LASだってば


アスカ大いに頑張る
番外編


「Dr.○○○の島


―アスカ大作戦―








 

 

 

聞きなれた駆動音が、平和で静寂な世界を押しつぶすかのように聞こえてきた。

 

「ど、どこ…。」

 

アスカは周りを見回した。シンジの手を引いて、麦畑の中へすばやく走り込み、身を隠した。

そのまま、服が汚れるのもかまわず身を屈めたまま畑の奥へ進む。

 

「アスカ、あの駆動音は…。」

「しっ!」

 

ズシン、ズシン、ズシン、キュイーン、キュキュキュキュ……。

 

はるか彼方にまで続く野生の麦畑。

その丘陵の向こう側に、まっくろな巨体を現わしたのは、紛れもないEVAであった。

二人は自分の目を疑った。

 

「4号機? あれって4号機じゃないの?!」

「うん、4号機のレプリカだよ。何故こんな所に…。」

 

ひゅうううううううううう ----------

ひゅうううううううううう -----------

 

空気を切り裂く、甲高い音が襲いかかってきた。

 

「シンジッ、伏せてっ!」

 

二人は、頭を抱え込んで、地面に這いつくばった。

 

ごばあっ、グワアンッ!!ドドドドーーーーン!!

 

バラバラと、土くれが二人の上から容赦なく降り注ぐ。

 

ガガガーン!

 

直撃弾が黒いEVAの拘束具に当たり、激しく爆発する。

 

「いったい、何と戦ってるんだ!」

 

悲鳴を上げるようにシンジが叫ぶ。

 

「上を見て!あれは…!。」

 

アスカは、上空を見上げて唖然としている。

白い鳥が円を描いて舞っている。あれは…。

 

「エヴァシリーズ量産機!!」

 

黒いEVAが交戦意欲を刺激されたように空に向かって雄たけびを上げた。

 

「くおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」

 

「なぎはらえっ!」

 

女の人の声。

 

「どうした化け物。それでも世界を三度も滅ぼしたものたちの末裔か?!なぎはらえ!汚れたものは汚れた炎の中に!」

 

黒いEVA苦しげに口を開くと、激しい光の奔流を白い鳥たちに向かって吐き出した。

上空の鳥たちはその奔流に、見る間に飲み込まれ光の中に消えていった。

 

「す…ごい…。」

 

アスカとシンジは自分たちを苦しめたあの量産機が一瞬にして消え去ったのを目の当たりにして思わずつぶやいた。

 

「先輩、今度こそ成功ですね!数値的にも完全に消滅しています。

物質残量0.001%以下です。」

「そうね、ついに私たちはあの使徒やEVAのATフィールドを消滅させるに足る反物質ビームを手に入れたのよ。」

「あとは…。」

「そう、あとは…。レプリカではない本当のフィールドをつかって…。」

 

 

「やっぱり、リツコとマヤの仕業だったわね。」

「やっぱりって、アスカはこの事を予想してたの?」

「まあね…、あのファーストを閉じ込めておけるなんて、そうそうできることじゃないでしょ。ATフィールドを、急激に思いっきり展開すればたいていのものを破壊できるんだから。

それを防げるとすればね…。」

「そうか…、リツコさんとマヤさんコンビだけだよね。えーと、すると本当のフィールドを

つかってっていうことは…。」

「馬鹿シンジ!ファーストが危ないって事よ。急ぐわよ、シンジ!!」

「追うって、アスカ、きみ、足挫いてるんじゃなかったの。」

「ちい、そうだったわね。 はああああああああっ! 秘孔、点星縛呪解正輝!!」

 

アスカは、気合一閃自らの膝の上の秘孔を突いた。

 

「うんっ!これでよし!!」

 

足首を伸縮させて確認。

 

「そんなことできるなら、さっきさっさとやってくれれば、こんな事に巻き込まれなかったかもしれないのに…。」

 

シンジがぼやく。

 

 

二人は麦畑の中を身を伏せてEVAの消えた後を追って走り出した。

 

 

 

 

 

夕暮れ近くになって、アスカとシンジはやっと密林の奥にある古城にたどりついた。

 

「はあ、はあ、ひい。」

「なによ、その、息の切らし方は…。男なら意地でも平気な顔しなさいよ。」

 

二人は古城から少しはなれた大木の洞の中に倒れこんだ。

 

「アスカだって、息切らしてるじゃないか。はあはあ。」

「あんたね、私がどういう身体だか忘れてんじゃないの?私は妊産婦なのよ。」

「あっ、そうだった。あんまり元気なんで忘れてたよ。

そんなに元気なら普段もっと家事もやってくれれば良いのに…。」

「ナニのんきな事言ってるのよ。あんたこの島がおかしいと思わないの?」

「え、なにがさ。」

 

アスカはため息をついた。

まあ、この愛すべき鈍感さがシンジのいいとこなんだけどね…。

 

「あのね。いくら孤島だといっても、あんな派手な砲撃や、巨大なEVAシリーズや、

未知の光線兵器だかを使いまくって、周囲の国が黙ってると思うの?

大変な脅威になるじゃない。

しかも反物質なんかたちまち感知されるに決まってるじゃないの。」

「そう言えばそうだよね。」

「それだけじゃないわよ。こんな地中海の中の島にどうして熱帯雨林があるのよ。」

「そ、そうかな。いや、僕だって気づいていたさ。確かにおかしいよねっ。」

「空間が閉じているのか、どこかに次元連鎖がしかけられているのか…。」

 

シンジの言い訳に耳も貸さずにアスカは考え込んだ。

 

「えーと、ラスパライスが…ニュウゲオヒュー定数を転換してカボックの乗数が

X X X一定数を除するから…。さらにあの角度の砲弾は…速射砲の初速を…。」

 

ぶつぶつ言いながら地面にしきりと数式を並べ始めるアスカ。

 

 

赤い夕日が密林の木々の重なりの間から差しこんでくる。この島の空間には動物の

息吹が感じられなかった。何かを恐れ、身を潜めているのか。

 

 

「アスカあ、お腹すいたねえ。それにクタクタだし…。どうしようか。」

 

シンジが半べそ声で言った。

 

「大丈夫、いまから空腹も疲れも気になら無くなる秘孔を突いてあげるわ。」

「え、いいよ、いいよ。」

 

後ずさりして、手を振るシンジ。

 

「はああああああっ、!!」

 

アスカは全然聞いちゃいない。

 

ばき!! 「あべしっ!!」

 

シンジはたちまち気を失って地に倒れた。

 

「ほら、つかれもとれるし、空腹も気にならなくなったでしょ。」

 

艶然と倒れたシンジを見下ろして微笑むアスカ。

鬼、ですな。

 

 

 

シンジが気がつくと辺りは真っ暗になっていた。

漆黒の、闇。

 

「アスカ。アスカ。」

 

辺りを手探りで捜すが、誰もいないようだ。

 

カサカサカサッ…。

 

何かが走る音。目が次第に暗闇になれてくる。

 

ザザザザッ。

 

何かが木の上から飛び降りてきた。思わず身構えるシンジ。

 

「わたしよっ。」

「なんだアスカか…。おどかさないでよ。」

「なによ、食べ物と水をもってきたのに…。」

「えっ?」

 

背負っていたナップサックから、いろいろなものを取り出すアスカ。

何時の間にか、真っ黒な、スパイの着るようなスウェットスーツを身につけている。

 

「これもつけてね。」

「スターライトスコープ付きゴーグル?どこからこんなものを。」

「ちょっとお城の中からね。」

「忍び込んだの?」

「この、天才アスカ様にかかれば、ちょろいもんよ。」

 

「あの、赤ちゃんだいじょぶなんだろうね。」

「え?あ、ええだいじょうぶよ、たぶん。わ、私の子だもん。」

「(今の今迄忘れてたくせに…。)」

 

と、シンジは思ったがもちろん発言はしなかった。

 

 

「このお城の山側に湧き水がいくつかあって、その沢を仕切って城内に水道として取り入れてるのよ。そこから簡単に侵入できるわ。」

「ふーん?」

「ほら、食べたら行くからね。さっさと食べる!」

「え、ぼくも。」

「あったりまえじゃない。レイを助けに行くんでしょ。」

 

アスカはシンジにもスウェットスーツを渡す。

 

「でも、僕あまり泳げないし…。」

 

着替えながらも予防線を張るシンジ。

 

「だいじょうぶよ、自然に城内の深井戸に出るから。」

「自然に?」

 

 

 

 

 

 

シンジは木にしがみついて絶叫していた。

 

「いやだーっ!!こんな所から飛び込むのはいやだーっ!!」

「ほらほら、シンちゃん怖くないのよ、ちゃんと深井戸に出るんだから 。」

「小さな沢の泉とか言って、こんなの激流じゃないかーっ!!死んじゃうよー。

むりだよーっ、できないよーっ!!」

「あんたね、私にできるのよ。男のあんたにできない訳ないでしょうが。」

「アスカは、アスカは天才だもの。僕とは違うんだよ!僕は普通の…!」

 

バシッ!!

 

アスカはシンジの横っ面を張り飛ばす。

 

「シンジは、シンジはいざという時はやる人だと思ってたのに。」

 

アスカの瞳に涙がいっぱいに浮かんでいる。

一筋、二筋、それが流れ落ちる。

 

「シンジは…レイが死んでもいいのっ?!

友達が助けを求めているのを無視するやつだったの?!」

 

そして、真剣な顔で言う。

 

「それが、例え私でも来てくれないの?」

 

はっとするシンジ。

 

「ぼく、ぼくは…。」

 

逆巻く激流が、白く波立ちながら、渦を巻いて水道の取水口に吸い込まれていく。

ごくっ。つばを飲みこむシンジ。

 

「!」

 

身を躍らせるシンジ。

 

「僕は、逃げない!レイを助けに行くんだ!」

 

シンジの姿はすぐ水に飲み込まれて見えなくなった。

 

「やれやれ、世話が焼けるんだから。」

 

ぺロッと舌を出したアスカは、後を追って完璧な姿勢で飛び込んだ。

 

 

 

「がぼ、がぼがぼがぼが……。」

 

スターライトスコープゴーグルのおかげで、真っ暗な水道のなかでもはっきりと水路が見える。しかし空気がある訳ではない。もみくちゃにされながら流されていくシンジ。

それを追って、素晴らしいスピードで人魚のように泳ぐアスカ。ほどなく、水流のよどみに出る。がばっと水面に顔を出し呼吸をする。水の中からシンジを引きずり上げて、おなじように息継ぎをさせる。

 

「はあはあはあはあ…。」

「えらいわよ、シンジ、泳げないのに、良く、頑張ったわね。」

 

さすがのアスカも息があれている。

 

「ここは、沈殿槽よ。吸い込んだ泥や砂利を沈める所なの。このさきには、純水の分離装置や、オゾン浄化システムがあるだろうから一気には行けないわ。ここから上に登るわよ。」

 

細い空気抜きの通路があいている。金属製の梯子が続いている。

ふたりは、そこを登り始めた。10mほどのぼると、下の沈殿槽の水半分ほどが城内に向かって吸いこまれ、残りは部屋の底が割れて城外に吐き出されていった。

 

「あの土砂が堆積している場所を見つけたので、ここから出入りできることがわかったのよ。堆積物の中の細い枝なんかに傷がついていなかったから、ファンや、格子がないことがわかった訳。」

「そうか…。やっぱりアスカはすごいや。」

 

アスカは、くすっと笑った。

 

「シンジ。勇気のない人が勇気を出す事がほんとの勇気なのよ。

あなたは、やっぱり私の旦那様だけのことはあるわ。」

 

そういって、シンジの唇にキスをした。

 

 

 

 

20分ほど梯子を上りつづけると、やっと城内の中庭に出た。

結構人がいる。散歩しているのは女性がほとんどで、男性は警備員がぱらぱらいる程度だ。二人は、植え込みの中に潜りこむと、ぐったりと寝転がった。

 

「さっきも…ここを往復してきた訳?」

「そうよ…。二回目ともなるとさすがに、疲れるわね…。」

「さっきの、スーツや食料もここから盗ってきたの?」

「そういうこと。ファーストが閉じ込められている場所も大体目処がついてるわ。」

 

アスカはごそごそと、茂みの中に手を突っ込む。

 

「さっきここに隠しといたものを…、あったあった。」

 

拳銃を取り出すアスカ。一丁をシンジに渡す。

 

「びしょぬれにしちゃったら元も子もないものね。」

「いよいよ、敵地侵入だね。」

「そうよ。シンジ、私から離れるんじゃないわよ。」

「レイはどこに?」

「この屋上庭園は城の7階部分にあるの。1〜5階吹き抜けの大広間はEVAの製作に使っているだろうから、ファーストは多分その周囲に…。」

「実験用に捕らえているんだとしたら、逃亡を防ぐ為の設備を整える為に大きな

ジェネレーターが、独立して必要だよね。」

「そうね…。ひろくて、背の高い、他の部屋から分離している場所というとどこかしら。」

「わかった、礼拝堂だよ!」

「そうね!きっとそこだわ!」

 

二人はすぐに行動を開始…しようとした。そのとたん、

 

「きゃ、きゃあああああっ!!!」

 

アスカが大きな悲鳴をあげた。

 

「む、むぐうう。」

 

とっさにアスカの口をふさぐシンジ。目を白黒させながら(青白か?)何かを指差すアスカ。

見ると、ちいさなアシダカグモが歩いている。

さすがに熱帯だけあって、その色彩はカラフルだった。

 

「きゃああああああっ!!」

 

もっと大きな悲鳴がすぐ後ろで上がる。屋上を散歩している女性が上げたのだろう。

 

「マ、マトリエルが出たああ!!」

 

次々と連鎖的に悲鳴が上がる。

クモを、マトリエルと呼ぶのがはやっているのかなあ。とシンジは思った。

 

「ちいっ!!この、のらマトがあっ!!」

 

警備員が走って来て小型のビーム銃でそいつを撃った。覗いたシンジはびっくりする。

その野良マトリエルは、子犬くらいの大きさがあった。

さっき、アスカが見て悲鳴を上げたやつの何十倍もの大きさだ。

その時、後ろに何かの気配がした。シンジと落ち着きを取り戻したアスカが振り返ると、そこには、コリー犬くらいの大きさのマトリエルが、目をぱちくりさせてこちらを見ていた。シンジは慌ててアスカの口を抑えたが、その必要はなかった。

 

アスカは、見た瞬間、白目になって気を失い、シンジの腕の中に崩れ落ちてきた。

 

息を呑んでマトリエルとシンジは見詰め合っていた。

 

 

 

 

 

 

・ アスカ大いに頑張る 外伝 「Dr.○○○の島2」アスカ大作戦の巻:おわり


でたでたマトリエル。

使徒の中でも結構人気があるみたいですね。

この島のマトリエルは一味違いますよ〜。

連載は長い事ここで止まっておりましたが、ドラえぽんさんのコーナーにて再開いたします。

ドラえぽんさんありがとうございます。

 

アスカ:ヤット続きを書く気になったわけね。しばらく離れてたからこの話の台本なくしちゃったわよ。

こめどころ:済みませんアスカ様。ご機嫌を直して是非こちらへの御出演をお願いいたします。

アスカ:いま、時代劇にも出てあげてるしねえ。戦国時代と幕末だっけ?たいへんよね。

こめどころ:まあ、あっちは台詞も少ないですけど、こちらはもろに主役ですし、アスカさんのいない場面はありませんから。

シンジ:僕はどちらもまだほとんどでばんないもんな。

アスカ:まあ、気にはなってたのよ。了解!引き続きでてあげましょう。

こめどころ:ありがとうございますゥ。(平蜘蛛)

アスカ:きゃーっ!くもーっ!!

こめどころ:へ?

(第三話へ続く)

(第一話へ戻る)



ひ、秘孔ってアスカ様何者?(@_@;)ほあたあ(笑)

というわけで、こめどころさん番外編2発目ありがとうございますー。\( ^ 0 ^ )/わーい

しかし、量産機を一瞬で破壊するとは...。マッドも極まってきましたな。(爆)

それにしても、秘孔は付くわ、城には忍び込むわ、激流に飛び込むわ、恐ろしい妊婦さんですなアスカ様。( ^_^;)
しかし、さすがのアスカ様も野良マトには弱かったか..。(笑)

ところで、我が子(シンジ君(笑))を千尋の谷へ突き落とすようなアスカ様もイカスっすな。(●> _ <●)ぽっ<ヲイ

さあ次回、害虫並の扱いを受けているマトリエルの逆襲やいかに。(爆)
そして、妊婦さんアスカ様とシンジ君は見事マッド×2を倒す事ができるんでしょうか?
早速、こめどころさんに感想を書いて続きを書いて貰おー。\( > 0 < )かくぜい

こめどころさんへの感想はここです。

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ここから是非感想を送るのだー。\(●> _ <●)おーっ

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