「やっと、本当に2人きりになれたね。」
シンジのこげ茶色の瞳がアスカの深い青緑色の瞳をじっとみつめています。
東中野の第3桜マンション 512号室。5階といっても山の手丘陵の
一番東の端に立っているこのマンションの眺望は、平地の20階近くに相当します。
抜群の眺望環境でした。
新婚さんなら、誰もがあこがれるお部屋を手に入れたけれど、いろいろと障害が
多くて、いまだに純情カップルのままの2人。
でもそれも今日限り。
「シンジ。私、ほんとに幸せ。」
「ぼくだって。」
アスカはすっかりシンジに身体を預けて、肩に頭を持たせかけます。
ゆっくりと、シンジの手がアスカの髪をなでます。
でもなれないせいか、顔までなでてくるので、アスカは苦笑していいます。
「シンジ、そこは髪の毛じゃないわ、私の顔よ。」
聞こえなかったのか、シンジは相変わらず顔をなでてきます。
「そこは、髪じゃない、顔、だってば…。」
くすぐったい感触が続いて、むずむず…。
「あ、くしゃみが…。」
「はっくしょん!!!」
アスカがくしゃみをすると、目の前のカーテンが顔にまとわり付いているのに
気付きました。
「…なーんだ、夢かぁ……。」
捜査一課の机に頭を持たせかけて、うたた寝をしていたようです。
「なんか、いい夢見ていたみたいねー。にやにやしてたわよん。」
葛城課長は、アスカが起きたのに気づいて軽口を叩きます。
LASだってば
桜が一番好き !! 3
―新婚さんはいそがしい?―
「うん、いい夢でした〜。(^‐^)」
アスカは、ニコニコ顔で答えます。
「いい夢で、起きた所で、張り番の交代時間よ。頼むわね。」
「はいっ! 行ってまいります。」
黒い男物のスーツと濃紺のネクタイに身を固めたアスカは、
部屋を飛び出して行きました。
この時代、首都圏は日本人も非日本人も住む、完全な雑居状態になっていました。
昔だったらアスカのような目立つ人が刑事をやるという事は考えられませんが、
いまはいわゆる白人的容貌、黒人、アジア系、アラブ系の人がたくさん警察にも
勤務しています。むしろそうでなければ、捜査に差し支える時代です。
捜査組織も広域化し、東日本全域は警視庁の管轄です。武装もかなりの重武装。
アスカ達本庁の刑事は、検事のような地域警察への捜査指揮権も持っています。
刑事部捜査第一課は、殺人・麻薬の絡むような凶悪組織犯罪を主に担当しています。
そのなかでも一係は、課長の直属であり、特命的に動くケースもあるのです。
この3年間は西ロシアを含むヨーロッパマフィアが担当なっています。
きょうの張り番は、白人が多く住むブロックでしたから、アスカの他に、ロシア系の
ニームカ、スカンジナビア系のトロールの3人がチームを組んで動いています。
そのフォローに、日本人の部隊が大体ワンブロック離れたところから様子を
伺っています。
アスカは日系のせいか、白人としては大変童顔で小柄ですので、それらしい
格好に変装して張り番をしています。
現場に到着した時には、赤の短いオーバーオールに、しましまTシャツにキャップ。
子供っぽい縞の靴下という格好でした。ぷぷぷ…。かわいいー。
ちょうど張り込み中のマンションの正面にたむろして遊んでいるローティーンの集団の仲間に入りこんで、
このところホシを見張っています。(ちょっと情けないな。)
「よー!こんちゃー!!」
「うーす。」
「わあ、マツカ姉ちゃんだー!」
結構、人気者みたいですね。マツカって名乗ってるんでしょうか。
「こちら、ニームカ。ただいまアスカを視認。交代します。」
向いの店から販売員を装って見張っているニームカが本庁に連絡を入れます。
ややあって、アスカのピアス型の受令機から、青葉の声。
「アスカ、ニームカ交代。現在ターゲット205.動き無し。以上。」
「ねえねえ、今日は学校でこんなの配ったんだよ。」
「なにこれ?」
「むかしはやった、インラインスケートとか言うやつらしいよ。ダサくてよお。」
「ここは?」
「ポイントを押すと、一瞬圧搾空気が出て、浮力が着くんだって。」
「でも、だーれもできねえんだ。」
「だれもできない?!」
アスカの目が、キラン!と光りました。
「そーいうことは、このマツカさまがやってから、言ってもらいましょうかね!」
アスカは、みんなとやけに熱心に遊び始めた。
仕事―、ちゅうなんだよー、アスカァ。
憶えてるのかね。
「じゃあ、今日で退院だ。よかったな。」
「はいっ!ありがとうございました!」
こちら、飯田橋の警察病院本院。
ずっと、府中の多摩警察病院に入院していたシンジ。
やっと今日、最終検診の結果、退院の許可が出たのです。
ドイツから帰ってきてから、どういうわけか、前の傷に感染が起こり、寝込んでしまった
シンジでしたが、こんどこそ退院です。
もちろんアスカには内緒です。
急に家で待ち構えていて驚かしてやろうという、シンジにしては大胆な計画。
シンジは鼻歌交じりで、東中野へ…。
「うおおおおおっ !!」
「すっげええっ!!!」
周り中から大歓声が上がります。勢いをつけて滑ってきたアスカは、正面の壁に
飛び移ると、圧搾空気を使って2階の窓横の壁まで滑走し、そこから宙返りをして
地面に降りたち、さらにその辺の車を縫って走り回るという、荒業を披露しています。
洋服やから出てきたニームカは、呆気に取られてみています。そして、ツカツカと
アスカの近くに歩みよると、大声で叫びました。
「こらあ!! マツカッ!!」
びくっと、肩をすくめるアスカ。ぎぎぎぎ…と、音を立てるようにゆっくり振り返ります。
「や、やあ、ねえちゃん…。」
「あんたはまた、そんなお転婆して! ちょっとこっち来なっ!!」
首っ玉をつかんで、店の前まで引きずってきます。
「勘弁してよアスカ、あんなに目立っちゃったら、これから先どうするのよ。」
「えへへへへえ。」
「えへへじゃないっ!!」
「いや、あそこの壁からうまく覗けば、中が見えるんじゃないかなーってね。」
「えっ?」
アスカは、首から下げていたポーチから、携帯電話を取り出しました。
「青葉さん、聞こえる?! 総員突入指令を出して下さい!やつらはもう現金を
入手してます。取り引きは既に終わっています! 」
「ちいいっ!やられたか。しょうがない、全員突入!」
どこに隠れていたのかと思うほどの警官隊がビルに殺到します。
2階ではすでに銃声が聞こえています。
「いくわよ!ニームカッ!」
愛用のCz-75をとりだしたアスカは、インラインスケートのまま、警官隊の頭を
飛び越えて2階のバルコニーに飛び移り、窓から一連射撃ち込むと、室内に
飛び込んで行ったのでした。
捕物の後の騒然とした空気。
怒声。サイレン。怪我人のうめき声。
出入りする、鑑識や科研警のメンバー。
「マツカちゃん、おまわりさんだったんだ…。」
「うん、ごめんね。黙ってて。」
「でも…、すっごく、かっこよかったぜ。」
「そう、かな。…えへへへ。」
テレテレになるアスカ。この格好だとアスカちゃん、って感じだけど。
「でも、だめだったんだ。犯人には逃げられちゃった。捕まえたのは下っ端だけ。」
「・・そうだろうね。」
「ヤクを、売ってたんだろ。それもとびきりの…。」
「…あんたたち、何か知っているの?」
思わず少し声が大きくなるアスカ。子供たちはビクッと肩を震わせます。
「この街の人はみんな知っている。みんなその金で食ってるんだもの。」
「麻薬からおちてくる、マフィアの酒代や服代や煙草や、女達…。みんな知ってるさ。」
「じゃあ、もしかして、どこで取り引きがされてるとかも…?」
子供たちは、顔を見合わせました。みんな、マフィアが怖いのです。
アスカは言い出せなければそれでいいと思い、明るく言いました。
「まあ、それはそれとしてと。今日は、私としては仕事が終わったわけなのよ。」
シンジの事を思い出します。でも今から言おうとしてる事を言うと今日は見舞いに
行けません。
―ごめんねシンジ、明日の朝必ず行くからね。―心の中で手を合わせます。
「で、これで今日から私も、おうちへ帰れるのよ。
みんなで今夜は私んちで合宿しない? どう?晩御飯もごちそう出すわよ〜。」
「いいね。」
一人が言うと、みんなも口々に、行く行くと、言い出しました。
「よ〜し!じゃあ、みんなで行っこうかーっ!!」
一斉に駆け出すみんな。アスカは完全に餓鬼大将です。
「ええ〜っ、アスカ、家に帰っちゃったのお?!」
「はあ、現場からまっすぐに帰ったそうで。」
葛城ミサト捜査一課課長は、大変残念がっていました。
一応今回の事件の山を越えたので、直属の1係のみんなと一杯やろうと
思っていたのです。
「まあ、アスカは新婚ですし…。」
「僕らと一緒にに行きましょうよ。明日からはまた取り調べでそれどころじゃ
なくなるし。」
青葉と日向が懸命にとりなします。
2人は昼間病院から嬉しそうに退院の連絡をよこした、シンジ君の事を知っていましたからね。
ここでミサトさんに碇家に乱入されたら、シンジ君の計画はおじゃんです。
事件が片付いた事を青葉はさっきシンジに連絡したばかりです。
今ごろシンジは、ごちそう作りの真っ最中でしょう。

アスカ愛用の銃:中央がCz75-Oldtype 射線のぶれが少ないチェコ製の銃。
電車を降りて、鉄道と直角に真っ直ぐ300m進んで、右に折れて中学校の横を暫らく
200mくらい進むと第1桜マンション。そこから、第2、第3と進んで、一番奥の建物。
これが第3桜マンションです。アスカさんと、子供たち5人が帰ってきました。
「あれっ?」
ドアの所でアスカは立ち止まりました。誰もいないはずの部屋で、電気がぐんぐん
消費されています。
「みんな、下がってて。」
首に下げたポーチから、Cz75を引き抜きます。
そっと手を伸ばしてチャイムを押す。
ピンポーン♪
誰も出てきません。
アスカはダッシュでエレベーターエントランスに戻り、そこから柵を乗り越えて
お隣のうちのベランダに入りました。窓の鍵がかかっていません。
「不用心ね。」
からからっつと、窓を開け、南側の部屋へ。中からベランダに出ます。ここからは
非常壁を破ればいいのですが…。家計を考えて外側からベランダへ着地。
ここまでわずか10秒。
体勢を低くして中を覗くと居間には…誰もいません。
ん、玄関脇の6畳間に人がいる。
入ってきた所を後ろからって訳ね。逃がさないわよ。
セ−フロックアウト、銃の撃鉄を起こします。
靴は脱ぎ捨てて静かに居間の窓を開け、中に入ります。
すすすすす……。
もう一度様子をうかがいに出したそいつの頭に銃口がゴリッと音を立ててねじ込まれます。
「動くな! 自分の頭のカケラ探したくなかったら、
ゆっくり手を挙げろ !! 」
「ア、アスカァ?…。」
こ、この声は…。まさか。
「きゃーっ!シンジィ!! シンジ シンジ シンジィ!」
自分でもびっくりするくらいの裏返った声を出してアスカはシンジにしがみついていました。
「アスカ、アスカってば、わかった。わかったから、銃のロックかけてよぉ!!」
子供たちが玄関からいつのまにか覗いています。
アスカは「キャンッ!!」と子犬のように叫んで、シンジから飛び離れます。
「マツカちゃん、この人だれ、兄き、じゃ…ねえよなあ。」
「ボーイフレンド、にしては釣合わないしねえ。」
「下僕だ、下僕。きゃははは。」
「わ、私の旦那様だようっ!!」
「ええええええええええええええええええっ!!」
子供たちは、驚天動地、万物流転、神魔混合、魔界転生のような叫び声を…。
(意味不明)
「そうかあ、アスカの手助けをしてくれたのかァ。」
「まあ、結果的にだけどな。」
「お兄ちゃん、料理上手だねえ。」
「ありがとう。」
「ァ、ケチャップとってょ。」
「俺の皿にふぉーくつっこむんじゃない!」
「どうしてマツカなの?」
「赤がすきなんだ、わたし。」
「結婚してたんだあ。」
「へっへっへ。(てれ)」
「無理矢理?」
「むか。」
「おない歳くらいかと思ってたぜい。」
「ほんとは何歳なの?」
「うっ、そ、それは……。(引き)。」
「わたし、グラタンきらーい。」
「この三色団子とバーターしてやるよ。」
「シンジは20くらい?」
「18くらいじゃない?」
「ははははは…。一応大学院終わってるんだけどな。」
「おう、それうちの横にもあるぜ。」
「それって、何とか着物きつけ学院?」
「ちきん、もうないのお?」
「ビールはないのかビールは。」
「ワインがあったー。」
「ピザ焼けたんじゃない?」
「タバスコこぼしたあ。」
「それ、私のアイスクリームだよお!」
戦いは3時間以上続いたのでした。
外はもう真っ暗。
時計の針は10:30をさしています。
アスカさんとシンジ君は後片付けをし、お皿を洗っています。
「シンジ…怒ってない?」
アスカはおそるおそる尋ねます。
「こんなごちそう作って待ててくれたのに。ほんとは私が退院祝いしてあげなきゃ
いけないのに…。拳銃突きつけたり、子供たち連れてきたり…。」
シンジは人差し指をそっとアスカさんの、くちびるに当てました。
「アスカ…。わかってるよ。」
明るい微笑みが、アスカの顔に広がります。
いっしょに、深い碧青色の瞳には、零れそうな涙がわきあがってきます。
「やだ、どうしてこんなに涙ばかり出てくるんだろう。えへへ。
悲しい事なんか何もないのに。」
シンジも、胸の中にも熱いものが細波のように広がっていくのが分かりました。
喉に何か詰まったみたいな感じです。
シンジは、もう一度手を伸ばすと、アスカの柔らかなばら色の頬にふれました。
にっこりと微笑むアスカ。
にっこりと微笑むシンジ。
しばらく、何も言わずにみつめあっていた2人は、また皿洗いの続きをはじめました。
子供たちに開放した部屋は、約12畳あったのですが、なかはもう大騒ぎでした。
近くのふとんやさんから、5組の布団を借り出してきましたから、枚数は足りているのですが、
男の子と女の子、一緒ではいやだというのです。
「そうか。考えたらもうみんな中学生だものなあ。」
結局、ここにはシンジを含めて男の子4人が、シンジとアスカの部屋にはアスカを含めた
女の子3人が寝る事になりました。楽しい事の少ない子供たちは、大騒ぎです。
その夜は、朝は…徹夜じゃ〜!!
シンジとアスカはその朝、ふらふらの徹夜状態で出勤しました。
「おんや〜?どうしたのかな、早く帰ったアスカちゃん〜?」
「あ、おはようございます、課長。」
「目の下に隅ができてるわよお。」
「ええ〜っ!!」
「うそよ! ああ、いいわねえ、新婚さん。♪♪。」
踊り出しました。昨日のお酒が少し残っているのでしょうか。
激しく誤解してるな…。アスカは呆然として見ているしかできません。
その頃、小金井警察署でもシンジが同様の目にあっていました。
ま、あれだけの有名人と結婚して、ハイジャック犯を逮捕して、入院して、と
事件が続きましたから、無理もないのですが。
担当の紅葉丘派出所まで逃げ出しましたが、班長は、まだシンジの
医療休暇は終りの手続きが出ていないので、出勤予定表に組まれていないと
いうのです。
「でも、まあ、ゆっくりしていけ。署では気が休まらんだろう。」
「はっ、ありがとうございます。」
「何もないが、茶でも飲んでいけ。おい、碇巡査長に茶を出してやれ。」
「はっ!」
新卒警官が答えました。
「班長、巡査長って?」
「うん?、聞いておらんのか?
君は、例の人質事件と、ハイジャックの件でだいぶ前に昇格になってるんだ。
辞令と階級章はここに来ているぞ。入院してなければ署長から直接頂けたのだがな。」
班長が新しい階級章をつけてくれます。
「碇シンジ、拝命します!」
昼過ぎ、アスカに電話がありました。
「あら、フラワーじゃない。どうしたの?」
「マツカ姉のうちの鍵。持ってきた。」
「わざわざもってきてくれたんだ。ありがとう。」
昨日の子のうちの一人です。
おうちの商売が花屋さんだから、フラワー。
「どこにいるの?」
「皇居公園側の、橋のたもとのTEL.BOX。」
「じゃあ、その奥の休憩用のテラスハウスがあるでしょ。
そこの喫茶部にいてくれる?すぐいくからね。」
「わかった…。」
日向君を引っ張り出してまだ踊っている葛城さん。
「課長、ちょっと出てきます。そこの皇居公園まで。」
「やあやあ、おまたせっ!」
「や。マツカ姉。」
鍵が宙を飛んできます。
観光客の一団でまわりはがやがやしています。
「喫茶に行かない?」
「ううん、いいよ、ここで。」
フラワーは何かひどく真剣な顔をしています。
「一度しか言わないからね。」
「え?」
「あの、マンションの205には、売人はいないんだ、来るのは回収者だけ。」
回収者?
また、新しいバスが止まり、観光客がぞろぞろと、2人の周りを通り過ぎていきます。
「マツカ姉、よく聞いて。」
フラワーはアスカの肩に両手を置いて話し出しました。
「あの辺の、各家には組織から指定のあった日に小分けされた薬が送られて
くるんだよ。それを、また、別のルートから指定された客がやってきて買って行く。」
フラワーは、青ざめた顔をして続けます。
「毎回違う種類の薬がくるし、毎回客も違う。その売り上げはまとめられる事なく
花の入荷先や、肉の入荷先に、仕入れ代に上乗せされて送金される。205は
裏切り者の処分をする「ハンマー」と、予定外に大きな処理金が必要な時だけ
回収屋が来てるだけ。警察のつかんだ情報はその回収屋が来るという情報
だけだったんだよ。」
「それで、いつも金が少なくて、薬はないのね。」
「そう。それに町中が小分け販売を強制的にやらされてるから裏切れない。」
「あんたは、どうするの、フラワー。すぐに保護下に入るようにしなきゃ。」
「あたし、お姉ちゃんがほしかった。ずっと。
麻薬をやってる家族がいやでしょうがなかった。
あの街をでたかったんだ。昨日はうれしかったよ。」
その時、急に、フラワーが膝をつきます。
「どうしたの?あっ!」
抱きかかえようとしたアスカの手に、べっとりと鮮血がついたのです。
そのとたん、アスカの脇腹にも焼け付くような激痛がはしりました。
とっさに、後ろに蹴り上げます。お年寄りがもんどりうって倒れます。
「えっ?!」
「マツカッ!だまされちゃだめっ!」
フラワーが叫んでいます。
「ちっ!」
誰かの舌打ちが聞こえました。
周りをまた、新しい観光客が流れていきます。
パパン!
銃声!
周り中の観光客が悲鳴を上げて伏せたり、走って逃げようとします。
「フラワー!どこっ!?」
パンパン!!
またも銃声。そちらを振り向いたとたん、左胸に激しい痛み!
伏せている観光客の一人がサイレンサー付きの銃を握ってにやりと
笑いました。冷たい、灰色の瞳。
プシュン!!
再び左胸に激痛。
アスカさんは気が遠くなるのを感じながら、思いっきり前足を蹴り上げました。
男の右手の砕ける感触を感じながらアスカさんは後ろに倒れました。
「こらーっ!!なにをしているかーっ!!」
門衛の警官たちが駆け寄ってくる声。
「おそいわよ…。」
視野が暗くなってくるのが分かります。
「シンジ、ごめんね。
もしかしたら、もうあえないかも…。」
「青葉さんっ、日向さんっ!!皇居公園!子供とアスカが襲われたっ!!」
捜査一課のドアが蹴破られるように開けられ、第一報が知らされたのはそれから
2分後でした。
ぴー。受令機が鳴りました。
「ハイ、碇です。どうぞ。」
「碇巡査長。本庁より。捜査一課、葛城課長より呼び出しあり。1740。以上。」
「了解。」
丁度装備をはずした所だったシンジは、電話を入れました。
「ハイ、捜査一課。」
「すみません、小金井警察署の碇シンジです。」
「あ、シンジ君。いい、しっかり聞いて。アスカがね。襲われたの。」
日医大の、救命救急センターに運び込んだわ。」
「ま、まさか、アスカは。」
「命は……、 でも、重傷よ。」
日本医科大学、救急救命(ICU)センター。
シンジはベッドで包帯と送管だらけになっているアスカの前に立っていました。
「背部刺傷は門脈を辛うじて避けています。とっさに体を落として相手を蹴り上げた
ので、助かったと思われます。」
「銃創は、一発目は銃のホルスターを撃ち落とした為に浅く止まっています。
肋骨で受け止められて、ここで摘出しました。二発目は奥さんの銃をかすった為、
心臓を逸れました。肺静脈のわずかに右に逸れて、ここで摘出しました。
それぞれ重傷ではありますが、命は何とか取り留めるでしょう。」
救命救急の医師が説明してくれる。
「助かるんですね。」
「助かります。」
「ありがとうございました。」
シンジは深々と医師に頭を下げました。
リカバリールームで使い捨ての帽子と白衣を脱ぎ捨て外に出ると、
青葉と日向が駆け寄ってきました。
「相手は…、誰なんです。」
「ヨーロッパ・ウラルマフィア、だ。」
「先日、奴等のブランチを一つ潰した。その報復か。」
「あるいは、君らに子供たちから何らかの情報が漏れるのを警戒したか。」
「一緒に襲われた、女の子ですか。」
青葉が肯きます。
「その子は?」
「やはり後ろから、脇腹を刺されて、門脈から肝臓を跳ね上げられてる。」
「そのあと…、心臓に2発。」
「アスカと同じ傷だ。」
3人は遺体の安置室にむかい、確認をします。アスカの意識が戻るまで
シンジしか顔を知っている人間がいないからです。
暫くして部屋から出てきた彼らは重苦しい表情をしていました。
シンジは唇を噛み締めて、頭を壁にぶつけました。
「アスカが、可愛がってた、あの子だ…。フラワーと呼んでた。」
アスカの意識はなかなか戻りませんでした。
シンジはずっと、ICUの外の待合室のベンチで待ちつづけています。
夜半。
「碇さん、碇さん、奥様の意識が戻りましたよ。」
アスカは、じっと天井を見つめつづけていました。
「…ねえ、遊園地って子供っぽいかなあ。」
「海にも行きたいよね。かわいい水着を買って。」
「遠くまで、ドライブにも行くのもいい。新しい車で。」
「一緒に頭を洗いっこして、ハーブの組みかたなんか教えて。」
「毛糸の編みかた、シチューの作り方。」
「クリスマスには、またみんなで合宿ができるわ。大騒ぎして。」
そして、アスカはぽろぽろと泣き出しました。
シンジはアスカの横に立ち尽くしているしかありませんでした。
桜が一番好き! 3
***********************************
「桜が一番好き!」は、ほのぼのLASじゃなっかったんかい!
どうした事か、今回勝手に筆がこのように成ってしまいました。
これは…LASじゃないかもしれない。
アスカは大怪我するし、可愛がってた子は殺されるし…。
これは、何とか2人が幸せに結ばれる所まで、
絶対に書かなきゃ駄目になってきました。
う〜ん、いったいどうすれば?
必ず幸せにします。しばしお待ち下さい。
こめどころ
(第4話へ)
おお、おーばーおーるアスカさんだ。\(●> _ <●)ナイス というわけで、こめどころさん桜3本目ありがとうございますー。\( ^ 0 ^ )新婚さんー しかし、夢見るアスカさんなんかおもろいな。(●^_^●)ぷぷっ あはは、シンジ君せっかく驚かせようとして待ってたのに、ガキ大将アスカさんに驚かされてるし。(笑) ぐああ、しかしアスカさんと子供が!!( T - T )ひーかわいそう ぎゃーす、こめどころさんこのヒキはー!?うひー、どうなってるんだー!?\( > 0 < )/まいが さあ、ドラえぽんと同じで続きが気になって仕方ないアナタ。早速こめどころさんに感想を書いて続きを!\( > 0 < )マジぷりーず |
こめどころさんへの感想はここです。
または簡単感想用掲示板へどうぞ。
◎感想用フォームです。2,3行の感想でも作者さんは嬉しかったりするのだ。