1
By どらこさん
今日のシンクロテストで、僕だけ
”居残り”になった。
リツコさんの満足できる結果が、出せなかった為に・・・
(
そんな事、言われてもな・・・しょうがないじゃないか・・・)
アスカと綾波は とっくの昔に帰っている。
僕も早く帰って
夕食の支度をしないと、どんな目にあうか・・・
とりあえず、いつものスーパーで特売品を買って、マンションに帰る。
部屋のドアの鍵は、開いていた。
「 アスカ、帰っているの?
すぐに食事の準備するからね!」
すると、リビングからトコトコと
足音が聞こえた。
そして、僕の目の前に立ったのは・・・
栗色の髪を背中まで、まっすぐに伸ばし、その瞳は
澄んだ空の色
赤いワンピースを、可愛らしく着こなした美少女だった・・・どう見ても、5,6歳の・・・
「
・・・・・・もしかして、・・・アスカ???」
すると、その少女は、鋭い目付きで僕を睨んだ・・・・・・
2
By どらこさん
時間を少しだけ、戻して・・・(
シンジが、買い物している間)
<ネルフ本部、発令所 >
高らかに鳴り響く、警戒音!
「 警報を止めろ! 何事だ!!!」
「 わかりません! マギがいきなり・・・」
「
先程、震度2の地震を感知しましたが・・・」
「 赤木博士、後程 報告したまえ・・・」
「
・・・・・・で、何だったのかね、赤木くん。」
「
・・・詳しいことは、未だ不明ですが・・・」
「 報告したまえ!」
「
・・・先程の地震が、時空に影響を与えた模様です・・・」
「 時空?」
「
この次元にです。・・・おそらく、今までの戦いのエネルギーは、
この空間に
ヒビを発生させていたのでしょう・・・それが、さっきの地震で・・・」
「 その影響は、どうだね・・・」
「
わかりません、未だ、データ不足ですから・・・
ただ、ひょっとして、ある筈のモノが無くなったり、無い筈のモノが出て来たりするかもしれませんが・・・」
3 シンジ君隠し子ですか?
By ドラえぽん
その栗色の髪の可愛い女の子は、僕を睨み付けておさるの人形を両手でギュッと握りしめる。
何故か、女の子は怒っているようなのでなるべく刺激をしないようにともう一度優しく話しかけてみる。
「あの、アスカ....なの?」
それを聞いた女の子は一層可愛い眉をつり上げて爆発した。
「アンタ、バカァ!!!???」
女の子はどこかで聞いたようなフレーズを放って僕に向かってきた。
そして、僕のズボンの裾を握ると少し悲しそうな顔をして驚くべき言葉を言い放った。
「娘の名前も忘れたの!!? パパ!!」
4 君の名は?
By TODOさん
「え、パパぁぁぁぁぁ。」
シンジは、声を上げ驚く。
そして、どこで間違いを起こしたのかを考えた。
(間違いなんて、起こしてもないよ。)
「ねぇ、何かの間違いじゃないのかな?」
冷や汗を垂らしながら、シンジはその栗色のかわいい女の子に
優しく言いかけた。
「間違いじゃないわよ!!」
女の子は、涙で潤んだダークブルーの瞳をこっちにむけ、
そう叫ぶ。
「そ、そうなんだ。」
シンジは、その気迫に押されるように、そうつぶやいた。
「で、でも、僕がパパって言うのはね?無理がないかな?」
少しばかりの自分を取り戻しながら、
シンジはそう優しくその少女に語り掛けた。
「・そうなんだ。パパは私がイラナイのね。」
女の子は、そうつぶやき、手に持っている猿のヌイグルミを
きつく抱きしめた。
そして、その瞳からは大粒の涙が流れ落ちる。
「ち、ちがうよ。そんなこと無いよ。」
シンジは、その一言で泥沼にはまっていく。
「そうよね。パパは私のこと大好きだものね!!」
女の子は、そう嬉しそうな顔で声を上げる。
「う、うん。」
シンジは、もはやこの泥沼から出られないことを確信し、
そう呟いた。
「そ、そうだよね、・ ・ ・
・名前、なんだっけ。」
シンジは、冷や汗を垂らしながら、その女の子に聞く。
次の瞬間、彼女の足がシンジの足を踏みつけた。
「やっぱり、私のこと嫌いなんだぁぁぁぁぁぁ!!」
「ち、違うよ。ちょっと忘れただけだよ。」
「ほんと?」
「本当だよ。」
優しく微笑みながら、シンジはそう答える。
その答えがうれしいのか、ほほ笑みがうれしかったのか、
女の子は、頬を染め、
「私の名前はね・ ・ ・ ・。」
と、恥ずかしそうに言いかけた。
5 つばさ(つーちゃん)
By どらこさん
「 名前は・・・」
僕が、耳を近づけると・・・
チュッ!
「 えっ???」
「 へぇ、へぇ、へぇ、つーちゃんを
イジメタ罰なんだから!」
今のは・・・やっぱり・・・キス・・・だよね・・・
「 あっ・・・えぇと・・・」
「 何、本当に名前、忘れちゃったの!!!」
彼女の眉が、釣り上がる。
(こんな所は、やっぱり アスカに・・・)
「 や、やだなー、冗談だよ、つーちゃん!」
すると、”つーちゃん”は、顔をプッと膨らませると、
僕の上着を掴んで、振り回した。
「 ねぇぇ!パパァ、お腹空いたよー!」
「
あっ、そうだね、すぐにご飯にするからね!」
知らないうちに、すっかり
”つーちゃん”のペースに乗せられる僕だった・・・
「 わぁ!パパのハンバーグだぁ!」
「 ハンバーグが、珍しいの?」
「 だって・・・ママが
”ダイエット、ダイエット!”って、最近作ってくれないんだもん!」
「 ママ・・・」
(そうだ、パパが居るって事は・・・当然・・・)
「
ねぇ、つーちゃん、・・・ママって、もしかして・・・」
その時、部屋のドアが、開いた・・・
6 シンジ君、犯罪ですか?
By ドラえぽん
ん?今なんか音がしたような...。
シンジがその音に気を取られていると、ツバサはシンジが自分を忘れてるのが面白くないのか、頬を膨らまして濃紺の瞳でのぞき込む。
「もう、パパってばぁ。」
シンジは突然現れた愛らしい顔に驚いて、イスから転げ落ちる。
「パパ、大丈夫?」
ツバサはシンジの方へ心配そうに駆け寄る。
シンジがツバサに心配かけまいと微笑みを浮かべたときだった。
「たっだいまー!シンジィ、居ないのー?」
突然廊下から声がして驚いたシンジは、慌てて立ち上がろうとする。
ズルッ。ドタドタッ。
「きゃあ。」
シンジは、バランスを崩してツバサを巻き込んで床に倒れ込んだ。
「痛たたた。」
派手に転ぶと、シンジはツバサの腰につかまるような格好で、ちょっと危ない体勢になっていた。
がちゃっ
「シンジー、お腹減ったわ。なんか....。」
「な、何やってんのよ、アンタはー!!!」
7 誤解する二人
By どらこさん
アスカの怒鳴り声が、響き渡る。
そして、静寂・・・・・・
< シンジ >
へ! なんで アスカが
怒っているんだろう・・・
ふと、 ”つーちゃん”と
自分の体勢に気が付く。
こ、これは・・・ま、まるで 幼い少女を
押し倒したような・・・
女の子の スカートが少し捲れて 一層
淫ら・・・
「 ご、誤解だぁ! ちがうんだよ!
アスカ!!!」
< アスカ >
少し
暇が出来たから、ヒカリとお喋りして帰ってみたら・・・
目の前の光景に、血管が ぶち切れそうになる
アスカ
こんな美少女が、一緒に住んでやっている
っていうのに・・・
なんにも、手出ししない
と思って不思議に感じていたら・・・
よりによって、こんな子供に ・・・・・・
うろたえるシンジに、アスカの”必殺パンチ
アンドキックが 炸裂する。
シンジを殲滅したアスカの注意は、女の子に向かう。
・・・何、この子、アタシによく似てる。
・・・もう、シンジったら ワザワザ
アタシにそっくりな子供を
探してきたのかしら???
・・・そんな事、しなくても・・・
「 お嬢ちゃん!
お家はどこ?一人で帰れるの?」
「 ・・・・・・わかんないの?
ここ、しらないところだから・・・」
「 そう、・・・名前は?」
「 いかり、つばさ 」
「 え!???
じゃあ、シンジの親戚なのかしら?」
確かめようにも・・・シンジは 今
死んでいるし・・・
コクリ、とうなづく、ツバサ。
「 そうだったの・・・」
あちゃー! ひょとして 間違えちゃたかな・・・
ま、良いか、どうせシンジだし・・・
「 ・・・お腹、空いたね・・・お姉ちゃんと
一緒に ご飯食べようか!」
アスカは
テーブルに用意されてあった、夕食(シンジが食べようとしてたモノ)を
少女と食べることにした。
シンジは、静かに リビングに横たわっていた。
( 気絶していた・・・とも言うが・・・)
< ツバサ >
・・・このお姉ちゃん、強いんだ・・・ママと同じくらいかな・・・
ママと 髪の色も、目の色も 同じだし・・・
この色の人は、強いのかな・・・
そういえば、顔も似ているかも・・・
ママは、もっと
ふっくらしているし、髪も短いけど・・・
・・・それに、ママは もっと オッパイ
大きいけど・・・
8
By どらこさん
二人の少女の
探り合いが始まる。
「 美味しいね、このハンバーグ。」
「 シンジだもん! アイツは料理だけ
は得意なのよね!」
(むっ! パパを呼び捨てにした・・・)
「 お姉ちゃんは 作らないの?」
( 嫌な事 聞くわね、この子)
「 ア、アタシは忙しいから・・・」
( ふーん! ニヤリッ )
「 今度、お姉ちゃんのが 食べたいなぁ」
「 こ、今度ね!」
( ヤバイわね・・・そうだ、ヒカリに・・・)
「 そういえば、ツバサのパパとママは?」
「 ・・・・・・パパは、ずっと
眠ったままなの・・・」
( そこにね・・・お姉ちゃんが
やったくせに・・・)
( 悪い事 聞いたかしら・・・)
「 ママは どんなママかな?」
「 奇麗で、頭が良くて、カッコイイの!
おまけにスタイルも良いし、強いんだよ!」
「 へぇー、素敵なママね・・・」
「 うん、でもね
おっちょこちょいで、料理下手なの。裁縫も出来ないし・・・」
「 ぷっ、そうなの。大変なママね。」
「
でも、優しいの。怒ると、とっても恐いけど・・・」
「 へぇー!」
「
それにね、パパの事、とっても好きなの。つーちゃんが
見てないと、いっつもパパにくっ付いているんだよ!」
「 まぁ、可愛らしい・・・」
(
あれ、確かパパは・・・そうか、亡くなる前にね!)
「 いっつも、パパを怒るくせに、パパが
居ないと駄目なの。」
( パパは つーちゃんのパパでも
あるんだから!)
「 そう、愛していたのね・・・」
( 羨ましいなぁ・・・)
「
だから、ママとつーちゃんとで、パパの取り合いになるの。」
(
クスッ、・・・きっと素敵なパパだったのね・・・)
「 そう、・・・そうだ!
ママの名前は?つーちゃんを送らなきゃならないから・・・」
「 ママの名前はね・・・碇、ア 「
タダイマー、疲れちゃった!」
そこに 疲れ果てた (
準戦闘待機で、本部に詰めていた)
ミサトが、帰ってきた。
< ツバサ >
あれ、なんで ミサトおばちゃん (
お姉ちゃんと 呼ばないと怒るの ) が
来たんだろ???
又、ビールでも飲みに来たのかな???
9
By どらこさん
< ミサト >
・・・全く、あの警報のおかげで、ずっと本部待機!
結局、何が何だか わからなかったし・・・
緊張してたから、もう クタクタ・・・
早く、シャワーでも 浴びて ビールを・・・
マンションの扉を開ける ミサト
「 タダイマー、疲れちゃった!」
あれっ!???
ここ、私の家よね・・・
今は、まだ 2015年よね・・・
アスカは、まだ
子供なんて産んでないよね・・・
よっぽど、疲れているのね・・・
ミサトの目撃した光景は・・・
どう見ても 姉妹 又は 母娘
が仲良く食事しているモノだった・・・
「 ・・・アスカ、私 シャワー
浴びて来るから・・・」
「 あっ! ミサト・・・って
人の話も聞かないんだから・・・」
「 お姉ちゃん、今の ”ミサトおばさん”
でしょ?」
「 ええ、 なんだ 知っているのね!」
( そうか・・・シンジの親戚だもんね・・・)
「
だらしなくて、お酒飲みのおばちゃんでしょ!」
「 そうそう、よくわかっているわね。」
「
だって・・・・・・パパの知り合いだもの・・・
つーちゃんが小さい時から、知っているの 」
「 そう、パパのね・・・」
( やっぱり、ネルフ関係者なのかしら?)
「 ほら、つーちゃん! お喋りしてると、食事
冷めちゃうわよ!」
「 うん!」
( クスッ、ママと同じ事 言うのね・・・)
二人で 楽しく食事していると(
おーい!シンジは???)
シャワーを 終えた ミサトが いつもの部屋着 (
短パンとタンクトップ)で 出てきた。
そして、倒れているシンジ(笑)を またぐと
ビールを取り出しテーブルの椅子に どっかりと
腰を降ろす。
「 ふぅ! 」 プシィ!(ビールを開ける音)
ゴキュ、ゴキュ、ゴキュ・・・
「 プハァァァ!
これ、これ、これよねぇぇぇ!」
椅子の上で アグラをかいて
酒飲む姿は・・・なんとも言えない・・・
少女達の冷たい視線を 気にもせず
一息ついたミサトは、ツバサを ジット見つめる
「 ・・・・・・アスカ! この娘 誰?」
「 へぇ? ミサト 知っているんでしょ?」
10 リツコの遭遇
By ドラえぽん
ちょうどその頃。
リツコはゲンドウへの報告を終えてマヤの待つ研究室へ戻ろうとしていた。
その時ふと目の端を小さな影が通り過ぎたような気がした。
リツコは神経を周りに張りながら、ゆっくりと白衣の中に手を入れる。
ここは、特務機関ネルフの中枢部である。厳重な警戒を布いているとはいえ、何があるかは分からない。
ネルフが一枚岩では無いことはリツコもよく分かっている事である。
気配は消えることはない。
どうやら何かいることは間違いないようだ。
リツコはゆっくりと息を吐き、もう一度ゆっくりと吸う。
そして素早く振り向き銃口を気配の方へ向ける。
「動かないで!!」
リツコはそれを見た瞬間一気に張りつめていたものが緩む。
そして、あっけにとられた顔をするとゆっくりとそれに近づいていく。
屈んでのぞき込んで、リツコはため息をつきながらこう言った。
「あなた、誰なの?」
そう、そこには黒髪の小さな男の子がたたずんでいた。
11
By さくぎんさん
年齢は大体三歳ぐらいだろうか、男の子は状況が理解できないのかきょとんとした表情でリツコを見る。
だがそうしている内に男の子の顔が見る見る歪んでいく。
そしてとうとう大きな声をあげて泣き出してしまった。
さすがのリツコもこれにはどうすることも出来ずにおろおろするばかりだ。
「ちょ、ちょっと泣かないでね。お姉さんが悪かったから」
あたふたしながらリツコはできるだけ優しく言いながら必死になだめようとするが一向に泣きやむ気配はない。
「お願いだから泣きやんでね」
そう言いながらリツコは男の子の頭をなでて必死に泣き止ませようとするが全く効果は無く泣き止む気配すら見せない。
「困ったわどうすればいいのかしら」
今まで研究一筋で生きてきたリツコが子供のあやし方など知っているはずも無く、リツコは泣き出す子供の前でただおろおろする事しか出来なかった。
「先輩、何やっているんですか?」
帰りが遅いリツコを心配して出てきたマヤがリツコの背中から話しかける。
「ああ、マヤいいところに来たわ。ちょっとこの子泣き止ませてくれないかしら?」
天の助けといわんばかりにリツコはマヤへ助けを求める。
「あの子誰の子供ですか?」
「誰の子供かはまだわからないわ。聞き出す前に泣かれちゃったから」
「そうなんですか。さすがの先輩も子供相手にはお手上げですね」
「まったくよ、人間はロジックじゃないものね」
ふう、と小さなため息を吐くリツコにマヤがくすりと笑うとマヤは男の子の前に座りこんだ。
「どうしたのかな、なんで泣いているの?」
優しい口調でマヤが話しかける。
「うえぇ、ひっく、あのおばちゃんが、僕のこと脅かすの」
おばちゃんと言う単語にリツコの顔がゆがむ。
リツコは額に青筋を立てて今にも怒鳴り散らさんばかりだ。
そんなリツコを振り向いたマヤが目で制する。
「そうなの。それじゃあのおばちゃんが悪いわね。
もうそんな事しないようにお姉さんが言っておくからもう安心してね」
「ぐすっ、ほんと?」
「ほんとうよ」
涙声の子供にマヤは極上の笑みを浮かべながらそう言った。
「先輩、この子に謝ってあげてください」
なんで私が、という言葉を必死に飲みこんでリツコはしぶしぶ頭を下げる。
「ごめんなさい、私が悪かったわ」
「ねっ、ほんとうでしょ」
「うん、ありがとうお姉ちゃん」
(なんで私がこんな目に・・・・こんな目にあうのも子供を連れてきた親が悪いのよ。この子の親がわかったら絶対クビにしてやる)
不気味な笑みを浮かべながらリツコは怒りの矛先を子供の両親に向けようと固い決意をした。
「ボク、迷子になっちゃったのかな?」
微笑みながらそうマヤが言うと男の子がコクリと頷く。
「ボクはどっちから来たのかな?」
「わかんない」
「そう、困ったわね」
「マヤ、放送でその子の親を呼びつけましょう。探し回るよりそのほうが早いわ」
リツコは決して子供を思ってそう言ったわけではなく、早く親に文句を言いたくてそう思ったのだった。
「そうですね、そのほうが早いですね」
そして再びマヤが子供に微笑みかけながら尋ねた。
「僕、お名前は?」
12
By nozさん
男の子は、指をしゃぶりながらマヤを見ている。
マヤはもう一度聞いてみた。
「ねぇ、僕のお名前は何て言うのかな?」
男の子は小首を傾げながら、じっとマヤを見つめている。
やっぱり、物でつるしかないか。
「ねぇ、僕.....お名前教えてくれたらお姉さんが、このチョコあげるんだけどな。」
ニコッと笑い、おやつに食べようと持ってきていたチョコの箱を目の前に差し出す。
男の子の瞳がキラッと輝いた。
しばらく悩んだ後、男の子はやっと口を開いた。
「い、いかり..なおき」
え?
「....碇ナオキくん?」
男の子は「うんっ」と頷くと同時に右手を突き出した。
「おねーちゃん、ちょこちょーだいっ!」
「あっ、はいはい。」
マヤはあわててチョコの箱を開き、1個渡した。
ナオキはちょっとためらった後、そのチョコを口に放り込んだ。
「せ、先輩.....」
振り返ったマヤの目に、愕然とするリツコが映った。
そ、そんな......
まさか、司令の隠し子?
母さんだけならまだしも、他の人と子供まで作ってるなんて.....
どうして....
どうしてなんですか、司令.......。
やっぱり私は.....
一人苦悩するリツコを見て、マヤは自分一人でやるしかないと決心した。
「ね、ねえ...ナオキ君?.....お父さんの名前は?」
しばらく考えてから、ナオキはまた右手を突き出した。
....しょうがないわね。
マヤは小さな手の平に再びチョコを一つ置いた。
サン・ドゥーセのチョコ・トリュフが......
先輩と一緒に食べようと思っていたのに。
1個400円もするのよ。
ナオキは満足そうな顔をして、言った。
「おとーさんのなまえはね...いかりげんどう」
「そ、そう....。」
バキッ
マヤの背後で、ペンの折れる音がした。
ビクッ
背筋に悪寒が走るのを感じながら、マヤは核心へと迫ろうとした。
その時、ナオヤが口を開いた。
「ねー、つばさちゃんは?」
「え?...つばさ?」
「うん。....さっきまでいっしょにままごとしてたの。」
きっと、ツバサっていうのも司令の子なのね。
な、なんてことっ。
一人だけではなく、二人も。
一体、どこにそんな暇があるって言うのよ。
きぃぃぃぃ〜
「せ、先輩....大丈夫ですか?」
「あ、.....だ、大丈夫よ。」
いけない、これじゃあ、マヤに悟られちゃうわ。
そうだ、母親の名前を聞いておかないと。
「マヤ...ナオキ君と、そのツバサっていう子の母親の名前を聞いて。」
「はい....」
平静を取り戻したリツコに安心したのか、マヤはナオキの方に向き直った。
「ねえ、ナオキ君。ツバサちゃんのお母さんの名前は知ってる?」
「うん。しってるよ。」
「何て言う名前なのかな?」
「うん...あしゅかって言うんだよ。」
「あしゅか.....アスカ?」
「うん。」
ま、まさか....
アスカの事を言ってるの?
そ、そんなはずはないわ。
とうとうリツコが直接、聞いた.....猫なで声で。
「ね、ねえ...ナオキ君。...あしゅかさんってどんな人?」
「どんなひと?」
「う〜んと、....髪の毛の色は?」
「....おばちゃんみたいないろ。」
ナオキはリツコの髪の毛を指さす。
「じ、じゃあ...おめめの色は?」
「あおいよ。」
ま、間違いない。
「ねー、もっとチョコちょーだい。」
そうねだるナオキだったが、目の前の大人は固まっていた。