それは蒸すような暑さでけだるい朝の出来事だった。
いつもは一人では起きられないほど低血圧のアスカも、この暑さでは流石に寝ては居られない。
「うー、暑いわねえ。何なのよこの暑さは一体?」
寝苦しさでゴソゴソと寝床で這いずるアスカは、ふと口元がむずがゆい事に気が付いた。
「汗だいぶかいたから汗疹(あせも)でも出来たかしら?」
玉のお肌に汗疹が出来たら大変だ。それも密かに思っている男の子と曲がりなりにも一緒に暮らしているのだから。
汗疹の出来た顔などで彼の前に姿を出せない、と考えるのは乙女心としても当然だろう。
そんなことを考えながら手を当てるとなにやらふわふわしたものが触れる。
ぽかんとしながら触ったり引っ張ったりしてみる。
どうやら汗疹ではないらしい。
「なによこれ?何かくっついてんのかしら?」
それなら取ってみようと思いっきり引っ張ってみる。
| 「きゃ!いった〜い。( ;_; ) もう、何なのよ一体?」 |
ええい、鏡を見れば早いだろうと思って、だるい体を姿見の前まで引きずっていく。
そして顔を上げて自分の顔を見ようとする。
一瞬立ちくらみでぼーっとしてしまうがすぐに我に返る。
えーと、これはアタシの顔よね。うん、今日も可愛いわ、アタシってば。
これならシンジもイチコロよね。
思い人の事を考えながら無意識に自分をチェックする。
透き通るような空色のお目目もオッケー。
小ぶりだけど形のいいお鼻もオッケー。
桜色の魅力的なお口もオッケー。
その上のたわわなおヒゲもオッケー。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「ひ、ひげーーーー!!!!????」
「ひげ」
作:ドラえぽん+皆さん
その朝碇シンジはいつものように朝6時に目覚めた。どうもこの男に目覚まし時計などというものはいらないようだ。
しかし、彼だってはじめからこんなに早起きだった訳ではない。彼がこんな体質になったのは、几帳面な性格も多分に影響しているだろうが、彼の同居人達の影響が大きいだろう。
かといって、その同居人達が毎朝早起きなのを見習って、という訳では絶対にない。
それどころか、同居人達は彼が起こさなければ昼まで、いや夜まで寝ているような人達である。
いわば反面教師といった所か。そんなこんなで彼は目覚ましのいらない体になってしまった。
しかし、目覚めれはそれでいいというわけでもない。彼にはこのあと大事な仕事が残っている。
朝御飯の支度、弁当の支度、そして同居人達が寝過ごしてしまわないように起こしてあげなくてはいけない。彼はこんな仕事を毎日こなしているのだ。
なぜ彼がこんな事を毎朝しなくてはいけないのか?それもやはり同居人達のおかげであろう。
同居人二人は女である。しかも、二人とも女性に疎いシンジから見てもかなり美人の部類に入っている。まあ、片方は美少女といった方がいいのだろうが。
そんな二人と暮らしているのだから、彼の友人や同級生からはかなりうらやましがられているようだ。
しかし、シンジにはなぜ自分がうらやましがられるのかが全く理解出来ない。
何故なら彼女たち二人は家事能力が全く皆無だからである。
その上、放っておけば3日で部屋を人間の住めない所にしてしまうほど手が掛かる。
おかげで、彼の家事能力はハウスキーパーも真っ青のレベルに達してしまった。
碇シンジ、14歳。中学生の身空で主婦とは哀れな男である。
とはいえ、シンジはそれほど嫌々やっている訳でもない。
彼はこの家に来るまで決して恵まれた家庭環境にいるとはいえなかった。
母には先立たれ、父には見放されて、対して面識のない叔父夫婦の所へ約10年間も預けられてきた。
それでも叔父夫婦が愛情を与えてくれればよかったが、残念ながらそれもかなわなかった。
そして、突然の父からの手紙。今度こそはと儚い希望を胸に、ここ第三新東京市まで来たが、その結果は非情なものだった。
もう、どうでもいい、と全て諦めかけていたときのミサトからの同居の誘い。
ほとんど強引に決められはしたが、寂しかったので逆らわなかった、というのもあるだろう。
同居を進めていく内に同居人が一人増え、そして三人はいつの間にか形だけとしても家族となっていた。
はじめはこき使われているだけだと思っていたが、二人の喜んでいる顔を見ていくうちに嬉しい、と思っている自分に気が付いた。
今では、これが家族なんだ、と漠然と思い、家族の為に働くのが楽しくなっている。
まあしかし、彼の場合はそれだけでもない。同居人の一人、彼と同い年の同級生兼同僚。
その彼女、惣流・アスカ・ラングレーの為に働くとなるとまた気合いの入り方が違う。
彼女が嬉しそうな顔をすれば彼も嬉しい。彼女が幸せそうな顔をすれば彼も幸せを感じる。
彼は気づいているのだろうか?それを恋愛感情と呼ぶことに。まあ、周囲にはバレバレなのだが。
彼は嬉しそうにみそ汁の味見をした後、時計をちらりと見る。そろそろ気になる同居人、と大酒のみの姉代わり、を起こす時間だろう。
「さて、そろそろアスカ達を起こさなくっちゃ。」
とそのとき突然断末魔のような叫びが聞こえてきた。
シンジはあっけに取られて呆然と声の方向を見ている。
と、ふと彼は気が付いた。
この方向にはアスカの部屋がある。
「アスカ!!」
碇シンジと惣流・アスカ・ラングレー、彼ら二人は使徒と戦うための決戦兵器エヴァンゲリオンのパイロットである。
その強大な力故に各国政府に疎まれ、そして狙われているのは周知の事実である。
そして、狙われているのはエヴァンゲリオンとその技術だけではない。
エヴァンゲリオンに乗れる特殊な子供達、チルドレンもまた然りである。
シンジもアスカもその事は直接訊いた訳ではないが知っている。
アスカ、アスカ、アスカ。
速くアスカの所へ.....
彼の頭の中はこれだけだった。
シンジはいつもの動きからは信じられない速さで、アスカのもとへ向かう。
いつもはノックをして返事を待つような几帳面な彼だが、今はそんなことは言ってられない。
何よりもアスカの身が危険にさらされているかもしれないのだ。
彼女の部屋のドアを開け放つと、素早く中へ潜り込む。
そして彼が見たものは、彼を驚愕させるに充分だった。
「ひ、ひげーーーー!!!!????」
(つづく)
[どらこさんのひげ]
[GONさんのひげ]
[KYOさんのひげ]
みなさまこんにちは。ぼく、ドラえぽんです。
なかなか面白いお話の素だと思うのですが、いかがでしょうか?
この続きは皆様のアイデア次第です。SS書きの皆さんも、これから書いてみようという皆さんもどうぞ御挑戦ください。
全く書いたことがない皆さんも大歓迎です。ちょうどいい練習になるんじゃないでしょうか?挑戦お待ちしてます。
また、もうすぐクリスマスですし、これを使ってクリスマスSSっていうのもアリですね。勿論、日常SSでも何でも良いと思います。
続きを書いてくださった皆さんの中で、HPをお持ちの皆さんは、自分のページにドラえぽんのお話の素と自分で書いた続きを載せても結構です。
それでは、皆さんの挑戦お待ちしてます。何たって、ドラえぽんもSS書きは初心者ですのでお気軽にどうぞ。
書くぞこの野郎!SSパトリオット!などはこちらのasukasama@jump.toへ。