青春の光〜言えなかったコトバ〜

 

最終話『ずっと二人で』

 

 

 

 

 

 

あの夏の出来事から2年後。

僕は今ウイーンにいる。

本格的にチェロの勉強をしたくてこうして外国の学校に来ている。

本当は2年前,既に大学に通っていたけれどけれどアスカと再び出会って今本当に自分がしたい事は何なのか,そう考えるようになった。

僕はアスカに僕のチェロを聞いてもらいたい。

そう思って中学のころから毎日,毎日練習してきた。

それは高校に進学してからも続いていた。

アスカに聞いてもらうために少しでも上手になりたい,というその一心で。

チェロをはじめた動機はもう忘れてしまったけどたいした理由でなかったことは確かだ。

カッコイイとかそんな感じだった思う。

けどはじめた理由が何であれ僕はもっとチェロを上手に引きたいと思った。

だから僕は2年前父さん達に言った。

大学を辞めて外国にチェロの勉強に行きたい,と。

当然反対されると思った。

でも僕の考えとは逆に父さん達は快く賛成してくれた。

母さんは「あなたがそうしたいのならそうしなさい」と笑顔で言ってくれたし。

父さんは「好きにしろ」といつものような口調でそう言った。

こんなわがままを聞いてくれる両親を持って僕は幸せだ。

その時僕は心のそこからそう思った。

 

正直に言えば無理して外国にくる事もない。

日本にいてもチェロの勉強をする事は可能だ。

では,なぜ僕が外国に行きたいと思ったのかというとそれは僕が自分自身に課した一つの試練であるからだ。

今まで住んだ事もない外国で何処までやっていけるか,自分の中の才能はどのくらいなのか。

それを見極める為だ。

正直に言えば最初は不安だった。

見知らぬ土地,知り合いが一人もいないところ,聞けば僕が行く学校で日本人は僕一人らしい。

そんなところで本当に僕はやっていけるのか,自分自身の試練なんて事を言っても内心不安だらけだった事は確かだった。

 

 

今はもうそんな事はないけれど。

 

 

皆とはたまに電話でやり取りするくらいでいつもはメールでやり取りしている。

あれから2年。

皆はそれぞれの道を歩み始めている。

 

トウジは地元である関西の大学に通っている。

将来は体育教師になるのが夢だそうだ。

ちなみにその大学には洞木さんも通っている。

本人はあくまで偶然だって言っていたけれどそんな事はないだろうな,絶対。

相変わらずの関係らしいけどあの二人らしいと思う。

 

ケンスケは報道カメラマンをやっているそうだ。

僕がウイーンに行くまでは雑誌のカメラマンをやっていたけれど僕に影響されたらしく今は外国を飛び回っているらしい。

外国の飢えた人達や戦場などの風景を撮って悲惨さを少しでも伝えたいといっていた。

昔は戦争に憧れてさえいたけれど今は反対派らしい。

自分に正直で思った事はすぐ実行に移すところは昔とちっとも変わってない。

元気でやって欲しいと思う。

 

綾波は今は普通の大学生をやっているらしい。

らしい,というのも,あれ以来綾波とは会って話しをするどころかまともにメール交換すらしていないのだ。

洞木さんから聞いた話しによると将来は小説家になりたいらしく今はその為の勉強の真っ最中なのだそうだ。

綾波が小説家,なんかいまいちイメージ沸かないけど意外と似合っているのかもしれない。

昔から本読むの好きだったし。

綾波ならきっといい小説がかけると思う。

小説家デビューするのが今から楽しみだ。

 

父さんと母さんは相変わらず元気でやっているそうだ。

この前母さんなんか「シンジがいないから新婚のころに戻った気分だわ」なんて言ってた。

今のところチェロで稼げるようになるまで日本に帰るつもりはない。

当然まだまだ勉強中なのでいつ日本に帰れるかわからない。

それでも父さんたちは僕が帰るのを心待ちにしてくれている。

そんな両親の為にも僕は一日も早く一人前になりたいと思う。

 

 

そしてアスカは―

 

 

 

 

 

 

 

「何ボケボケっとしているのよバカシンジ」

「うん,ああ,ちょっと考え事してたんだ」

 

そう,アスカは今僕と一緒にいる。

本当はアスカを連れて来る筈じゃなかった。

だけど僕がウイ―ンに行くことをアスカに話したときアスカは

「アンタ,アタシがいなくちゃ朝もろくに起きられないじゃない。

それにアタシがいなくちゃアンタなんにも出来ないし。

心配だからアタシもついて行って上げる」

そういってアスカも僕と一緒にくる事になった。

その時は反対したけれど結局アスカがついてくるのを止める事は僕には出来なかった。

アスカに強引に迫られたら昔から断れないのは僕の癖だけれど正直,一人で行くのは寂しいと思った事も事実だ。

それにアスカと一緒にいられることは何よりもうれしい。

 

「考え事って何よ。

どうせくだらない事でしょ」

「皆の事,思い出してたんだ。

元気かなあって」

「あいつらなら大丈夫よ。

きっと元気にやっているわ」

「そうだね」

 

そしてアスカは僕の前を跳ねるように歩く。

太陽の光に反射してきらきらと宝石のように光る髪。

太陽に負けないくらいの笑み。

まるでモデルのようなプロポーション。

女神,という言葉がぴったりだ。

こっちに来てからのアスカは日本にいたときよりもひときわ光り輝いて見えた。

 

「何見てるのよ,ひょっとして見とれてた?」

 

アスカは首だけこっちに向けると悪戯っぽい笑みを浮かべながらそう言う。

 

「まあ,ね」

「うん,正直でよろしい」

 

アスカはそう言うと僕の右手に自分の左手を絡ませる。

僕の腕に頬を擦り付けているアスカは本当に幸せそうだ。

だけどそれに対して僕の心はかなり緊張していた。

アスカが腕を絡ませる事に対してではない。

もっと別の事に対してだ。

 

「ね,ねえアスカ。

ちょっと公園にでも行かない?」

「んー,シンジが行きたいならいいよ」

 

そうして僕達は近くにある公園へと足を向けた。

そこは比較的大きな公園だった。

円状の公園の中心には丸い池がありそれを取り囲むように木々が植えられている。

昼間という時間帯にしては珍しく今は人が少ない。

 

もっとも僕にとっては好都合だけれど。

 

季節が春なせいか,木々から漏れる光はあくまで優しく僕達に降り注ぐ。

まるで太陽が僕達に微笑んでいるかのようだった。

 

しばらく僕達は無言のまま歩いていた。

やわらかな日差しと静かに吹くそよ風が気持ちよく,僕はしばらく目的を忘れそうになった。

 

「ねえ,アスカちょっといいかな」

 

僕はそう言ってアスカからゆっくりと腕を振り解きアスカの正面に立つ。

 

「な,何よ」

 

いつもと違う雰囲気を感じ取ったのか,アスカも若干緊張しているようだった。

 

「僕達,付き合って長いよね」

「そうね」

「アスカがウイ―ンまでついてきてくれて本当に感謝しているよ」

「そ,そう?」

「やっぱり一人じゃ寂しかったしさ,アスカには何度も励まされたしやっぱり僕ってアスカがいなくちゃダメなんだなあって―」

「シンジ」

 

僕の言葉をさえぎってアスカが小さく,しかしどこか迫力のある声でそう言う。

 

「何が言いたいのよ,言いたい事があるのならはっきり言いなさいよ。

ホントアンタは優柔不断なんだから」

「わ,わかったよ。

えーと,つまり,僕が何を言いたかったのかというと,そ,その,つまり,ええと・・・・」

「だあああっ,はっきり言いなさい!

アンタそれでも男なの?」

 

「け,結婚してくれないかな?」

 

その言葉を口にした途端アスカの動きが止まる。

 

「え,あ,あの,け,けっ,結婚って,やっぱり,あの,その・・・・」

 

さすがに驚いたのだろう,アスカはぽかんとした表情をしながらわけのわからない事を呟いている。

そんなアスカを見て僕はくすりと小さく笑う。

 

「あのさ,別に今すぐにってわけじゃないんだ。

僕が日本に帰れるまで,つまり僕がチェロで食べていけるようになるまで待っていてくれないかな?

日本に帰ったら結婚しよう。

それまでは,悪いんだけど待っていてくれないかな?」

 

なるべく平静を装っているけど僕の心臓は張り裂けんばかりに大きく高鳴っている。

強く握り締める手にはじっとりと汗が浮かんでいる。

 

アスカは自分を落ち着かせようと胸に手を当てて大きく深呼吸をしていた。

何回かしているうちに落ち着いてきたのか,ふぅと大きく息を吐き,深呼吸を止めた。

 

「アンタってさ昔っからホントデリカシーなかったし,いつも大切な事は突然言ってきたわよね。

全くこういうことはもっと・・・・もっとロ・・・ロマンチックに言うものよ・・・・・」

 

その言葉の最後のほうは涙声になっていた。

アスカはそう言い終えると小さく嗚咽を漏らし始める。

肩を細かく震わすアスカを僕は全身で包みこむように抱きしめた。

 

「アスカ。

返事・・・・・・聞かせてもらえるかな?」

 

僕の腕の中で肩を震わすアスカに僕は出来るだけ優しく,呟くようにそう言った。

僕がそういってもしばらくアスカは泣いていたけれどしばらくして落ち着いてきたころゆっくりと顔を上げた。

そして赤く充血し,涙を浮かべたアスカの瞳がまっすぐ僕を見つめてきた。

 

「私でよければ・・・・・ずっとそばにいさせてください」

 

アスカは優しく,丁寧な口調でそう言った。

そして僕は再びアスカを抱きしめる。

やがてアスカからも腕を回してきた。

 

「いつ日本に帰れるかわからないよ?」

「いいよ,いつだって」

 

「ひょっとしたらずっと日本に帰れないかもしれないよ」

「いいよ。シンジと一緒なら」

 

「ずっと,ずっとそばにいてくれるかな?アスカ」

「うん・・・・・だからシンジも私のそばにいて」

「もちろん」

 

僕達はお互いの体を少し離す。

そしてアスカはすうっと真珠のような涙を一筋流す。

それは,悲しみの涙ではない。

アスカが僕のコトバを心から喜んでくれたからこそ出る涙。

だから,アスカが僕に向かって悲しみの涙を見せる事なんてもうないんだ。

僕はアスカを悲しませるような事はしない。

そんな事は絶対にしない。

これからアスカが流す涙は喜びの涙だけなんだ。

 

 

 

 

―誓いのキスと伴に僕はそう誓った―

 

 

 

 

 

 

 

 

END


 

どもです,さくぎんです。

やっと完結しました。

感無量です。

ドラえぽんさんのところに最初にこのシリーズ送って大体1ヶ月。

全6話でやっと完結する事が出来ました。

これもひとえにドラえぽんさんと感想を送っていただいた皆さんのお力添えがあったからこそだ思います。

・・・・・・・まるで大作が終わったかのような言い方ですね。

これを書き上げられていろいろと学べるものも出来ました。

最初考えていた時はこのエピローグはなかったのですが途中で考え付いて追加した話がこれです。

なんかレイのフォローがないですね。

5話と最終話はレイにとってはちょっと可愛そうになってしまったかもしれません。

アヤナミストにとってはちょっといたいお話しかも(でもアヤナミストはここに来ないから平気ですね)

またネタが思いつけば投稿させていただくかもしれません。

またその時まで。

感想など頂けたらうれしいです。

でわでわ



くっはあー、しあわせーん。\(●^▽^●)/サイコーッス

というわけで、さくぎんさんついに連載最終話ありがとうございますー。\( > 0 < )/ついに完結だー

そうかそうか、シンジ君。頑張ったんだねえ。( ^ - ^ )
自分のために、そしてアスカ様のためにってなっちゃあ、そりゃ頑張んなきゃいかんよね。

アスカ様はどうしてるんだろう、って思ったら付いて行ってるじゃないですか。ちゃんと\( ^ 0 ^ )/いえーい
やっぱり側に居たいよねえ。やっと再会出来たんだから。

そして、プロポーズ。
>「私でよければ・・・・・ずっとそばにいさせてください」

ぐあー、この言葉遣い超ヒットー!!!(●>_<●)(●> ̄<●)(●>_<●)(●> ̄<●)(●>_<●)(●> ̄<●)<オバカ

さあ、永遠の居場所を見つけた二人。これからもっともっと幸せになって欲しいですねー。\( ^ 0 ^ )がんばれよー

幸せな二人を見せてくれたさくぎんさんに、早速ありがたやな感想を送るのだー。\( > 0 < )/ありがたやー

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ここから是非感想を送るのだー。\(●> _ <●)おーっ

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