言った。
「サルベージの準備だ」
「し、失敗・・・」
女性職員の中には泣き出したり気を失ったりするモノまで出ていた。
「なんということだ・・・」
壮年の男のつぶやき。
それは絶望で彩られた言葉。
その言葉を聞いた男は静かに言った。
わずかに男の苦悩が伺える。
「シンジを使って再サルベージだ」
「良いのか?碇」
「・・・かまわん。私にはユイがすべてだ」
男の子は帰ってきた。
女も帰ってきた。
だが青年は帰ってこなかった。
その事実は女の心を傷つけた。
そう。
とても深く・・・。
DUAL MIND
第1話「共存」
BY ささばり
「またここに来ていたのか、ユイ」
男の口は言葉を紡ぐ。
溢れんばかりの労りを込めて。
ここは墓地。
多くの墓石が並ぶ、その内の一つ。
男が背後に立っても微動だにしなかった女、ユイが初めて顔を上げると言った。
「私は生きていても良かったのかしら。」
それはユイが今まで何千回も心で呟いていた想い。
そして今まで何千回もユイの心を傷つけてきた小さなナイフ。
私には愛する夫、ゲンドウがいる。
何年も会ってないが息子、シンジもいる。
だが血を分けた、愛すべき弟はもう居ない。
「シンジの言ったことを忘れたのか?」
ゲンドウは静かに言った。
妻の心の傷を癒すために。
「覚えています。あの言葉が無ければ私は耐えられなかったでしょう」
そのときの言葉は今でもはっきりと覚えている。
その言葉を思い出すたびに少しだが彼女の心は癒されていく。
「行こう。我々は立ち止まる訳には行かない。それが彼に対しての償いにもなる」
「えぇ」
「もうすぐシンジがこちらに来る。久しぶりだし、積もる話もあるだろう。そんな顔をしていたらシンジも悲しむぞ」
「シンジも?」
「わ、私もだ。それに・・・シンジが来ると言うことは彼も来るということだ。そんな暗い顔をして彼に会えるのか?」
ユイの体がピクリと揺れる。
それを見ながらゲンドウはもう一度言う。
「会えるのか?」
「いいえ」
「ならば笑ってやることだ。それが彼の想いに答えることにもなる」
しばらくしてユイは顔を上げた。
そこにはここしばらく見られなかった笑顔があった。
「ありがとう、あなた」
「ああ」
そして二人は墓石を背に歩き出した。
ユイの顔にはもう暗い影は浮かんでいない。
二人で並んで歩きながらユイは思い出していた。
弟の死を知った時、絶望の中泣き崩れた時、確かに聞いた言葉。
確かに聞いたシンジの言葉。
「だいじょうぶ。りゅうやおにいちゃんはここにいるよ。ぼくといっしょにいるよ」
つづく
でたな、極悪ゲンドウ。(ニヤリ) というわけでささばりさん、初投稿ありがとうございますー。\( > 0 < )/連載だー 本編再構築ものですね〜。あのユイの事故の時点でのパラレルって事何でしょうかね。 そして、ゲンドウはユイおんりー野郎ですね〜。この辺はTV本編準拠って感じッスかね。 この設定でアスカ様がどう絡んでくるか楽しみですねー。 早速ささばりさんに感想&応援を書いて続きを書いて貰おー。\( ^ 0 ^ )おー |
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