13 mother

By ドラえぽん

 

ミサトが来たことで、安心しきっていたツバサの顔がみるみる曇っていく。

「み、ミサトおばちゃん!?アタシの事忘れたの?」

その言葉を聞いた瞬間、機嫌の良かったミサトの顔はまさに憤怒。要するに子供には見せられないような顔になっていた。

ツバサは、自分が信頼している人に忘れられた事、そしてその人物のなまはげも裸足で逃げ出す迫力に圧倒されて、そのつぶらな瞳から涙をこぼし始めた。

隣で口をぎゅっとむすんで涙を流すツバサを見たアスカは、我知らず彼女を抱き寄せる。
そして、ミサトをキッと睨み付ける。

「ミサト!!なに小さな子の言うことで本気で怒ってるのよ!ツバサがおびえてるじゃないの!!」

ミサトはアスカの怒声でハッと我に返り二人を見ると、そこには彼女の知らないアスカが居た。
そう、まるで我が子を外敵から護る母親のようなアスカが...。


そして、ツバサはアスカの胸の中で不思議な感覚を覚えていた。

ママだ、このお姉ちゃんママと同じ匂いがする....。

そして、ツバサは気持ちよさそうに目を瞑るとまどろみの中に溶け込んでゆく。


ミサトが呆然と、その親子を眺めているとアスカの罵声が飛んでくる。

「ミサト!!あんた、きいてるの!?」

ミサトは、ハッと首を振る。

「あー、ごみんごみん。
  それより、大声出さない方がいいわよ。その子気持ちよさそうに寝てるし。」

ミサトに言われて胸の中のツバサを見ると、楽しい夢でも見てるのだろうか、うっすらと微笑みながら寝息をたてていた。

その時、アスカは自分では気づかなかったろうが、日本に来てこれまでミサトが見た中で一番優しい顔をしていた。

「それにしても、どう見ても親子にしか見えないわねー。」

ミサトが感心したように呟く。

アスカはそのつぶやきを耳ざとく捕らえると、こころの中で吐き捨てる。

ふん、アタシは子供なんていらないわ。絶対....。


しかし、ツバサを抱いているとそれと相反する感情がわき上がってくるのもまた確かだった。

でも、この子を抱いているのはイヤな気分じゃない。何故?アタシは子供なんていらないはずなのに。
アタシが子供を可愛いと思うなんて....。

アスカが思考の海に捕らわれながら、無意識にツバサの頬を撫でると、ツバサは気持ちよさそうにそれに答えた。

「ん、ママ....。」

そのツバサの寝言を聴いたときアスカのこころに激しい電流が走った。
そして、この出来事がこれからのアスカの行動に大きく影響を与えるのである。

 

 

 

14 思い出〜忘れたい過去、唯一の過去〜

By TODOさん

あの子がつぶやいた言葉。


ママ



ひどく懐かしく、あまりにも辛い記憶

「・・・・ママ・・・か。」

私は、そう呟きながら、もういちど私の中で安らかな寝息を
たてている、幼子を見つめる。
その顔は、幸せそのものだった。




私を捨てないで。

叫ぶ私。

・・・・・・いい子になるから。

泣きじゃくりながら、叫ぶ。

だから・・・・ママをやめないで

哀願

私は少し暗い影を瞳に光らせる。

忘れたい記憶。
でも忘れられない記憶。



(・・・・・・・唯一のママの思い出だもの。)



私は心の中でそう呟き、その幼子の額をなでた。 まるで、
母がいとおしい子供に触れるように。



(・・・・・・私も、母親になれるのかな?
そしたら、・・・・・・・)

アスカは、少し頬を染めそう心の中で呟く。その顔は、
少し笑顔でほころんでいた。

(て、何考えてんのよ、私は。)

アスカはそう心の中で叫ぶ。

(私は、子供なんていらないの。)

そして、その叫びで、心の中にあった、暖かい幸せなものを
染めた。




「シンジ、この子お願い。」
アスカはそうぶっきらぼうに言い、今まで胸に抱いていた
ツバサをシンジに手渡した。

シンジは、無言でそれを受け取る。そして、少し寂しそうな
背中をしてアスカが部屋に戻っていくのを見て、
少し悲しく思った。

「・・・・どうしたんだろう、アスカ?」

シンジはそう呟く。



(・・・・・・・・まだ母親のこと気にしてるのね、アスカ。)

ミサトは心の中でそう呟き、ビールを喉に落とした。




先まであった、暖かい温もりがない。

今あるのは、まるで空洞のようにあいている心

先まで幸せな感じだったのに。

でも、私は子供はいらないの。

そう子供は・・・・・・・

アスカは、その暖かさを否定するようにそう唱え、
ベッドに横になった。

でも・・・・・・

 

 

 

15 添い寝する娘・・・

By どらこさん

さて、アスカに殴り飛ばされたシンジが 気がつくと、
リビングでは、アスカ、ツバサ、ミサトが 座っていた。
( 痛いな・・・あぁ、ミサトさん、帰って来たんだ・・・)

どうやら、ツバサは眠っているようで、
シンジが近づくと、アスカはいきなり ツバサをシンジに預けた。
「 シンジ、この子をお願い・・・」
自分の部屋に帰っていくアスカの背中が、やけに 小さく感じた・・・




「 ・・・ミサトさん、この娘 どうしょう・・・」
「 どうしょう・・・たって、どうする気なの、しんちゃん!」
重くなった空気を 吹き飛ばす様に 笑うミサト
「 そ、そんな・・・」
「 それとも、しんちゃんってば そんな趣味が あったのかな?」
「 ミサトさん、からかわないでよ!」
「 ごみん、ごみん・・・でも、その娘 誰なの?」
ミサトの疑問に、何と答えるか わからないシンジ

( 僕のこと、”パパ”って呼ぶんだけど・・・まさかね?冗談だよね・・・)
口篭もるシンジ・・・その時、ミサトの携帯が鳴った

瞬間で、顔が変わるミサト
( ネルフからの直接連絡!・・・こんな夜更けに・・・ま、まさか・・・)
「 はい、葛城です!・・・・・・・・・・・・なんだ、リツコ?
何、使徒でも?・・・・・・違う、えっ 男の子?何、それ?
・・・・・・・・・えっ、ええぇ・・・わかったわ! すぐ 行くから!」

「 ごめんね、しんちゃん・・・アタシ、本部に行くから・・・」
「 何か、急用でも・・・」
「 ううん、ちょっと リツコがね・・・」
( まさか、碇司令の隠し子なんて・・・シンジ君には 言えない・・・)なんとか 誤魔化す作戦部長

「 わかりました、ミサトさん・・・・・・ところで ツバサちゃん どうしましょう?」 眠っている娘を指差すシンジ
「 えっ、ツバサちゃん?・・・あぁ、その子ね・・・シンジ君、その子の家 知っている?」
「 僕、知りませんよ・・・」
「 そう・・・・・・取りあえず、今夜は泊めてあげましょう。」
「 僕は構いませんが・・・どこに寝せます?」
「 うーーん、本当ならアスカのベッドが良いんだけど・・・あの調子じゃね・・・」
「 ・・・えぇ・・・」
「 ・・・と、言って アタシの部屋もね・・・」
口篭もるミサト それを軽蔑したような瞳のシンジ
「 ・・・・・・まだ、片づけてないんでしょう・・・・・・」
「 えっ、へぇ、へぇ・・・・・・そうだ!しんちゃんと一緒ってのは?」
「 ・・・ミサトさん!!!」 思わず大声のシンジ
「 わ、わかったわよ! 予備の布団 持って来るから リビングにねかせましょう・・・」
リビングの中央に 布団を敷くと そっと、優しくツバサを寝かせた。
「 じゃ、アタシは 行って来るから・・・」 「 ・・・気をつけて・・・」





ふと、深夜 目を覚ましたツバサ・・・
(???・・・ここ、どこなの???うぅぅっ、漏れちゃうよ!)
取りあえずの”緊急課題”を、トイレで済ますと、今まで寝ていたリビングを見渡す

( なんか・・・恐い・・・)
人気が消えたリビング・・・ツバサの目には 何故か広く感じた。
ふと、傍らのドアを開ける・・・部屋の中央のベットには 誰かが 寝ている。
廊下の明りを頼りに 覗くとツバサの 知っている人だった。
その寝顔をしばらく 見ていたツバサだったが・・・

( ・・・ふっ、寝よう・・・)
ハジャマが無い事に気づいたが、ニコリと 笑うと、服を脱ぎ捨てた。
( ・・・うっ、寒い・・・)
体をブルッを震えさせると、そっと ベットに潜り込む。そして、抱き着くツバサ
( 暖かい・・・)

すぐに 少女は すぅ すぅ と寝息をたてた・・・

 

 

 

16 そのころ...

By 山内さん

さて、世の中現れるものもあれば消えるものもあるわけで....。


綾波レイは気がつくとネルフ本部15D通路にしりもちをついて座り込んでいた。
立ち上がりスカートに付いたホコリをはたく。
「あれ....」
辺りを見回すと何となく雰囲気が違う。
壁の亀裂は...先ほどの地震のせいだろうか。壁は薄汚れ、所々弾痕らしきものが残っている。
照明も薄暗い。「経費節減」の張り紙が見える。ホコリっぽい通路。人気が全くない。

しかし今は至急の用件がある。気にせず目的地に小走りで向かう。
D区画には重要施設が目白押しだ。発令所、司令室、作戦部などなど。
その中でも一番大切なところ...第一食堂。NERV最大の食堂。ここのラーメンは絶品だ。
「お昼...おいしいもの...ニンニクラーメン大盛りチャーシュー抜き....。」
というお約束の言葉とともに...。
食堂は当然混んでいるはずだ。レジの前の行列は昼時の名物である。
先日はひどかった。弐号機パイロットのせいで(なぜ弁当を作って来なかったのか
碇君に対し半時間にわたって怒鳴り散らしていた)、食堂到着が12時15分、
混雑の一番ひどい時期になってしまった。チルドレンといえど順番は守らなければならない。
結局食事にありつけたのは12時41分。ラーメンはのびていた。
弐号機パイロットは「アンタのせいで!!」と碇君に往復ピンタをかましていた。
「碇君は私が守る」と決意を新たにした。

11時52分、第一食堂前に到着。予定より3分遅れ。人だかりは...ない。おかしい。
休業日だろうか?
扉を見ると古ぼけた張り紙が...
「D区画閉鎖に伴い第一食堂を閉鎖いたします。
2020年3月17日 UNTISCOM事務管理部施設課」


後から考えるとおかしなことばかりだった。本部D区画の閉鎖...壁の弾痕...2020年3月17日
...NERVではなくUNTISCOM。でもその時考えたことはただ一つ...

私のニンニクラーメンはどこ?



その時、遠くの方から声が聞こえた。
「お〜い、ツバサ〜、なおきくーん、どこ〜?」
聞き慣れた、懐かしい声。
私は反射的に声の方向に飛び出していった。

「うわぁ」
角を曲がると若い男とぶつかりそうになった。年齢は二十代中頃?背が高く痩身、
サラサラとした黒髪、優しい笑み。見たことのない制服を着ている。
...写真で見た司令の若い頃の姿、それをもっと優しくしたような...
初めて会うはずなのに...懐かしい...守りたい...この感じは...。
「碇君?」
「あ...綾波?」
突然彼は泣きだし、私に抱きついた。
「あ、あやなみぃ...あやなみぃ...十年ぶり...もどって...還ってこれたんだぁ...」
碇君の腕の中の暖かさ、心地よい。
「綾波と...カヲル君のおかげで...アスカも...僕は...みんなが...LCLの海から...
還ってこれて...」
抱きしめられるのがこんなに心地よいものだとは知らなかった。ずっと続いてほしかった。
でもどんな楽しい時間も終わりが来る。

「し〜ん〜じ〜」
声の方に振り向くと憤怒の形相を浮かべた赤毛猿が立っていた。



#初めまして、ROMだった山内です。初めて投稿させていただきます。
#いきなり本筋から離れたエピソードで恐縮ですが....お許しください。

 

 

 

17 そのころ...の続き1

By TenPuLaさん

「あんた、何浮気してるのよ・・って、あんたファースト?ファーストなの?」

「良かった。あんたも戻ってこられたんだ。・・・でも、シンジは渡さないわよ。こらシンジ!!いいかげんに離れなさい。」ポカ

「いて。分かったよ。 あ、そうだ。ツバサ、なおきくん知らない?」

「ツバサ? なおきくん? さあ、知らないわ。私、三人目だもの。」

「あんたバカぁ? 大体、ファーストはツバサ達に会ったことも無いでしょうが。」

「あ、そう言えばそうだね。」

「はぁ〜〜、あんたのボケボケっとした所いつまで経っても変わらないわね。」

「ツバサはアタシとシンジの子供。なおきくんは、お義父さんと、リツコの子供よ。」

「そう、碇くんとあなたとの子供。・・・・・これは何?・・・・・これは涙?・・・・・・私泣いているの?・・・・・・」

 

 

 

18

By どらこさん

「 わぁぁ! 泣かないでよ、綾波・・・」
女の涙に うろたえるシンジ
「 と、とにかく、”上”に出ようよ!」
そして3人は、地上へと向かう。

・・・結局、レイは しばらくの間 碇家に 逗留する事になった
・・・レイの住居が 消滅していた所為である。
ツバサの部屋に落ち着くレイ
アスカが不機嫌だったのは、”娘”の行方がわからない・・・だけでもない

”しばらくの間” が とれだけ長くなるのかは・・・未だ 誰も知らない・・・

 

 

 

19

By どらこさん

 

ジオフロント、リツコの研究室に 走り込む一つの影

「 リツコ!!! 来たわよ! 一体 どうしたの?」
ミサトが研究室を 見渡すと・・・

モニターの前に 座り込んで ブツブツ 言っている リツコ
その側で、マヤが しきりに リツコに話し掛けている・・・が、効果は無いようだ。
奥の仮眠ベットには 幼い男の子が すやすや 眠っていた。

「 あっ! 葛城さん、良かった! 先輩が・・・」
泣きそうな声をあげる マヤ
( 又、いっちゃっているわね・・・もう、本当に・・・)
「 マヤちゃん、耳を塞いだ方が 良いわよ・・・」
ミサトは ディスクの脇にある ステレオに 側にあった ピンクのMDを差し込んで スピーカーのボリュームを 最大にした。

研究室は 突然の音楽にあふれ返った。
・・・ネコ、踏んじゃった! ・・・リツコの気付け薬である。

ネコ、踏んじゃった! ネコ、踏んじゃった!
ネコ、踏んづけちゃったら 鳴いちゃった!・・・・・・・・
・・・・・・ネコ、ニャーオン! ネコ、ニャーオン!

「 ・・・ネコ、ニャーオン!???・・・はっ!私は 一体 どうしていたの?」
リツコ、覚醒・・・
「 どうやら、気が付いた様ね・・・マヤちゃん! そっちの子供は どう?」
音楽を 止める ミサト
マヤは、ベットの子供の様子を見たが・・・
「 ・・・・・・あんな音楽が 掛かっていたのに・・・嬉しそうに 眠っていますよ・・・」
・・・その音楽こそが、幼児の子守り歌だった事は 誰も知らない・・・

「 で、リツコ! 何なのよ、一体・・・」
薫り高いコーヒーで、すっかり 気分を落ち着けたリツコは・・・
「 これは 未だ 秘密だけど・・・貴方達、守秘義務 は良いわね!」
「 うん!」 「 はい・・・」
「 実は、昼間の地震だけど・・・・・・」




「 時空震?」
「 そうよ・・・考えてもみなさい。この街で 使徒が 何体 消滅した と思うの? ・・・一体で あの”セカンド インパクト”を 引き起こした 使徒がよ・・・」
「 ・・・・・・」
「 あれだけのエネルギーが 解放されるのよ、時空が 歪んでも 可笑しくないわ・・・」
「・・・・・・」
「 ・・・すると、先輩・・・あの子は やっぱり・・・」
「 ・・・多分、別の時空から・・・おそらく 未来の・・・」
「 未来?」
「 葛城さん・・・あの子、碇司令と・・・アスカの子供なんです・・・」

「 ・・・・・・・・・・・・えっ! えぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 

 

20

By TenPuLaさん

 

「あ、そう言えばうちのマンションにもアスカそっくりな女の子が居るの。もしかして、その子も飛ばされてきって訳?。」

「え、ミサト。ミサトのマンションにもまだ子供が居るの・・・・。そう、まだ居るの・・・・。」(=_=)
ブツブツ

「あ、先輩しっかりして下さい。先輩、先輩大丈夫ですか?」(; ;)

「あ〜〜〜あ、また行っちゃったみたいね。・・・とりあえずほっとくか。」(^^;

「それよりマヤちゃん、さっき言ってた未来から来たって話、本当かしら?」

「えぇ、多分本当だと思います。先輩が言ってるんですから・・・。」

「・・・ここに居る子供と、多分家に居る子供・・・もしかして他にも未来からきた人が居るかもね。・・さっそく調べて貰えないかしら、リツコがこれじゃとうぶんの間使い物になりそうもないしね。マヤちゃんだけが頼りなの。」

「は、はい。解りました。じゃあ、先輩のこと頼みますね。これから発令所に行って調べてきます。」

 

 

 

21 未来編 その4

By 山内さん

 

> 「 わぁぁ! 泣かないでよ、綾波・・・」
> 女の涙に うろたえるシンジ
> 「 と、とにかく、”上”に出ようよ!」
> そして3人は、地上へと向かう。

そのときアスカの額には冷や汗が流れていた。
ツバサが消えたのも・・・レイが出現したのも・・・もしかして・・・
もしかして昼間の失敗した実験のせいじゃ・・・。

惣流アスカ・碇=ラングレー、国連サードインパクト問題調査特別委員会(UNTISCOM)・第三東京市ジオフロント研究施設(TGRI)技術開発部主席研究員・・・
人は彼女のことを「栗毛のマッドドクター」「リツコ二世」と呼ぶ・・・。


「レ、レイ?」の一声とともに、赤木リツコは卒倒した。
自分の殺した少女・・・その出現は過去の忌まわしい記憶を呼び起こす。

「私は・・・母さん・・・」
頭を抱え、しゃがみ込む。

「そうよ・・・憎かった・・・だから壊したのよ!バカなのよ・・・私は・・・親子そろって大バカなのよ!!」
頭の中ではあの時の光景がフラッシュバックでよみがえる。

いたいけな少年少女に人体実験を繰り返し、親友の恋人を射殺し、レイのクローンを破壊し、そして・・・

  「リツコ!しっかりしろ!」とゲンドウが駆け寄る。日頃の冷静さをかなぐり捨て、リツコを抱きしめる。

そして・・

「司令・・・あなたに抱かれても・・・うれしくもなかったから・・・」

・・・

「まて、リツコ、早まるな、こんなところで拳銃なんか振り回しちゃいかん、落ち着け、落ち着くんだ〜!!」

錯乱するリツコ、首を絞められ瀕死のゲンドウ、駆け寄る警備員・・・会議室は一瞬戦場と化した・・・。


精神汚染されたリツコとボロきれと化したゲンドウが搬出され、会議は再開された。

「碇は大丈夫・・・問題ない(ニタリ)」
議長役の冬月副所長は・・・心なしかうれしそうである。

「さて、どういうことなのかね・・・アスカ君?」
今までの騒動で話がそれてくれることを願っていたが・・・甘かったようだ。

「え〜と・・・どういうことなんでしょう?にゃん?」
部屋の温度が5度下降した。シンジ以外の目が冷たい。

いいの・・・私にはシンジがいる・・・シンジはどんなときでも私を見てくれる・・・
必要としてくれる・・・シンジ、今晩はハンバーグね(はあと)。

「コホン。先日の碇ツバサ・碇ナオキ両名の失踪と・・・ファーストチルドレン綾波レイの突然出現ですが・・・
当日行われていたEVA技術関連実験と関係があるものと思われます・・・
お手元の資料の312ページをご覧ください。」


312ページ・・・理論物理学研究グループ基盤研究(B)・・・

「ATフィールドの物理学的特性」。専門用語(英語)がその後116ページにわたって続いている。

「アスカ・・・もうちょっちわかるように説明してくれない?」と戦史編纂室長。
会議中にもエビチュを手放さないのはさすがである。

「簡単にいうと・・・ATフィールドを使ったタイムマシンの研究よ。」

「タイムマシン?」

「シンジ、あのシマウマ使徒・・・第12使徒覚えているでしょ?」

「うん・・・虚数空間の海に捕まった時の・・・」

「あのとき、シンクロ率400%を出して、強力なATフィールドを張ることで虚数空間を移動することができた。だから虚数方向に動けるならば・・・時間軸をプラスにもマイナスにも動けるはずなのよ。」

「むちゃくちゃな理論ね・・・」

「それにタイムトラベルなんて・・・因果律はどうなるんですぅ?」とマヤ。

「エヴァって元々むちゃくちゃな存在なのよ。それに理論はばっちりよ。

「失われた完全な対称性」 Lost Absolute Symmetry (LAS)理論よ!」

「LAS理論?」

その後アスカは延々とLAS理論についてしゃべり続けた。
複素多様体がどうの、時空相転移がどうの、ゲージ場に位相空間に虚数時間に時間順序保護仮説に・・・。

目がいっちゃっている。

話を聞いているのはマヤぐらいか。

出席者はみんな共通の感慨を持った・・・
義理の母と娘ってここまで似るんだろうか?これで金髪ならリツコそのものよね。

「もおいいわよ・・・わかったから・・・それで、具体的にタイムトラベルって何をするの?」

「具体的には...エヴァの中でATフィールドを張って...強く願う、のね。」

「あれだけひっぱいといて・・・そ...それだけ?」

「だって・・・シンジだって、「私と会いたい」って思ったから・・・第12使徒の中から還ってこれたんでしょ?」
シンジは瞬間的に真っ赤になる。結婚して7年、未だに耐性がない。

「あ〜らシンちゃん、あの時からそんなカンケーだったの?やるわね〜」

「中学生のうちからあんなことやそんなこと・・・だから病室で・・・不潔ですう!」


今まで話を聞いていなかった冬月だが、ここで口を挟んだ。

「しかし実験は失敗したはずだろう?」

「はい・・・そうです。弐号機の中で・・・私は十年前を思い出していました。
一人で生きていこうと思っていた私・・・エヴァにしか自分の存在意義を見いだせなかった私を。
そして、シンジを傷つけ・・・自分も壊れていった・・・。
あのころに戻って、教えてやりたかったんです・・・今のアタシには愛する夫も・・・娘もいる・・・生きることに価値があるって・・・」

「アスカ・・・」

「でもアスカはそのまま・・・ツバサちゃんとナオキ君が消えてレイちゃんが現れた・・・どういうこと?」

「えっと・・・まずあの時代、使徒の出現が立て続けに起こって時空間が不安定だったことも理由の一つです。
それに、エヴァは確かに望みを叶えてくれますけれど、でもその時アスカちゃんが実際には何を望んでいたか、誰にもわからないんですよ・・・多分本人にも・・・。」

「だからアスカの代わりにツバサとナオキ君が過去に戻った・・・。じゃぁ、綾波は?」

「う〜ん、まず一つはエネルギー保存則のせいでしょうか。
ツバサちゃんとナオキ君に匹敵する精神エネルギーの持ち主って、あの時代だとレイさんぐらいでしょうか・・・少し誤差でますけれど。」

「じゃあツバサって・・・」

「フォース・インパクトを起こせるぐらいの能力はあると思います。」

彼女ならあり得る・・・全員一瞬沈黙する。

「もう一つの可能性って?」とミサト。

「・・・もしかしたら、アタシはファーストともう一回あって・・・謝りたかったのかもしれない。
人形扱いしたこと・・・命を助けてくれたことを・・・。」

アスカはシンジの胸の中でしばしむせび泣く。


数分後、マヤが話を繋いだ。

「それなら話は簡単ですね・・・。レイにエヴァに乗ってもらって、2015年に還ろうと念じてもらえばいいのですから・・・」

「でも・・・マヤさん・・・綾波になんて説明すればいいんですか?
サードインパクトが起きて・・・僕はアスカを選び・・・綾波の願いを踏みにじり・・・そんな世界に戻れって・・・どうやって説得するんですか?」

会議室を沈黙が支配した。




(おまけ)
>「 少し誤差でますけれど。」

誤差その一の合田ケンスケ氏は6500万年前白亜紀で、その二の青葉シゲル氏は45億年後の太陽が赤色巨星化して焼けこげた地球の上で、それぞれ涙を流していた・・・。

(まだまだ続く)