かすいpresents.
〜優しすぎるあなたに〜
Another
第1話
B Part

 

 

 

 

 

 

 

お食事処「らんぐ」。

 

店仕舞いもほぼ終わり、店内の明かりの殆どが落とされる。

椅子がテーブルの上に置かれ、部屋の隅にはモップが立て掛けられている。

もう、見慣れてしまった光景。

僅かに、カウンターに近い一角にあるテーブルだけが、ぼんやりと揺れる炎に照らし出されていた。

笑い声が、店の中で木霊するように響き渡る。

充実感に溢れた、その音色が夜を彩るかのように漂った。

浮かび上がる影はみっつ。

まるで違和感がなく、昔からそうであったかのようだった。

 

少しだけ遅い夕食。

 

「ほんと、疲れたわね〜?」

アスカがシンジの作った賄い食、ハンバーグを箸でふたつに割りながら、笑顔と溜め息を共存させながら言った。

軽く首を傾げる。

「忙しいって言うのは良いことよ、あたし達にとっては、ね。お客さんも増えてきてるし」

ヒカリがにっこりと肯いた。

優しげな雰囲気に、思わず場が和む。

「近頃じゃ、珍しいんじゃない?」

「アスカ、お箸を人に向けないの!………シンジ君の料理のお陰かな?お客さんも喜んでくれてるしね」

めっ、とアスカに注意した後、話を続ける。

もくもくと食べるシンジに微笑みかけた。

 

「………そうかな?そうだと嬉しいけど、ね」

 

「少しは自信を持ちなさいよ、あんたは!このあたしが認めてあげてんのよ?他の人が認めないわけ、ないでしょう。ほんとに、もう」

「ははっ、誉めてくれてるんだよね?………ありがとう」

シンジはアスカに微笑を見せた。

とても、自然に。

「ばか………。もう少しこう、ドーンとかまえてられないの?」

 

頬が赤く染まっているようにも感じる。

いや、多分ロウソクの火のせいなのだろう。

 

「アスカ、顔が赤いと言葉に説得力がないわよ?」

 

違ったらしい。

 

「なっ、ヒ、ヒカリ!?何いってんのよ?」

慌てふためく。

その様子が、少女の感情を確かに現わしていた。

「照れてるの?」

ヒカリがにこり、いや、にんまりと。

「ちっ、違う!ぜ〜ったい違うわよ!!」

「あら〜、そうなの〜?」

誰が見ても理解できるくらいに、信じていない。

ヒカリだからこそ、アスカに対してこんな態度も取れるのだろう。もし、他の者がすれば確実に寿命を縮めることになるのは、目に見えている。

「ヒ〜カ〜リ〜」

にじり寄る。

だが、ヒカリはあっさりしたものだった。

「早く食べないと冷めちゃうわよ、ハンバーグ?好きでしょ、アスカ」

「あっ、うん。食べる食べる」

素直だ。

 

くくっ。

シンジが含み笑う。

 

「何よ…………?」

ジト目。

上目遣いにシンジを睨み付けた。

「えっ、……あははっ、別に何でもないよ」

「あ〜ら、そっ?」

ぷい、とそっぽを向く。何処となく普段のアスカよりも子供っぽい。

「ふふっ。あはは」

ヒカリまでが、笑い始めていた。

 

「もう、何だって言うのよ、ふたりとも!!」

 

笑い声が、踊る。

 

 

 

 

シンジは椅子の背に寄りかかると、加持との会話を思い出していた。

 

「それで、結局仕事って?」

「仕事?………そうだな、君には言っておいた方が良いだろうな。俺も出来ることならシンジ君とはやりあいたくない」

 

アスカとヒカリが、店内を片づけ始めた頃だった。

誰の耳にも届かないほどの声でふたりが話し出した。

ほんの僅かな、意味を持つかどうかもわからない音と、唇の動きだけで相手の言葉を理解する。

視線だけが互いに交差していた。

 

「前置きは良いですから。……で?」

かちゃかちゃ、と食器を洗い続ける。

「アスカちゃんのこと、だな。今回は」

そして、グラスを口元に。

唇を湿らせるように一飲みする。

「アスカ?……どういうことです?」

「そう、焦らないでくれよ、シンジ君。……今回の依頼主は惣流家だ。君も良く知っているだろう?」

「惣流?どうして惣流が動くんです。今ではネルフの一領とはいえ、元は国主ですよ。それこそ王族だ。それが何故アスカを?」

 

ネルフ。

僅か24,5年程に新たに建立された六つの国からなる、いわゆる連合体。

ゼーレ帝国の猛威にさらされた国々が、ある女性を総国主として一つにまとまった。

そして、国王であった者達がそのまま国を領主として統治。

その一つがソウリュウ国、いや、ソウリュウ領だった。

シンジが王族だと言った意味もここにある。

 

「簡単な話………かどうかは知らんが、ね。何ヶ月か前に当主が交代しただろう、あそこは?二十歳になったばかりの」

「ええ。その話は聞いています。ですが、それとアスカが………」

軽く肯き、先を促す。

「だから、話はまだあるんだ。当主の祖母。つまり、先先代の奥方だな。この人が今回の依頼主だよ。………一男二女を産んだのは良いが、この長女がお抱えの騎士と駆け落ちしてね。その長女と子供を捜してくれって頼まれたんだよ。情報を集めて探し回って、やっと見つけ出したら長女の方はお空の上。そしてその子供が………」

「………アスカだ、と?」

「そうだ。騎士の名はラングレー。ファーストネームはいくつもあってどれがほんと何だかわからなかったくらいだ。駆け落ちした長女の名前は、キョウコ。……まさかこんなところで宿屋をやっていたとは気が付かなかった」

「はぁ。なるほど………。で、目的は?」

「すでに依頼主にアスカのことは伝えてある。調べるだけが俺の仕事だったからな」

「別の目的が出来たってことですか?」

片目を細めた。

「あぁ。今度は連れてきてくれ、と言われたよ。息子が死んで、孫が当主となった。自分もいつまで持つのかわからないから、その前に一目会いたいとね」

「アスカに…………」

「そうだな」

 

どうにも胡散臭い。

だが、言われてみて何処かで納得する自分がいるのもわかる。

アスカの顔立ち。

惣流。

シンジは考え込むように眉を寄せた。

『赤いコウモリ』と呼ばれた加持がここまでの断言をする。

間違いであるはずもなかった。

ならばアスカは惣流の血を受け継いでいるのだろう。

しかし、何故今。

そう、思う。

 

「アスカには?」

「まだ、だ。出来ることなら無理強いはしたくはないんだよ。アスカちゃん達は良い子だし、そっとしてやりたい気もするがこれも仕事だ」

加持が肩を竦める。

表情までもが曇っていた。

本気で思っているのかもしれない。

それもあのふたりの魅力なのだろう。

 

「嫌だとアスカが言えば?」

 

空気が変る。

針の落ちる音でさえも聞き取れそうなほどの緊張がふたりを繋ぐ。

間。

加持がふっ、と力を抜き、シンジに微笑みかけた。

 

「だから、君に先に話した。………アスカに聞いてみちゃくれないか?肉親が生きているとしたら会ってみたいかってね」

「はっ?」

かくん、と肩が落ちる。

「もし、どっちでも良いとでも言えば、こちらが動けばなんとかなるかもしれないしな。例えば、依頼主自身にここに来てもらうとか、イロイロできるさ。会いたいと言えば問題はない訳だ」

「………確かに」

「だろ?だから、頼まれてくれないかな、シンジ君。君もすぐには聞きづらいだろう。三日待つ。その間にお願いできないかな?」

片手を顔の前まで持ち上げ、微かに頭を下げる。

「ちょっ、ちょっと、加持さん!?」

「じゃっ、よろしく〜」

 

シンジが呆気に取られている間に加持は椅子を立ち、アスカ達に声を掛け帰っていった。

 

”イヤなとこだけ押し付けていきましたね、あの人………”

楓。

溜め息が聞こえる。

(……どうしろって言うんだ、加持さん?)

”私が知る訳ない、です。……だから言ったのに。………主様が……”

ぶつぶつと。

拗ねている。

(ごめん。………楓が正しい)

”でしょっ?”

シンジはがっくりと肩を落とした。

 

 

 

 

「どうしたの、シンジ?」

「うわっ………」

ぼんやりとしていたところを、いきなり覗き込まれた。

つい驚きの声が上がる。

「何よ、人のことお化けみたいに」

アスカがぶーっと頬を膨らませた。

まさに子供。

「ご、ごめん。ちょっと考え事してて」

「考え事?」

ヒカリが微笑と共に聞き返す。

仕種が愛らしい。

「えっ、いや…………その、そう!明日のおすすめのメニューを、ね」

両手を何故か振る。

まるで意味はない。

「明日は何にするのよ、シンジ?」

アスカが勢い良く振り返った。

その様子にヒカリも微笑む。

 

この一週間と言うもの、アスカがなんとなしに機嫌が良いのはシンジの作るおすすめを、昼前に一度、試しに食べることが出来るからなのかもしれない。

理解できる。何しろヒカリもそうだった。

 

「そうだね………。どうしようかな?仕入れのことも考えておかないと………」

逆にシンジは苦笑した。

言ってしまったは良いが、本当に考えていた訳でもない。

言葉を濁す。

「雇い主にまで秘密にするって言うの、あんたは?」

アスカ。

「いや、そういうことじゃなくって。その、ね」

しどろもどろ。

 

”主様ってば、考えなし…………”

(楓が言うな〜〜!)

心で叫ぶ。

 

「ほらほら、アスカ。シンジ君も困ってるよ。楽しみは明日に取っといたら?」

「別に楽しみになんかしてないわよ」

今までの行動を振り返れば、説得の力を持つ言葉ではない。

しかし、アスカらしいのかもしれない。

 

ほっとシンジは一息吐いた。

ヒカリと視線が合った。

ありがとう、と軽く笑みを送る。

 

「すぐ意地張るんだから、アスカは。…………さっ、洗っちゃいましょう?」

ヒカリは言うと、横から掛かるアスカの意地なんか張っていないと言う声を無視し、椅子から立ち上がった。

食器を重ねる。

「あぁ、僕がやるよ」

シンジも同様に。

 

「意地なんかほんとに張ってないんだからね〜〜〜〜!!」

 

アスカの声が店内で木霊した。

 

 

 

 

 


はい、どうもです。Bを書きました。

どうしてかって?…………簡単です。いくらカウンターにあわせてとは言っても

一話くらいは終わらせないといけません。

ですから、とにかく二万ヒットの前に一話を何とか終わらせておくのが目的です。

頭の中でどんどん構想が膨らんできて、やべっ、このままじゃ第0章

超えるそこれは!!っと気が付いてしまった。

どうにかして展開を早めないといけない。

そんな訳で今回は少し強引なお話の進め方です。でも、まだ終わっていない。

ははっ…………。

もっとちゃんと書かないといけないです、ね。

 

来週から少し更新の勢いが止まるかもしれません。

バイトです。

少しずつでも書いてはいくので見捨てないでやって下さい。

え〜と、次は大嫌いの方を書かないと………。

んで、その後に第0章、です。

多分………………………………。

 

こんなお馬鹿なかすいはメールを生きがいにしておりますです。

送ってやって下さい。

お願いします、です。

はぁ〜、また雪が降るのかもしれない…………。

今日はやけに冷え込む…………。

 

では、またの機会に。

第壱話Cパートへ続く


おお、アスカ様がお姫様。(@0@) .......女王様じゃなかったのね。(爆)

というわけで、かすいさん早くも第壱話Bパートありがとうございますー。\( ^ 0 ^ )

うむむむむ、なにやらアスカ様がお家騒動に巻き込まれそうな雰囲気ですな。( - _ -;)だいじょうぶかな

権力争いほど醜いものはないですからねえ。しかし、こういう中世っぽい世界にはお家騒動がよく似合う。(笑)

加持さんもホントに怪しい役どころ...。まだまだこの人は油断出来ませんな。

今回はアスカ様可愛いですねー。(●> _ <●)ぽっ もう意地っ張りなんだからっ<ヲイジブン(笑)

さあ、ついに平和な生活が破られてしまうのか!?次回お楽しみです。

そんなわけで、かすいさんに是非催促メール(笑)を出して早く続きを書いて貰おー。\( > 0 < )そうやそうや

 

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