GWも終りに近づいてきたある日。
「ねー、どこかにいこうよ〜。」
「だって、僕は非番じゃないもの。アスカはいいけど僕はもう行かないと。」
出勤時間がせまっているのにアスカはシンジを放そうとしません。
「だめだよ〜。4時までにつかないと怒られちゃうよ。」
「わかったわよ!私より仕事を選ぶって言うのねっ!」
これでもLASけ?
桜が一番好き<外伝>2
やっぱり幸せ アスカちゃん
おお、出た!世の女性の伝家の宝刀。仕事と私とどっちを選ぶの攻撃!!
これで、
「ばかやろう!仕事に決まってんだろ!(バチーン!!:ひっぱたいた) 」
と言える勇気ある人、お目にかかってサイン貰って神棚に飾りたいもので。
まあ、シンジ君もご多分に漏れず、ボニーの時代の人じゃありませんから、
「ア、アスカ〜。(おろおろ)」
ここで、
「ばかだなあ、おまえに決まってるじゃないか。(きらりん!:歯の光った音)」
と、一言言えるほどの才覚もなく、ただオロオロとするばかり…。
「おまえだよ。」の一言が嘘でも聞きたいアスカさんの逆鱗に触れます。
「わかったわよ、もうしらないっ!」
アスカさんはサンダルを突っかけてエプロン姿のまま、飛び出していってしまいます。
「アスカ!アスカァ、あうあう…。」
時間がありません。追いかけていく訳にも行かず、しょぼしょぼと出かけていくシンジ君。
家政婦の綾波さんの方をちらりと見ますが、しらんぷり。
綾波さんも女性ですからね。夫婦の駆け引きに介入する愚は冒しません。
駅前派出所では、シンジ君は有名人です。
交番勤務から、いまや広域捜査部の花形捜査官。碇シンジ警部補はみんなの憧れの的だったのです。
「碇警部補殿っ、夜番でありますか、ご苦労様っす!」
「うん…、こんばんは…。」
幽霊のように通り過ぎるシンジ君。気のせいか足が地に着いていないように…。
「どうしたんだあ?碇さん…。」
「あれは…。はっ!!」
「何でありますか、箱長殿?」
「い、いかんこれは。」
箱長の大原巡査部長52歳。東中野駅前派出所勤務歴10年、の長年の勘と経験が
桁外れの危機を予感していた。
「来るぞ…あの人が来る。おいっ、緊急呼集だっ。派出所メンバーを全員集めろ!」
「は、はいっ。」
新人警官がキリキリ舞いをして、メンバーを集める為に電話に取り付きます。
アスカは怒っていました。
なんでこんなに腹が立つんだろう?
わたしだって昼まで勤務だったけどさ、1時帰宅3時にシンジ出勤じゃ、
いつ夫婦の時間を持てばいいのよ!!
私たちの仕事っていったい何?
みんなの為にこんなに頑張ってるのに、夫婦の時間一つまともに持てないなんて。
セブントエルブの窓に映る自分の姿。
ぴよぴよエプロンを着けた、可愛い若奥さん姿です。
「一言、このぴよぴよエプロン可愛いねって、言って欲しかったのよ、シンジ。」
日が陰り、薄暗くなってきました。
「きゃーーーーっ!!」
「ひったくりよーっ。」
身体のでかいプロレスラータイプの男が走ってきます。
片手にブランド品のハンドバッグを握っています。
これだけいい身体してて、なぜドカチンでもやって稼がないのかしらねえ。
アスカはため息をつきます。
ふと、こういう奴がいっぱいいるから忙しくてシンジと一緒にいられないんだ、
という考えが浮かびます。むか〜〜〜〜。わたしは非番だし、職種も違うけど、
我慢できない――――――!!
ずいっ、と男の進路に踏み出します。
「どけえっ、そこのがきいいっ!!」
「あ、あそこの子が危ない。」
「ありゃ、碇さんとこの奥さんだから大丈夫じゃよ。」
「あの男も気の毒にねえ。」
近所の人たちはむしろ男に同情しています。
「がおおおおおっ」
男は太い腕を振り上げて、アスカを殴り飛ばそうという姿勢です。
アスカの目が、すうっと細くなります。
がしっ。
正拳と正拳がもろにぶつかりました。
レントゲンがあれば、その瞬間男の指の骨が全部折れるのを見る事が出来たで
しょう。
「うぎゃああ。」
手を押さえて、のけぞる大男。見物人は出るぞ出るぞと待ち構えています。
ぴよぴよエプロンとミニスカートを翻し、アスカの身体がふわりと宙に浮きます。
そして、ピンク色の太腿もあらわに見事な脚線が伸び、空中後ろ回し蹴りが、
大男の後頭部に炸裂!
「うわーっ!! やったーっ!! 」
見物人はやんやの喝采です。倒れた男に馬乗りになったアスカは逆手をひねり上げると、
「強盗の現行犯で逮捕するっ!あり?手錠がない。」
エプロン姿じゃねえ。まあ、その必要は全然ないほど男は完全にダウン。
駅前派出所のお巡りさんが駆けつけた時にはアスカの姿はとっくに無く、
ガムテープで見物人にぐるぐる巻きにされた男が転がっているばかりでした。
アスカは、まだ気分が収まりません。
そうよ、ああいう奴がゴロゴロとのさばってるから私たちの幸せが脅かされるのよ。
わたしがこの手で成敗してやらなくちゃ。
もう完全にプッツン来ているなあ。
休日の東中野駅前銀座商店街は歩行者天国ということになっています。
5月のいい陽気に誘われて、屋台も出れば、テーブルをならべてビールを出して
いるお店もあります。
そこにやってきたのが、いつでも馬鹿はいるもので、違法改造車を連ねた暴走族。
「おうおう、さっきはこの商店街で寄ってたかって、うちのもんが世話になったそうじゃねえか。
かまわねえからその辺、叩き壊しちまいな!」
リーダーらしい男が怒鳴り散らします。ほとんど時代劇だね。
バイクを蛇行させて、思い切り空ぶかしさせ、その辺のテーブルをひっくり返すわ、店に突っ込むわ…。
乱暴狼藉のしほうだい。
団子屋さんに釘だらけのバットを持って突っ込んでいった数人がオートバイごとひっくり返りました。
派手な転倒音。グラスの砕ける音。
排気ガスの向こう側から、小柄な人影がゆらりと立ち上がります。
口にくわえた三色団子、胸に輝くぴよぴよマーク。赤い髪の毛、伊達じゃない。
「待ってました!アスカちゃん!! 」
「やってしまっておくれ!!」
大向こうからやんやの歓声が送られます。
「あんだあ、このがきはあ…。」
ぴくっ、アスカのこめかみに一本青筋が…。
「馬鹿だねえ、あの男もうお終いだよ。」
「アスカちゃんの唯一のコンプレックス、小柄である事に触れちゃあね。」
ちょっとまて、商店街の住人がなぜそこまで知ってる?
「やっちまえっ!」
「うおおおおおおおっ!!」
バウンバウーン。
約30人の暴走族が、一斉にはかなげな小柄な美少女に襲いかかります。
(見た目はそう見えます。)
一台目を左にかわしたアスカは、右手から来た赤いバイクの男を蹴り落とすと
バイクのアクセルをいっぱいに吹かし、ウイリーで正面のバイクの男に前輪を
こすり付けて叩き落としました。
「このやろうっ!!」
ボスと思しき男の隣のいかれた奴がショットガンを構えます。着地した瞬間バランスを崩した所を
狙ってぶっ放すつもりです。
その瞬間、雑貨屋さんの前からすばやく走り込んだ影がその男の頭を、中華鍋で
グワン!!と、殴り倒します。
「奥様っ!」
「綾波さんっ!」
左手に持った物干し竿で、二人目を突き倒した綾波はそのまま棒高跳びの要領で
空中へ、そして、落ちてきた所にアスカの赤いバイクが滑り込みます。
後部シートにしゅたっと立った綾波は、買い物篭の中から煉瓦を取り出し、
続けて5個を目のもとまらぬ速さで、次々に投げつけました。
がん!がん!がん!ばき!ぐしゃっ!
きれいに5台のバイクが地面にひっくり返ります。
「うおおおっ!やったあ、いやあこたえられねえぜい!」
「おっ、また一台、お手伝いさんもやるねえ。」
町の人たちは安全な所から見物です。
ついにアスカがCz-75を取り出しました。これだけは常に携行しているのです。
猛スピードで走るバイクの上に立ちあがります。
「ええいっ!動きにくいわねえ。」
びりびりっとスカートの横のスリットから破いてしまいます。これで足場が安定しました。
「行くわよっ!!」
マガジンをも一つ口に加えると、そのままボスをめがけて突進します。
Pan、,pan、pan、papan !!
打ち尽くしたマガジンを落とすと口から落としたマガジンをシャキンッと入れ直し、Uターンです。
そのすばやい事といったらありません。
Papapapapapan !!
エンジンを打ち抜かれたバイクがバフンバフンと黒煙を上げてひっくり返ります。
流れ出したガソリンに火が入り、爆発するものも出ます。
横合いから数台を更に破壊した綾波が駆け寄ってきます。
「乗って!綾波さんっ。」
「はいっ!」
100kmで走るバイクの後ろに飛び乗る綾波さん。
ボスの横のショットガン男の親指を打ち抜くアスカ。
手を繋ぐアスカと綾波。
バンッ!!
宙を舞う二人。
歓声を上げる群集。
ボスと、ショットガン男にスクリューキックを食らわせるアスカと綾波。
ボスのバイクに突っ込む赤いバイク。
ボン!!
ボスのバイクに火が入り、爆発炎上する明かりの中のアスカと綾波は、
まさに東中野の守護神そのものでありました。(破壊神かも…。)
商店街の人々と集まった群衆の大歓声の中、次々と有志の手でガムテープで
ぐるぐる巻きにされる暴走族達。
その後は駅前派出所まで、お祭り騒ぎの行進です。
まるで捕獲された熊みたいに棒にぶれ下げられた暴走族達。実際炎上の煤で
熊みたいに真っ黒でしたが。
「共同暴走行為および、器物破損、威力妨害、凶器準備集合および銃刀法違反の
現行犯にて逮捕しました、お引き渡し致します!」
「はいっ、ご協力を感謝いたしますっ!」
大原巡査部長が顔を引き攣らせて引き渡しを受けます。
すでに遠くからパトカーのサイレンの音が鳴り響いています。
「あの女の子誰よ、あれが箱長の言ってた、あのかた、ですか?」
新人警官が隣で敬礼している先輩に尋ねます。
「馬鹿!おまえ知らんのか。あれが泣く子も笑う、鬼神アスカ警部だよ!」
「! あれがアスカ警部ですかっ。あんなに可愛いのに。」
「おもてだけだ。いいかよく憶えとけ、女の子ってのは大なり小なりみんな
アスカ警部なんだぞ。外見に惑わされるなよ。」
「へ?」
「おまえも今にわかる…いまにな…(うるうる)。
そしてな、もうひとつ、ありゃ、人妻だ、碇警部補のおくさまでいらっしゃる。」
「すごい…。ますます碇警部補を尊敬しちゃうなあ。
そんなすごい奥さんに惚れられてるんっすから。」
「まあ、そういう考え方も、あるか。」
次の日の朝。
シンジ君が帰ってきます。
「アスカは帰ってきたかなあ。機嫌は直っているかなあ。」
心配しながら交番前を通り過ぎます。
「あっ!碇警部補、お疲れ様でした!昨日は奥様に大変お世話になりまして、
ありがとうございました!」
「???。そう、ですか。」
何の事か分からないシンジ。
ピロリンポロリン♪
「ただいまー。」
ガチャ。
「おっかえりなさーい!」
アスカが大変機嫌良くシンジを迎えます。首にしがみついて、ちゅっ!
「おかえりなさいませ。」
何か変わった事は…と聞こうとしてアスカと綾波さんがあちこちに
バンソウコウやら、包帯を巻いているのに気づいたシンジ君。
「ふっ、二人ともどうしたの?なにかあったの?怪我?」
「なんでもない、なんでもないのよ。ちょっと油が撥ねたの。」
「油が?あぶないなあ。気をつけてくれよ、ほんとに気をつけてよ。」
一生懸命言ってしまうシンジ。
「あ、心配してくれてる。心配?ねえ心配?」
嬉しそうなアスカ。
「当たり前じゃないか!だいじな…大切なおくさんなのに…。」
「えへへ、えへへへへ。」
爆発ニコニコ顔のアスカさんでした。
「シンジ、昨日はわがまま言ってごめんね。」
もう一度、シンジのほっぺたにちゅっ。
ばら色の顔になっている二人に綾波さんが声をかけます。
「さあさあ、仲直りした所で、おいしい朝ご飯に致しましょう。」
「シンジ、わたしやっぱりと〜〜っても幸せ。」
「僕もだよ、アスカ。」
中野警察所留置未決収監室。
30人以上の黒焦げの男達が、不幸な不幸な朝を迎えていました。
桜が一番好き!外伝:やっぱり幸せアスカちゃん:おしまい。
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連休がらみのお話をかきました。
よかったらのっけてやって下さいな。
書いてて僕もすっきりしました。
こめどころ
うおおー、アスカさん大爆発ー!\( > 0 < )/どかーん というわけで、こめどころさん桜番外編2発目ありがとうございますー。\( ^ 0 ^ )2本目ー ぐははは、いやーこのお話ホントにすっきりしますねー。(
^ _ ^ ) テンポがよくてアスカさんのサービスシーン(破壊活動&ぱんちら)満載。こりゃたまりませんな。\(●> _ <●)ぐほほほ それにしても、しょっぱなのアスカさんとシンジ君のやりとりって妙にリアルだな...。(爆) アクションが躍動感あってサイコーでした。こめどころさんのアスカさんは元気で可愛いですよね。(●^_^●) ラストシーンのらぶらぶな二人も大好きです。( ^ - ^ ) さあ、最近シリアスな本編とはうって変わって、ごろごろ100%じゅーしーな作品を2本も書いてくれたこめどころさんに、感想&応援を書きまくってまたゴロゴロさせてもらっちゃおー。\( > 0 < )おー |
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◎感想用フォームです。2,3行の感想でも作者さんは嬉しかったりするのだ。