「ねぇ、リツコ?ホントにこんな実験する意義あるの?。」
「わからないわ。」
「わからないわって・・これじゃ・・。」
リツコの無責任な答えにミサトが頭を抱える。
そのミサトの視線に先には・・
実験用のシミュレーションプラグ内でイチャつくシンジとアスカの姿が・・。
といっても、映像は遮断されているため、
独身者には殺人的な音声だけが実験棟の職員の耳へと届いていた。
「もうシンジ。そんなとこ触らないでよ。」
「しょうがないだろ。」
「もう、あ・ ・あんッそ・こ・・あ・・だ、ダメ。みんながみてる・・ってば・・」
「あ、アスカそんなに動かないでよ・・・・・で、でちゃう・・。」
「せ、先輩?シミュレーションプラグを模擬体と接続しますが・・・
いいですか?。」
「ああ、もう好きにやってちょうだい。」
さすがのリツコも頭を悩ませていた。
エヴァンゲリオンAS
その拾
後編
作:ベファナさん
「また、水漏れ?。」
「いえ、浸食だそうです。この裏の第87タンパク壁だそうです。」
何故か不機嫌そうなリツコにマヤが答えた。
「テストに支障は?。」
「今の所はありません。」
「そう、この実験だけはおいそれと中断するわけにはいかないのよ。」
(もう二度とこんな実験はゴメンだからね。)
リツコは心の中でそう付け加えた。
「何か違う。」
レイは不思議そうに呟いた。
「ええ、何か・・違う。」
マナもそれに同調するかのように口を開いた。
「感覚がおかしいんだ。右手だけがハッキリして・・あとは・ぼやけた感じ。」
ケンスケもそれに続く。
「レイ、右手を動かしてみて。」
何か思いついたのかリツコが指令を下した。
「はい。」
それに素直に従いレイは右手のレバーに力を加えた・・・・
だが、
その時、突如として実験棟全体に警報が鳴り響いた。
ビービービー
「なんなの?。」
慌てふためく職員の中で一番最初に声を上げたのはリツコだった。
「シグマユニットAフロアに汚染警報発令。」
続けて口を開いたのはその一番の部下であるマヤ。
続いて他の職員が報告を続ける。
「第87タンパク壁が劣化、発熱しています。」
(第87って・・浸食のあった・・)
リツコはすかさず、二つの事実を関連づける・・・・
「第6パイプにも異常発生。」
「タンパク壁の浸食部が増殖しています。爆発的スピードです。」
(やばい!)
まさに年の功・・バコッ(殴)
リツコは瞬間的にそう感じ取ると。
即座に判断をくだした。
「実験中止!。」
その言葉を聞いたマヤがすぐに対応を始める。
そして、
「第6パイプを緊急閉鎖。」
「了解!。」
ガシャーン ガシャーン ガシャーン
続いてのリツコの指令によって即座に第6パイプが閉鎖された・・
だが、
「だめです、浸食は壁づたいに広がっています。」
まさに絶望的とも言える報告が職員から聞かれた。
「来ます!。」
マヤの報告。
壁の一部に向かって職員の視線が集まる。
だが、
「ぐわーー。」
その時、不意にケンスケの悲鳴が上がった。
リツコ達の視線の先にはもがき苦しむような
ケンスケの模擬体の様子が飛び込んできた。
「こら!相田君。真面目にやりなさい!。」
だが、ケンスケは痛みで文句を言う気力も無かった。
ふと、もがき苦しむ模擬体の手がリツコ達の方へと伸びてくる。
「チッ。」
リツコは舌打ちを鳴らすと近くのコンソールを操作。
バシュッ
ケンスケの模擬体の右腕が切断され、リツコ達の目の前のガラスへ
勢い良く叩きつけられた。
(なんなの?一体。)
「先輩!浸食が!。」
「チッ(ただの浸食じゃないみたいね)エントリープラグを射出!。」
シュッ!
直ちに4つのエントリープラグが実験棟より射出された。
「ポリソーム出動、レーザ急いで。」
緊迫した雰囲気の続く中、ポリソームと呼ばれる小型の溶接作業機が
柱の間から現れ・・・
「多少の事はいいから浸食をくい止めなさい。」
目の前のシミに向かってレーザを照射した・・
が、
レーザ虚しくも『バシッバシッ』とその表面で弾かれた。
その瞬間その表面には小さな八角形の赤い壁が肉眼で確認された・・
(まさか・・。)
「A.T.フィールド!。」
そしてそれを肯定するかのようにマヤから報告が入った。
「パターン青。使徒です。」
(な、なんてことなの・・よりによって私の指揮下で使徒が・
それもネルフ内部に現れるのよ。これはきっと夢よ。悪夢なんだわ。
・・・って現実逃避しても仕方がないわね。どうしましょう・・
まずあのジジイに報告しないといけないんだわ、碇司令はお風呂だし。
もう、なんでこんな時にあのジジイの世話をしなくちゃ行けないのよ。
て、ちょっと違うか。でもまた小言言われるんだろうな・グチグチ
グチグチグチグチグチグチグチグチ、もう想像しただけで腹が立ってくる。
ああ、でも報告するしかないのか・・これ以上被害が広がると。
またグチグチグチグチグチグチグチグチ言われるんだろうから・・
ああ、なんて私って不幸なのかしら・・そうよ。あんなジジイの
小言を聞いてるから結婚できないのよ。私が結婚できないのも
全部あのジジイのせいだわ。って話を逸らしても自体が好転するわけじゃなし・・
仕方がない・・・。)
ここまでわずか0.05秒。
赤城リツコ博士の驚異的な情報処理能力であった。
「もしもし、冬月副司令ですか?。」
・
・
・
「使徒?使徒の侵入を許したというのか。」
リツコの想像通り電話の向こうからは冬月の怒鳴り声が響いた。
だが、
「言い訳はいい!。」
想像していた小言はこなかった。
ホッと胸をなで下ろすリツコ。
実は冬月の方も、ゲンドウの視線を背中に受け、
それどころではなかったのであった。
バスローブに身を包んだゲンドウはそれほど恐ろしかった。
「セントラルドグマを物理閉鎖、シグマユニットと隔離しろ。」
冷や汗をかきながら冬月が命令を下す。
警報が鳴り響き、オペレーター達があわただしく動き出す。
モニターにはエマージェンシーの文字。
「警報を止めろ!。」
そんな中上でのほほんと構えていたゲンドウが口を開いた。
「誤報だ、探知機のミスである。そう日本政府と委員会と・・あと、家のほうに
伝えておけ。」
ゲンドウはこのことが、妻であるユイに知れることが
何よりも怖かった。
オペレーター達は渋々その命令に従っていった。
「モニター室を破棄します。全員待避!。」
ミサトの指示と共に実験棟から一斉に皆待避する
だが、只1人、その場から動かない者がいた。
「何してるの!、マヤ!。」
マヤはひびが入り、今にも壊れそうなガラスの向こうをポーッと見つめていた。
「見てください先輩、綺麗ですよ。」
マヤの視線の先には使徒に浸食されキラキラと赤い輝きを発する
、模擬体があった。
「・・・・・・・・・・・・・。」
リツコは一瞬絶句するものの。
すぐに気を取り直すと、マナの腕を掴み、
無理矢理廊下へと引っ張っていく・・
プシュ
実験棟のドアが閉まる・・・
その瞬間、その向こうからはLCLがドアにたたきつけれらる音が鳴り響いた。
まさに間一髪であった。
「シグマユニットの汚染が拡大しています。」
オペレーターの1人がそう報告をする。
「汚染はシグマユニットまでで抑えろ。ジオフロントは犠牲にしてもかまわん。」
報告を聞き、ゲンドウが即座に対応をかける。
「エヴァはどうなってる?。」
「第7ケイジで待機中です。パイロットを回収次第発進できます。」
「パイロットを待つ必要はない、すぐ地上へ射出しろ。」
「しかし、エヴァ無しでは物理的に使徒を殲滅できません。」
「その前にエヴァが汚染されたら全て終わりだ。急げ!。」
「了解。」
職員は初めてみるゲンドウの凛々しい姿に、すこし感動していた。
(尻に引かれているだけじゃなかったんだ・・)
そのすぐ後、モニター室を破棄してきた
ミサト、リツコなど、主要な職員達が発令所と合流を果たした。
「現状は?。」
発令所に入ってくるなりリツコが口を開いた。
「使徒による浸食は実験棟を中心に半径30mの範囲まで
来たところで止まってきます。」
「30m?。」
リツコはその数字に思い当たる節があった・・
「LCLと純粋の境目にはいってこないわね。」
リツコはすぐにその事実に気がついた。
「無菌状態維持のためにオゾンを噴出していますからね。」
「好みがはっきりしているみたいですね。 酸素に弱いのかしら?」
青葉に続きマヤが口を開いた。
「違うわ」
それをリツコがハッキリと否定した。
「酸素とオゾンは同素体だけど全く性質は異なるのよ、オゾンを注入して!」
リツコの指示で使徒へと向かってオゾンが注入される。
「オゾン濃度上昇しています。」
目の前のメーターを見て、マコトが口を開いた。
「効いてる効いてる」
「周辺部は死滅してきたけど、模擬体に寄生した本体部分はしぶといわね」
楽観的なシゲルとは対照的にミサトは不満そうな声をあげる。
「もっとオゾンを増やせ!」
その成果を見て、調子に乗った冬月はそう命令を下した・・・・
「変ねぇ。」
モニターを見ていたリツコが不意に声をあげた。
使徒はかなり減少した・・・オゾンも効いているはずである。
だが、
今、リツコの目の前に映し出されているのは・・
使徒が増殖している姿であった。
「オゾン止めて!。」
リツコの声に直ちにオゾンが止められる。
「どうしたんですか?。」
不審に思ったマコトがリツコに問いかける。
「見なさい。」
リツコに言われオペレーター達が一斉に正面モニターに目を向ける。
そこにはオゾンをエネルギーとして取り込み、増殖をする使徒の姿が・・
「凄い・・進化してるんだわ。」
マヤがその場を代表するよに言葉を紡いだ。
ビービービー
再び警報が鳴り響いた。
「今度はどうしたの?」
これにはコーヒーを飲んでいたミサトも声を荒上げる。
「サブコンピュータがハッキングを受けています。」
「侵入者不明」
「ちくしょう、こんなときに!」
次々と報告されてくる事実を前に、
のんびりしていたミサトも立ち上がらざるを得なかった・・
「疑似エントリー展開します。」
「疑似エントリー回避されました。」
シゲルが対策プログラムを発動させると・
マコトがそれが失敗に終わったことを報告する
「逆探まで18秒」
マヤが呟く。
「防壁を展開します。」
「防壁を突破されました。」
今度はマコトの対策プログラムが失敗したことを
シゲルが告げる。
「逆探に成功! この施設内です。」
ハッキングしているコンピュータを突き止めたマヤが報告を開始する。
「特定できました。大深度設備の模擬体です。」
「何ですって!」
リツコが叫ぶ。
「直ちに模擬体を爆破して。」
「ダメです。信号を受け付けません。」
(チッ・・万事休すか・・・でも・使徒の目的は・・一体なに?)
「保安部のメインバンクにアクセスしています。 パスワードを走査中」
「12桁、・・・16桁・・・パスワードクリア」
シゲルとマコトが報告を続ける中、使徒によるネルフコンピュータ侵入の様子が
次々と中央モニターには映し出されていた。
「保安部のメインバンクに侵入されました。」
「内部を読んでいます。解除できません。」
「メインバスを探っています。」
発令所内に絶望とも言える報告が飛び交う・・
だが、次に来た事実は・・その場にいる全員を間違いなく震撼させた。
「まずい、このコードは・・・。」
普段からMAGIに侵入しては、女職員のデータを探っていたシゲルには
そのコードの意味するモノが容易に理解できていた・・
「使徒はMAGIに侵入するつもりです!」
それはネルフ自体が使徒に占拠されると言う事実を示していた。
「使徒、さらに侵入! メルキオールに接触しました。」
使徒はとうとうMAGIと呼ばれる複合コンピュータの一つへと侵入を果たした。
「メルキオール、使徒にリプログラムされました。」
そして、次の瞬間には使徒は完全にMAGIの一つを乗っ取ってしまった。
残る賢者はあと二人・・
「人工知能メルキオールから自爆決議が提訴されました。」
「何ですって!。」
マコトから送られてきた報告にミサトが過敏に反応した。
「リツコ!あんた何で自爆装置なんてつくってるのよ。」
「いや・・。」
その問いにリツコは冷や汗を流しながら、
「趣味で・・。」
そう、ボソッと呟いた。
「リ〜ツ〜コ〜!。」
怒りに震えるミサト。
だが、その時上にいるコウゾウが声をあげた。
「今はそのことを追求している場合ではなかろう。」
ホッ
ひとまず助かったと、リツコは胸をなで下ろす・・が・
「後で赤城博士には厳しく言い渡しておくから。
今は目の前の使徒に集中したまえ。」
コウゾウはリツコを見逃すつもりはないらしい。
再びリツコの表情が沈んで行く。
そんなやり取りの間に中央モニターには、
「賛成」 「反対」 「反対」
で、否決された自爆決議の結果が映し出されていた。
「今度はメルキオールがバルタザールをハッキングしています。」
安堵したのも束の間、次の瞬間にはもう一台のコンピュータがハッキングを受け始めた。
「なんて速さだ。」
そのあまりの勢いにネルフの誇る優秀なオペレーターも舌を巻いていた。
(このままでは・・・)
と、あきらめの表情が発令所に現れたとき、
「よし!」と、
何かを決心したミサトが声を上げた。
「エビチュを水槽に流して。」
「「「は?。」」」
思わず聞き返してしまうオペレータ達。
「ど、どういう事かね?。」
これには真面目な冬月の表情も少々崩れていた。
「使徒は人間とDNAパターンが酷似しています。
ですから、それを利用して。」
「効くのかね?。」
「酒に酔わない人間はいませんから。」
ミサトは自分のことは棚に上げて、自信満々にそう言い放った。
そして、ミサトの提案により、使徒のいる水槽の一部が開かれ・・
エビチュが水槽内へと流された。
発令所の職員は心配そうに水槽の色が黄色に変わっていく様子を眺めていたが・・・・
その20秒後・・・使徒の活動が完全に止まった(^^;
ピンチから脱出したネルフ・・だが、問題は残されたままだった。
「だが、どうする。このままではMAGIが占拠されたままだぞ。」
冬月がそう口を開く。
「使徒は、この短時間の間で知能回路の形成に至るまで爆発的な進化を遂げました。
使徒が進化し続けるというのなら勝算はあります。」
「進化の促進ね」
リツコの言葉に応えるように、
上にデン!と座っているゲンドウの後ろからその声は聞こえた。
「はい・・・・・って?・・貴方は・・」
リツコの目にはそれを言った人物の顔がハッキリと見えていた。
「は〜い、りっちゃん元気〜。」
ゲンドウはその声に聞き覚えがあるモノの、
冷や汗を垂らしながら・・振り向くことを避け・・
心の中で必死にその人物が自分の後ろにいないことを祈っていた・・
「ユイさんじゃないですか!?。」
だが、リツコの声にゲンドウのささやかな願いは・・もろくも崩れ去った。
「あ〜な〜た〜・・これは一体どういう事?。」
突如現れたユイは腰に手を当て、椅子に座っているゲンドウを見下ろすように口撃を開始した。
「使徒が現れた時は家に連絡するように言ってあるでしょう。
な〜にが『誤報』よ、必死に隠そうとしても無駄。
あなたの行動はぜ〜んぶお見通しなんですからね。」
「す・・すまん・・。」
(やっぱり尻に引かれてる・・・・・)
職員は即座に、先ほど抱いたゲンドウの凛々しいイメージを払拭した。
「さて、あなたに対する罰は家に帰ってから、ゆ〜っくりと受けてもらうとして・・。」
そこで、ユイは下にいるリツコに目を向ける。
「今は、使徒をなんとかしましょうね。」
優しい笑みを浮かべながらそう言った。
「進化の終着地点は自滅・・・。死そのもの。
だったらこっちで進化を促進させてればいいんじゃないかしら。」
ユイは幹部の集まるスクリーンだらけのミーティングルームでそう言った。
こう見えてもユイは家庭に入るまでは赤城リツコの母、MAGIを作った
赤城ナオコと方を並べる程の科学者だったのだ。
現在ではネルフの影の支配者となっているのだが(^^;
ちなみに・・赤城ナオコは現在、ゼーレと言う組織の一員として働いている。
「でも、どうやってですか?」
傍若無人で有名なミサトもユイに対してだけは丁寧な言葉使いになっていた。
「目標がコンピュータそのものだから、カスパーを使徒に直結、
逆ハックを仕掛けて自滅促進プログラムを送り込むだけ。」
ユイは簡単に言い放つ。
「使徒にプログラムを送り込むにはまず、酔いを醒まし。
再び使徒によるハッキングを受ける必要がありますが。」
心配げにそう言うリツコ。
「カスパーが速いか、使徒が速いか、勝負ってわけ・・・ですね。」
ミサトの言葉に、ユイは軽い口調で、
「そうよ。」
と、言った。
そこで、ただ1人。ユイに強気に発言出来る人物。
かつてのユイの恩師である冬月が口を開いた。
「そのプログラム間に合うんだろうな。カスパーまで侵されたら終わりだぞ。」
「あら、冬月先生は私の腕を信用して下さらないんですか?。」
ユイは冬月にも軽くそう言うと、微笑んだ。
その微笑みに冬月は年甲斐もなく赤くなってしまった・・
ユイが何かしらのキーをMAGI本体に差し込むと、
地響きを立てるように、MAGIがせり上がっていき、
薄暗い通路が姿を現した。
そして、なんのためらいもなく、ユイがその中へ入っていくと、
続いてリツコ、そしてマヤが入ってゆく。
!?
「これ、何ですか?」
中に入ってからすぐのところでマヤが至る所に
貼ってある白い紙を発見して声を出した。
「開発者の悪戯書きよ。」
ユイが答えを返すと。
「母さんの?。」
リツコがそう呟いた。
「そうよ、りっちゃん。ここが貴方のお母さんがここに残したものよ。
汚くてとても読めないけどね。」
「フフフフ。」
ユイの冗談に思わずリツコも珍しく声をあげて笑った。
「でも、これなら意外と速くプログラミングできそうですね。」
「ええ。」
マヤの言葉にユイはそう呟いた。
「レンチ取って」
「あ、はい。」
ユイに言われ慌てたように、仰向けに寝そべっているユイへとレンチを渡すマヤ。
薄汚れた中で黙々と作業を続けるユイ。
その横顔はとても輝いており・・とても美しかった・・
マヤは・・赤くなりながらポーッとユイの仕事をする姿に見とれてしまっていた。
「次は、25番のボード。」
「あ、・・は、はい!。」
ユイに見とれていたマヤはまたしても慌てたような声を出し、
言われたボードを差し出した。
ビー・・・・・・・
警報が鳴り響く・・・
「始まったの?」
ミサトがそう言いながら中央モニターを見つめる。
「きた! バルタザールが乗っ取られました。」
それを肯定するかのように、マコトが声を上げた。
「2対1で自律自爆が決議されました。 結果は3者一致の後、ゼロ2秒後に実行されます。自爆範囲はジオ・フロントとその周辺2キロメートルです。」
「こんどはメルキオールとバルタザールがカスパーにハッキングを仕掛けています。」
次々に声を上げるオペレーター・・
「なんて速度だ!」
「自爆装置作動まであと20秒」
緊迫した空気の中、自爆カウントが中央モニターに表示される。
「あと16秒!」
刻一刻と自爆の瞬間が近づいてくる・・
ミサトはその恐怖に思わず耐えきれなくなり、
声を上げた。
「ユイさん!早く!。」
だが・・・・
そのユイから・・驚くべき言葉が返ってきた。
「大丈夫。もう終わってるわ。」
「へ?。」
その答えに間抜けな声を出すミサト。
「大丈夫よ、葛城さん。実はもうとっくにプログラムできちゃってるのよ。
あとはリターンキーを押すだけよ。」
縮地もビックリの神業的神速であった・・
もしリツコとマヤの二人だけであったら、恐らくプログラムが完成していたのは・・
自爆が決議される間近だったに違いない。
「あと10秒。」
「じゃ、じゃあ。なんで・・さっさとリターンキーを
押さないんですか?。」
「なぁに言ってるのよ。葛城さん。
あと少しって時に、突き落とした方が楽しいでしょ。」
ミサトの問いに笑顔で答えるユイ。
この時ミサトを含むネルフ職員一同は、ユイの恐ろしさを改めて実感していた。
「自爆決議まであと6秒・・5秒・・4秒・・。」
無駄とも言えるカウントがマコトの口から紡ぎ出される。
「3・・2・。」
ポチッ
だが、ユイは先ほどの宣言とは裏腹に1秒の少し手前でリターンキーを押した。
「え?。」
ミサトが疑問の声を上げると、
同時に。中央モニターに映っていた使徒を表す表示は消滅し、
MAGIも再びネルフの制御下へと戻ってきた。
「どうして・・ユイさん・・。」
ミサトはそうユイに聞いた・・・
「ギリギリに押すんじゃなかったんですか?。」
ユイはミサトの問いに顔を向けると、笑顔で答えた。
「それはね、葛城さん。あれをみてみなさい。」
「え・・。」
ユイの指さした中央モニターに視線を合わせるミサト。
そこには『0.1秒』という数字が残されていた・・
「へ?・・・確か時間は1秒以上残ってましたよね。」
「ええ、そうよ。」
「でも、・・あそこには0.1秒って・・。」
「それわね、さっきまでの数字がフェイクだったからよ。」
だが、ミサトはユイの言っている事が理解出来てないようだった。
「簡単に言うとね。使徒が私の裏を書いて、モニターにはわざと少し遅めの
数字を表示してたってことよ。」
「じゃ、じゃあ・ユイさんは・・どうしてそれがわかったんですか?
表示されてもいないのに・・しかも、残り時間0.1秒って・・。」
「感よ。」
「感?。」
「そう、女の感。」
ユイはミサトに向かって自信満々に言い放った。
ミサトはそんなユイの様子に
ユイと言う人間の真の恐ろしさを理解したような気がしていた。
「それにしてもそうとう悔しかっただろうな・・使徒。」
ミサトはユイと分かれた後1人モニターを見ながら
殲滅された使徒に同情していた。
ユイの裏をかいたつもりの使徒だったろうが・・
ユイにその裏をとられたのである・・
その悔しさといったら・・想像を絶するであっただろう。
おまけ
芦ノ湖・・
ここには緊急射出されたシミュレーションプラグが4つ・・浮かんでいる。
5人はネルフが使徒と戦っている間も・・・その中に閉じこめられていた。
ハッキリ言って暇だ・・
その五人が中で何をしていたか紹介する。
・ケンスケの場合。
模擬体の右手を切断されたときから・・ずっと気絶している。
ぴくりとも動かない。
・レイの場合。
一体どこから取り出したのか・・CDを聞きながら本を読んでいた。
これにはスタープラチナもビックリである。
・マナの場合。
イライラしながら、救助が来るのをジッと待っていた。
「早く助けに来なさいよぉー!。」
誰にも聞こえないことを知りながらも声をだす、マナ。
そして・・
・シンジとアスカの場合。
「シンジィ・・もっとぉ。」
「しょうがないな・アスカは。助けが来るまでだからね。」
・・・・・・(^^;
もはや言うまでもあるまい。
<その10終わり>
何が出るんじゃい、シンジ君!!\(●> _ <●)うおい というわけでベファナさん、第10話後編ありがとうございますー。\( > 0 < )うおっしゃ >リツコは心の中でそう付け加えた。 それにしても、リツコさん。ケンスケの腕ちゅうちょ無く叩き切ったな。.....ケンスケ、死ぬなよ。(笑)
ば、バスローブゲンドウ....。誰だそんな教育したのは。( - _ -;)たのむよユイさん
えびちゅに酔う使徒.......ミサトは人外だな。(笑) ま、マヤちゃんが今度はユイに!(@0@;)ずーれー<ヲイ うーむ、それにしてもユイさん鬼ですなあ。見かけが聖母の様なだけに質が悪いな。( - _ -;)夫婦そろって
というわけで、絡め辛いはずのイロウルを見事に楽しくパロってくれたベファナさん。流石ですなー |
ベファナさんへの感想はここです。
または簡単感想用掲示板へどうぞ。
◎感想用フォームです。2,3行の感想でも作者さんは嬉しかったりするのだ。