青春の光〜言えなかったコトバ〜
第3話『不安』
「シンジ〜起きて」
なんだか女の子の声が聞こえる,この声は女神様・・・・?
「ねえ,シンジったら」
むにゃむにゃ,女神様もう少し寝かせて・・・・・・・・
「おっきろーバカシンジ!!!」
「う、うわああああっ」
突然大きな声が僕の耳そばで響く。
な,何が起きたんだろう?
とりあえず僕は起きあがって周りを見渡して見る。
「あ、あれ・・?女神様は・・・・・?」
「何が女神様よ,このバカシンジ!」
その懐かしい声のするほうに振り向くと腰に手を当てたいつものスタイルで仁王立ちするアスカの姿があった。
「ようやくお目覚めね,バカシンジ」
「なんだアスカか・・・・・って何でアスカが僕の部屋に・・・・」
「アンタまだ寝ぼけてるのぉ?あのねえ,私達は今皆で旅行に来てるの。
そして寝ぼすけのアンタをアタシが起こしにきてあげたってわけ」
「あ,そう。
じゃ,お休み」
僕はまだ眠かったのでもうしばらく寝せてもらう事にした。
そして僕は再びベッドの中へ。
「いい加減に起きろっ!このバカシンジっ!」
パン、パンという乾いた音と同時に鋭い痛みが僕の両頬に走った。
「い,痛いじゃないかアスカ。
何もぶつ事ないだろ」
「はん,こうでもしなきゃアンタ起きられないんだからこれくらいで丁度いいのよ」
「全く乱暴者なんだから,アスカは」
「何ですってぇ!?」
そして3発目が僕の右頬の命中した。
「おはようさん,シンジ」
「おはよう,シンジ」
「ああ、おはよう」
「しかしセンセは朝から夫婦喧嘩かいな」
「夫婦喧嘩聞くのも久しぶりだな」
「そんなんじゃないよ」
「そんなんじゃないわよ」
「揃って顔を赤くしながら言ったって説得力ないわよ」
今度は綾波まで言いはじめた。
参ったな,この3人にからかわれたらきりがないからなあ。
「レイ,アンタまで!」
「だあーって,あなた達からかうと面白いんだもん」
アスカに迫られても綾波は臆すること無く,けらけらと笑いつづける。
「はいはい,そこまでよ。
皆朝食にしましょ」
両手をパンパンとたたきながら洞木さんがそう言う。
「そうだな,これくらいにして飯にしようぜ」
「せやせや」
ケンスケとトウジはそう言うといち早く席に着いて朝食を食べ始める。
うやむやにされたアスカは不満げだったがやがて皆が食べ始めると自分も食べ始めた。
「そう言えばさ,シンジ」
「うん?」
「昨日の夜,アタシ何かした?」
「へっ?何かって・・・?」
「アタシさあ,昨日の夜ここで飲んでいたことまでは覚えてるんだけどその後の記憶が無いのよね。
気づいたらベッドで寝てたし」
アスカはぽりぽりと頭を掻きながら恥ずかしそうにそう言う。
「じゃあ,僕と裏庭で話した事も覚えてない?」
「へっ?アタシ何話したの?」
「どうやって自分が部屋に戻ったかも?」
「う・・・・ん」
僕と洞木さんはお互い少し見つめ合うと堰を切ったように笑い始めた。
「「あはははっ」」
アスカを含めた4人は僕達を不審げな表情で見つめる。
「何よ,二人で笑って。
何があったのよ」
必死に詰め寄るアスカを尻目に僕達は笑い続ける。
「何々?何か面白い事でもあったの」
「なんだよ俺達にも教えろよ」
「なんや,何があったんや」
3人とも興味津々といった表情で僕達に詰め寄る。
まさか,アスカが僕と話していて寝てしまったので部屋まで抱きかかえてきた,なんて言えるわけも無い。
安心したような,悲しいようなちょっと複雑な感情が僕の中で渦巻いていた。
「ほらっ、そこの2人ぼけっとしないの」
「わしは試食係やからなぁ」
「アタシもそうだしねぇ」
そう言いながらアスカとトウジは苦笑いを浮かべる。
洞木さんは大きなため息をつき,再び料理に取りかかる。
今は昼食を兼ねたバーベキューの準備の真っ最中だ。
綾波や洞木さんが料理できる事は知っていたけどケンスケが出来たなんて意外だったな。
本人は普段キャンプ生活をしているから簡単な料理は出来るって言っていたけどまさか本当だったとは。
意外に手つきもなれていて様になっている。
アスカとトウジはなんだかんだと理由をつけては結局手伝おうとしない。
大体二人は試食係じゃ無くてつまみ食い係じゃないか。
まあ,こうなる事は予測していたけどね。
「じゃ,出来たから焼き始めましょう」
洞木さんはそう言うと網の上に串刺しにした肉や野菜を並べて行く。
網の上で肉や野菜が美味しそうな音と匂いを出す。
早く食べたいと思うのは僕だけではないだろう。
「じゃ,アスカと鈴原,後はよろしくね」
「「へっ?」」
洞木さんにそう言われて二人はきょとんとしている。
「あなた達は焼き係ね」
にっこりと微笑みながら綾波が二人に向かってそう言う。
「そんな殺生な」
「なによそれぇ!?」
「二人ともなにもやらなかったんだからそれくらい当たり前だろ」
さらにケンスケにまでそう言われ二人はガックリと肩を落とす。
「が,がんばってね」
せめて二人に声援を掛けてあげたけどなぜか僕だけ睨まれてしまった。
二人はしょぼんとしながらも肉を返していた。
「うーん,おいしいっ!」
いかにもオーバーアクションで綾波が両手で頬を押さえながらそう言う。
「うん,こりゃうまい」
ケンスケもわざとらしく二人の目の前で食べている。
さすがに洞木さんはそこまでやらなかったがそれでも二人を無視して食べつづける。
「ヒカリ,食べていい?」
「アスカ,そこ焦げついてるわよ」
どうやら二人はまだ食べる許可をもらえないようだ。
さすがに可愛そうになってきたので僕が代わってやる事にした。
「僕が代わりにやるから,二人とも食べなよ」
そう言うと二人に顔がパッと明るくなる。
「ホンマか?やっぱりわしの親友はセンセだけやな。
あんな薄情な連中友達やあらへん」
「ホント?ありがとシンジ」
「ダメよ,碇君。二人甘やかしちゃあ。
こうでもしないと二人ともすぐ図に乗るんだから」
二人の感謝の声を遮るように綾波がそう言う。
「だけどさ,二人とも可愛そうだよ。
そろそろ許してあげようよ」
「碇君がそう言うんなら仕方ないわね。
じゃあ,あなた達も食べていいわよ」
洞木さんの許可とともに二人も食べ始める。
一瞬目の前から食べ物が消えてしまうほどの勢いで二人は食べ続ける。
突然アスカが食べるのを止めると僕のほうを睨む。
「なに笑ってんのよ,バカシンジ」
そう言われて初めて僕は微笑みながらアスカを見つめていた事に気づいた。
それに気づいても僕は微笑を止めることなくアスカに視線を向けつづける。
「いや,よく食べるなあって」
「今までお預け食っていたんだからしょうがないでしょう」
「でもそれにしてもすごい勢いだね」
「私,そんなにへん・・・・・かな?」
「そんな事ないよ,アスカらしいよ」
「そうかな・・・・・・・って,あああーーっもう無くなってるう」
網の上に載っていた食材はみごと綺麗に無くなっていた。
「はあーっ,うまかったわ。
もう食えへん」
トウジは腹を軽くたたきながら満足そうな表情でそう言う。
「このバカシンジ!あんたが下らない事話しかけるから無くなっちゃったでしょう。
どうしてくれんのよ」
「どうしろって言われても・・・・材料は無くなっちゃったし・・・・・」
「アタシまだお腹いっぱいになっていないのよ。
ああーッ,悔しい。
シンジ,罰としてアタシの分も片付けやっときなさいよ」
「なんだよ,それ。
それとこれとは関係が・・・・」
「なによ,文句あんの?」
今にもビンタが飛んできそうな勢いでアスカが詰め寄る。
片づけを取るか,ビンタを取るか。
僕は・・・・・・・片づけを取る事にした。
「これで終わりっと」
このゴミをまとめれば片付けは終わりだ。
腕で額の汗を拭う。
全く大変な目にあったな。
変な事言うもんじゃないな。
これからは注意しなくちゃ。
「シンジ,片付け終わった?」
さっきとはうって変わってにっこりと微笑みながらアスカが話しかけてくる。
どうやらご機嫌のようだ。
「ゴミはもう片付けたから後は帰るだけだね」
「そう。片付け終わったんなら二人で散歩しない?
それともなにか予定ある?」
「いや,とくに無いけど・・・・」
「そう,じゃ決定!」
そう言うや否やアスカは僕の手首をつかむと僕を引きずるように歩き始めた。
楽しそうな笑顔を浮かべながら。
「気持ちいいっ!やっぱり森の空気は違うわね」
アスカは両手を組んで大きく伸びをしながらそう言う。
木々の葉から漏れる光がアスカの金髪を照らす。
けれどその髪以上にアスカの表情は輝いて見えた。
「そうだね,都会じゃこの空気は味わえないね」
「なーんか,清清しくなってくるわね」
アスカは僕の前を軽いステップで歩いている。
本当に今のアスカはご機嫌のようだ。
「ああっ,小川がある」
そうアスカが指差してそう言う方向を見てみると確かに今歩いている林道から少し離れた所に小川があった。
「ホントだ」
「ね,シンジいこっ」
「そうだね,行こうか」
林道を降りてそばによって見ると幅1メートルにも満たない小川があった。
水面が光を反射させきらきらと光る。
アスカはその川の水を両手で救うとそれを顔に掛ける。
「冷たくて気持ちいいっ。
ね、シンジもやってみなよ」
「うん」
アスカの笑顔につれられるように僕も水を顔に掛けてみる。
確かに川の水は冷たくて気持ちいい。
汗をかいて気持ち悪くなっていたから余計にそう思うのだろう。
「ホントだ,気持ちいいや」
「でしょ」
僕が答えるとアスカは満面の笑みで僕に答え返す。
思わず僕も見とれてしまいそうな笑みで。
「なんか・・・やけに元気だね」
「そう?いつもどうりだと思うけど」
「いつもこうだったらいいんだけどねえ」
「何よ,その言い方は」
僕の答えにアスカはぷくっと頬を膨らませる。
その姿さえも愛らしくて今のアスカは本当に輝いて見えた。
「なんかさ・・・・・今のアスカ・・・・・・やけに,その・・・・か,可愛いからさ」
必死の思いで僕がそう言うとアスカは僕から視線をそらす。
「バ,バカ・・・・・何言うのよ」
そしてしばしの沈黙。
聞こえて来るのは流れる水の音と森のざわめき。
そして鳥の鳴き声。
木々の間から照りつけてくる日の光はあくまで優しく降り注ぐ。
今まで立ち尽くしていたアスカが膝を抱えながら地べたに座りこんだ。
そして僕もアスカの横に座りこむ。
それからしばらく時間がたった後,アスカが優しそうな口調で話しかけてきた。
「ねえ,シンジ。
中学のときなんで私が吹奏楽部入ったか,知ってる?」
「いや,好きだったからじゃないの?」
「あんまり好きじゃなかったな。
先輩はバカばっかりだったし,練習きつかったし」
「そうなんだ。じゃ何で?」
「今は・・・・・・教えない」
「じゃ,後でなら?」
「それは・・・・・・・わからない」
「アスカが言いたくないんならそれでいいよ」
「・・・・・・うん。そう言えばさシンジ」
「何?」
「昨日あたしシンジと何を話したの?」
「うん,そうだなあ。
ドイツが楽しくなかったって言ってた。
皆変わってなくてよかったって」
僕がそう言うとアスカは少し驚いたような表情を見せたけどしばらくたつと再び顔を膝に埋める。
「そう,なんだ。
・・・・・・・・・そんなこと。
で,アンタは3年間楽しかった?」
「昨日も答えたけどたいして楽しくなかったよ。
いろいろ辛い事あったし。
最近になってやっと余裕が出来てきたって感じかな?」
「辛い事って・・・・・?」
「いろいろと・・・・」
「そう・・・。
今はどう?」
「楽しいよ」
「・・・・・・アタシも」
そして再び訪れる沈黙。
僕達はしばらく顔を見合わせずに小川を見つめつづけた。
「帰ろっか,シンジ」
「うん」
アスカの不安げな声に僕は笑顔で答えた。
そして僕の微笑みにアスカも笑顔で返してくれた。
夕食も食べ終わって皆リビングでくつろぎながら談話していると水月さんがお茶を運んできた。
「皆さん,お茶をどうぞ」
お茶は何の変哲もない湯のみに入った緑茶。
だけど食後にはこれが一番だ。
「そう言えば皆さん,温泉には入られました?」
「温泉なんかあるんですか?」
お茶をすするのを止めた洞木さんがきょとんとした表情でそう言う。
「ええ,ここから北に進んだところにある山のふもとに温泉があるんです。
おととしに掘り当てたばかりなのでまだ出来て間がないので意外に知られてないんですけどね。
よかったら皆さんで行ってこられたらどうです?」
「温泉,いいわね。
行きましょ,行きましょ!」
お風呂が何よりも好きなアスカにとってはこれは大ニュースだ。
まるで子供のようにはしゃいでいる。
「そうねぇ,温泉なんてしばらく入ってないし私も行きたいな」
「やっぱり?ほらレイもこうして行きたいって言っているんだからみんな行きましょ」
僕は一番行きたいといっているのはアスカじゃ・・・・,と言う言葉を必死に飲みこんだ。
「そうやなぁ,やっぱ風呂は大きい方がええしなぁ」
「じゃあ,行きましょうか」
洞木さんがそう言うや否やアスカは自分の部屋に飛んで行く。
皆は顔を合わせると肩をすくめながら微笑を浮かべた。
「ケンスケー,何やってんだよ」
さっきからケンスケは自分のバッグを漁ってばかりいる。
とっくに女の子達は出かけてしまったので僕達3人は残されたままだ。
「ケンスケ,まだかいな」
「ふふっ,あせるな二人とも。
女達を先に行かせたのは理由があるのだよ」
ケンスケは口調を変え,眼鏡を怪しく光らせながらそう言う。
「温泉,女・・・・と来れば導き出される答えは一つ!」
「「答えは・・・・?」」
「覗きだ!」
予想どうりに答えに僕は肩をガックリと落とす。
全くケンスケは考えが中学のころと変わってないんだから。
「ケンスケ,よう言った。
それでこそ男や」
トウジはケンスケの肩を叩きながら力強くそう言う。
全くトウジもあれで硬派なんて言ってられるよ。
この二人が揃うといつもロクな事考えないんだから。
「おい,シンジもやるだろ」
「僕はパスするよ。覗きは二人でやってよ」
「なんやシンジ,お前は男やないな」
「全くだよ,こんなチャンスをわざわざ逃すなんて。
もったいない」
「しゃあない,シンジの分もワイらがばっちり見たるから安心せいや」
一体何に安心しろと言うのか,自身たっぷりにそう言うトウジに僕は大きなため息をついた。
「そうと決まれば出発だ!」
「行くで,シンジ」
二人はそう言うと部屋を出て歩き始めた。
しばらく歩くと温泉にたどり着いた。
まるで銭湯みたいな外観だけど独特の硫黄の匂いがそれが温泉である事を物語っている。
ただ,カメラを抱えるケンスケの姿が異常に浮いていた。
「よし!行くぞ」
「よっしゃ」
気合を入れて中へと入る二人。
全く,この二人は。
僕はなるべく他人に見られるように二人と距離を持って歩いた。
中は人の姿はなく,入ろうとしているのは僕達3人だけだった。
二人は腰にタオルを巻き,ケンスケは首からカメラをぶら下げている。
タオルはともかくとしてカメラをぶら下げている光景はものすごく奇妙だ。
ポイントを必死に探す二人を気にすることなく僕は温泉に入る。
少し熱いけど我慢して肩までつかる。
思わず「ふう〜」という声をたててしまう。
周りから立ち上る硫黄の匂いに最初は戸惑った僕もなれてくると何てことはなくなってくる。
少し匂うかな?という程度だ。
体が温まったところでいったん湯船から出て体を洗う。
ちらりと後ろを見てみると二人はまだポイントを探している。
全く,何やってるんだか。
周りに人がいないのが不幸中の幸いか。
体を洗い終えてまた湯船につかる。
普段風呂に入ると嫌な事ばかり思い出すけどなぜか温泉に入るとそういった思いが取り除かれてくるようだ。
今では硫黄の匂いさえ心地よい。
さすがに熱くなってきたのでそろそろ出ようかな,と思って後ろを振り向く。
「ねえ,二人とも。僕先に出るから」
僕がそう声をかけると健介は唇の前に人差し指を立てる。
「今いいとこなんだから話しかけるなっ」
と,小声で言うと再び岩の間に顔を貼りつけた。
僕は大きくため息をつくと湯船から出て硫黄を取る為冷たいシャワーを浴び,一足先に風呂から出た。
外へ出ると生ぬるい風がほてった僕の体を駆け抜けていく。
冷たい風なら気持ちいいけどこうした生ぬるい風じゃ気持ちいいどころか,かえって気持ち悪い。
ジュースでも買って行こうかな,と思っていると後ろから僕を呼ぶ声が聞こえた。
「碇君!」
その声に反応して首だけ後ろを向くと小走りに駆け寄ってくる綾波の姿があった。
綾波は僕の右隣まで駆け寄ってくるとそこで立ち止まった。
「碇君,丁度今帰るとこ?」
「うん」
「じゃ,ペンションまで一緒に行こっ」
「いいよ」
「そう言えばなんで碇君一人なの?相田や鈴原は?」
「ア,はははは・・・・。
も,もう少し温泉に入りたいって言うから僕だけ先に出てきたんだ」
まさか覗きをしているので先に出てきたとも言えず適当な嘘をついた。
綾波は僕の答えに少し不審げな表情を浮かべたが,やがて顔をパッと明るくさせる。
「じゃ,私とおんなじだね」
「そうなんだ」
「そ,アスカはもう少し入りたいって言うしヒカリはまだそれに付き合うって言うし,のぼせそうになってきたから私だけ先に出てきたの」
「そうなんだ。洞木さんはどうか知らないけどアスカは風呂が好きだからね。
いつも平気で1時間は入ってるよ」
「そうなの?私先に出てきてよかった。
ヒカリ可愛そうだな」
「ましてや今回は温泉だからね。一体どれくらい入ってるんだか」
「ホントね」
綾波はそう答えるとくすくすと小さく笑う。
その笑顔を見たからではないが僕は綾波に聞きたかった事を思い出した。
「そう言えば綾波,何で昨日は途中でいなくなったの?
帰ってきてもなんだか気まずそうな顔してたし」
僕がそう尋ねると綾波は明るかった顔をとたんに曇らせる。
「何か言いづらい事でもあったの?」
僕が綾波の顔を覗き込むと綾波は何か言い出しにくそうなか顔をしていた。
「じ、実は・・・・」
「実は?」
「あははっ!ただ迷子になっていただけなのよ」
それまで思いつめるような顔をしていた綾波が顔をパッと明るくさせ,いつもみたいな悪戯っぽい笑顔を浮かべながらそう言った。
「いやね,なんか可愛いものがあるなーってふらふらと歩いていたらいつのまにか碇君がいなくなっていたのよ。
探したんだけどどこにもいなくて,それからは一人で歩いていたの。
夕食のときもまさか迷子になってたなんて言えなかったからさ,なんとなく眼を合わせたくなかったのよ」
顔に笑顔を浮かべながら綾波はそう言う。
どこか無理をしているように思えるのは気のせいだろうか。
「そうだったんだ。
綾波何処に行ったのかなって僕探し回ったんだよ」
「そうだったの,ごめんね」
「別にもういいよ」
「アスカ,あの後結局怒って何処か行っちゃたんだけど今日起きたらなんかご機嫌だし。
ホントアスカは気分屋だからわからないよ」
「そうね」
「それでさあ,アスカが・・・・・・・・・」
ペンションに帰る途中僕達はアスカの話題で盛り上がった。
僕達といっても僕が一方的に話して綾波が相槌を打つ,というものだから会話にはなってないかもしれない。
僕がこんなに話すことが珍しいのか綾波は素直に聞いてくれた。
しばらくして綾波が少し俯いているのに気づいた。
さっき見せたような陰りのある表情だ。
「どうしたの?具合でも悪いの?」
「そんなんじゃ・・・ないけど」
「ならいいけど」
そこで会話はいったん終わってしまった。
少し無言で歩いて行くとふと綾波が俯いたままその場に立ち止まる。
僕は後ろを振り向き,少し後ろにいる綾波に話しかける。
「どうかしたの?なんか今日の綾波へんだよ」
綾波は僕の声に答えず俯いたままだ。
前髪が顔を隠しているのでどんな顔をしているのかもわからない。
「ねえ,碇君」
俯いたまま静かな声で綾波が話しかけてくる。
「何?」
「私達って友達だよね・・・・・?」
綾波は恐る恐る僕に向かってそう尋ねる。
「もちろんじゃないか」
怯えるような表情のあやなみに僕は自信を持ってそう答えた。
すると綾波はわずかに肩を落とすようなしぐさをみせた。
「やっぱり・・・・・そうだよね」
まるで自分に言い聞かせるように綾波はそう言う。
「本当にどうしたの?」
僕がそう言うと綾波は手を振りながら何処か無理しているような笑顔を浮かべる。
「何でもないよ。ただ聞いただけ。
気にしないでね」
「そうは言っても・・・・・」
「ホント何でもないから」
「うん・・・・・・・」
あまり深く追求することでもないので僕はその辺で尋ねるのを止め再び歩き始めた。
ペンションまで帰るまで僕達は当り障りのないことを話した。
話したといってもさっきとは逆に綾波が話して僕が相槌を打つといったいつものスタイルだ。
まるで何かを忘れるように綾波は立て続けに喋り続けた。
ペンションに着いても特別する事もなかったので部屋でS‐DATを聞いていた。
確か明日は山登りだって言っていたなあ。
朝が早いって言っていたから今日は早めに寝ることにしよう。
そして僕はS-DATの電源を切ってベッドの中にもぐりこみ,そのまま眠りに就いた。
どうもです,さくぎんです。
予定よりも遅れましたが第三話がやっと出来あがりました。
とくにイベントらしいのがなくてすいません。
うーん,なんかつなぎみたいな感じになってしまいましたね。
反省です。
さて次回からはいよいよ三日目!
三日目はイベントが目白押しですので少しは楽しんでいただけるかと思います。
感想など頂けるとうれしいです。
でわでわ,この辺で。
さくぎん
うーん、やはり頼りないシンジ君をアスカ様がぶっ飛ばすと言う構図は良いですなあ。(うっとり)<ヲイ
というわけで、さくぎんさん連載第3話ありがとうございますー。\( > 0 < )/まってやしたい
ふむ、今回は可も無く不可もなくって感じですな。<エラそう(笑)
しかし、こーの鈍感ヤロウ。アスカ様の一途な気持ちを理解しなさいって。\(●> _ <●)むきむきー
まあ、しかしコレもLASへの布石。(ニヤリ)<マタカイ
さあ、さわやかラブストーリーを書いてくれたさくぎんさんに感想&応援を書いて続きを読もー!\( ^ 0 ^ )おー
さくぎんさんへの感想はここです。
または簡単感想用掲示板へどうぞ。
◎感想用フォームです。2,3行の感想でも作者さんは嬉しかったりするのだ。