「熱帯夜」〜前編
       by dgx

 




・・・ふう。

・・・暑い、な。


只今の時刻午前2時。
気温摂氏26度。



いくら学校が夏休みになったとは言え、アタシには休みなど有りはしない。

   国連による人類の復興と協調が毎日の様に叫ばれる、
 ささやかなれど”平和”のもたらされたこの世界ではあっても

       依然”エヴァ”の力は絶大だ。


・・・・アタシは”エヴァンゲリオン弐号機専属パイロット”

平時とは言え、数々の訓練やシンクロテストなど仕事は山積みだ。
アタシにはやるべき事が、やらなければならない事があるのだ。
こんな時間に意味も無く起きていて良い筈が無い。
いくら暑くて寝苦しくとも寝つきのいいアタシだ。
それに暑いならば、エアコンでも扇風機でも、幾らでも方法はある筈だ。


・・・でも・・・眠れない。


横になって身体を休めることすらできない。
窓をあけ、生温いむうっとした風を浴びながら、
街路灯以外の明かりの消えた街を
ただただ、ぼうっと眺めている。



理由は・・・有る。

いや、理由と呼べる程のモノでは無い。



アイツがいない。



只、それだけの事だ。



別に喧嘩したわけでは無い。

アイツが郷里に帰っている。
・・・・いや、出掛けていて今夜は帰らない。

保護者としてミサトもついていっている。

今夜ここにはアタシ一人。

只、それだけの事だ。

・・・そう、大したことでは・・・無い。




アイツが出掛けて言った理由・・・
それは一通の手紙からだった。






碇シンジくんへ

お久しぶりです。お元気ですか?

3年前にお別れしたシンジ君があの”チルドレン”だと分かった時は、
クラスメイト皆大変驚きました。
TVに映っているシンジ君は以前とは違い、ずいぶんと逞しくなっていて
見違えるようでした。
なんたってあのサードインパクトを防いだ”チルドレン”の一人なんですものね。
でもインタビューされてしどろもどろになっているシンジ君は
以前の優しいシンジ君が思い出されてほっとしました。
クラスのみんなは、もっと仲良くしとけば良かった〜なんて
随分勝手な事をいってますよ。
でもね、みんなシンジ君には本当に感謝しています。
私達が助かったのはあなたのおかげです。
ありがとう、シンジ君。

ところでシンジ君、夏休み中に
一度こちらに戻って来れませんか?
直接あってお礼が言いたいのです。
あの時の事も含めて。
もう忘れちゃったかな?
結局私はお礼も言えないまま、シンジ君はお引っ越ししていました。
私はずっとその事が気になっていました。
きっと毎日が忙しいことと思いますが、ぜひもう一度会いたいです。

それでは良いお返事をまっています。
                      
                        相馬アツコより





・・・サードインパクトから約一年半、
ようやく穏やかな日常を取り戻したアタシたち。

還らなかった人。

焼けただれた街並。

LCLに濁った海。


それでもようやくアタシは大切なものを取り戻せた喜びを感じていた。
ミサト、加持さん、ヒカリ、
数少ない大切な友人たち、
アタシを必要としてくれた人たち。

そして・・・アイツ。

平穏な日常の中にほんの少しの幸せを感じていたアタシの心に、
あの一通の手紙が静かに、そして大きな波紋を広げていった。

その波紋の大きさと、この熱帯夜の暑さは、
アタシに静かな眠りをもたらす事を拒否するかのようだった。



「・・・眠れないよ・・・シンジ・・・。」



アタシの声は遠いアイツには届かない。


(中編へ)


またまた、だらだらと書きなぐりすいません 。
前回季節ネタだったんで今度は時期ハズレネタ!!
ここ二・三日寒い日もあったのに、何書いてんでしょうか?(^_^;)
何を血迷ったか「熱帯夜」!!
いや〜残業中にspeedを聴きながらssを書くなんて
バレたらクビだな、これは。
ネタはアレです。
dgxでした。(*^_^*)

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